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認知症になる前に!節税・納税対策・遺産分割・争族対策~相続対策の完全ガイド~

 2017/08/19 相続対策 相続税について 遺産分割 遺産分割でお悩みの方へ
この記事は約 30 分で読めます。

相続税とは

相続税は誰かが亡くなり、亡くなった方(被相続人)の財産を妻や子供が相続するときに課税されるものです。

相続税の意味としては

  • 富の再分配
  • 所得税の補完

であるとされています。

 

相続税には基礎控除額が設定されており、一定以上の財産が無ければ課税対象とはなりません。

また財産の額が大きければ大きいほど税率が上がる累進税率を採用しているので、財産が1人に集中していればしているほど高額な相続税を納めなければならなくなるのです。

所得税の補完は生前に所得税の徴収が足らなかったからであるという考えで、亡くなった後に課税し所得税の補完とするという考え方もあるようです。

税金として納税されれば国民に還元されますし、節税として贈与を繰り返しても富は分散していきます。

 

この相続税ですが、平成27年の改正でこれまでの

5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

の基礎控除額から

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

に減額となりました。

 

 

基礎控除額が減額になるということは、これまで課税対象にはなっていなかった人たちでも課税対象となるということです。

実際に相続税法改正前の平成26年に相続税の課税対象となった方は被相続人全体の4.4%であるのに対して、改正後の平成27年では8%とほぼ倍に増加しています。(国税庁HP:平成27年分の相続税の申告状況について)

これまでの相続で相続税の課税対象にならなかったからといって、あなたやあなたの親の相続でも課税対象にならないとは限らないのです。

 

 

自分は大丈夫だろうと相続対策をしないと…

自分の相続で相続税の課税対象となることはないだろうとたかをくくり相続に対する対策をなにひとつ行わなかった場合には、相続が争いに発展する争族になってしまったり相続税の負担が重くなってしまう恐れがあります。

そんなこと言ったって、相続で争いになるほどの財産はないから大丈夫
うちの家族だったら仲がいいから争いになんてなるわけないじゃないか

と考えている方も多くいらっしゃいます。

 

しかし裁判所の司法統計によると、平成25年度の遺産分割事件の内容認・調停成立件数8,994件の内、遺産5,000万円以下のケースは6,753件と全体の約75%、1,000万円以下のケースだけにしても2,912件と全体の約32%を占めてしまうのです。

このようになってしまう要因としては、財産が実家のみというような分割が難しい場合や「こんなに少ないはずがない!」と疑われてしまうなどが挙げられます。

財産が少ないから大丈夫なのではなく、財産が少ないからこそ考えなければならないということにも繋がるのです。

 

こんな状況ではありませんか?

  • 実家が23区内にある
  • 財産が少なく遺産分割が難しい
  • 推定相続人に未成年・認知症などの後見人が必要な方がいる
  • 離婚・再婚をしており会ったことのない推定相続人がいる可能性がある
  • 何代か前の相続から遺産分割をしていない不動産がある
  • 法定相続人以外に遺贈したい
  • 事実婚であり法律上は婚姻関係にない
  • 「こいつには相続させたくない!」という推定相続人がいる
  • 親が借金をしている、連帯保証人になっているかどうかがわからない
  • 財産のほとんどが不動産

このような状況に一つでも当てはまる場合、相続に対して何か対策を考えた方がいいでしょう。

 

 

もし認知症になってしまったら相続対策は出来ません

最初に覚えておいていただきたいのは、「相続対策は元気なときにしか出来ない」ということです。

相続対策となる行為はほぼ全て贈与や売買契約、保険契約などの意思能力が必要となる行為です。

相続のことなんてまだまだ先で大丈夫でしょう

と後回しにした結果、脳梗塞などの後遺症で脳血管性認知症になってしまった場合にはそれ以降は相続対策をすることは出来ません。

今元気だからこそ、相続対策が出来るのです。

 

 

相続対策をする上で必要となる基礎知識

相続対策を行う前に知っておいた方がいいのは

  1. 財産の把握
  2. 相続人の把握
  3. 相続税の課税対象となる財産は何か
  4. 遺産分割は無期限でも相続税の申告は期限がある

ということです。

 

 

1.財産の把握

相続税の課税対象となるか、課税対象となった場合税率が何%となるかはその人の財産がどれくらいあるのかを把握していなければ計算のしようがありません。

財産がどの程度あるのかを把握して相続税の課税対象となるのかならないのか、なるのであればどの程度の納税額となるのかを把握するようにしましょう。

このとき不動産や預金などの「プラスの財産」だけでなく、借金をしていないかや連帯保証人になっていないかといったマイナスの財産についても把握するようにしましょう。

 

相続財産に該当するものとして現金などのプラスの財産がイメージしやすいですが、借金によるマイナスの財産も相続財産に含まれます。

  • プラスの財産…現金・不動産(宅地・建物・借地権など)・動産(自動車・家財・貴金属など)・有価証券(株式・貸付金・小切手など)・請求権(慰謝料請求権・損害賠償請求権など)・その他電話加入権・ゴルフ会員権など
  • マイナスの財産…負債(ローン・借金・小切手など)・未払い金(滞納した家賃・医療費・税金など)

 

 

2.相続人の把握

相続税の基礎控除額は相続人の数によって異なりますし、何人でどう分けるかというのは相続人が全員わかっていないとやりにくいでしょう。

あなたの父親の相続である場合あなたと兄弟姉妹、そして母親が相続人となりますし、もしも兄弟で既に亡くなっている方がいればその子供が代わりに相続人となります(代襲相続)。

あなたの相続を考える場合には、あなたに子供がいるのであれば子供と配偶者、子供がいないのであれば配偶者と両親といったように状況により誰が相続人となるのかが変わってきます。

 

 

3.相続税の課税対象となる財産は何か

相続税の課税対象となるのは相続財産でしょ?

実は民法上相続財産ではないと判断されるものでも、みなし相続財産として相続税の課税対象となる財産があります。

みなし相続財産として有名なのは生命保険金や遺族年金、死亡退職金でしょう。

 

生命保険金や遺族年金、受取人が遺族となっている死亡退職金などは、被相続人の相続財産ではなく受取人固有の財産となります。

しかし相続財産ではないとはいえ被相続人が亡くなったことが原因で発生するものではありますから、相続税法でみなし相続財産として課税対象となっているのです。

みなし相続財産は他にも信託受益権、低額での売買、借金の帳消し(債務の免除)などが挙げられます。

 

 

4.遺産分割は無期限でも相続税の申告は期限がある

これまで相続について「自分には関係がないものだ」と考えていた方の中には、

これまで相続についての手続きだって誰もやってこなかったんだ!

という方もいるでしょう。

 

その方が関わっていなかっただけで土地建物などの相続登記は済ませている場合ももちろんありますが、中には本当に相続登記などの手続きを行っていない場合もあります。

実は遺産分割には手続きの期限が定められていないので、遺産分割をせずにどれだけ時間が経っても法律上の問題はないのです。

相続税の申告は相続開始を知った日から10ヶ月となっているので、相続税の課税対象となっている場合にはこの期日までに申告をしなければ延滞税(レンタルビデオの延滞料のような税金)により必要以上に納税することになってしまうので注意が必要です。

基本的には「10ヶ月以内に遺産分割をして相続税の申告・納税を完了する」というのが望ましいのですが、10ヶ月以内に遺産分割がまとまらない場合には法定相続分で遺産分割をしたことにして申告し遺産分割を終わらせてから修正申告をするなどの方法があります。

 

しかし10ヶ月でまとめられず法定相続分での仮申告をする場合、区切りとなる期限がなくなってしまうのでズルズルと時間だけが過ぎてしまうリスクがあるので注意しましょう。

遺産分割を行わずにいてもペナルティがあるわけではないのですが、土地建物などの財産をいざ活用しようとしたときに支障が出やすいのです。

もしも父から引き継いでいると思っていた実家の登記が祖父のままである場合、祖父の相続から行う必要があります。

父の代で遺産分割をして父の不動産ということになっていれば遺された妻子だけで遺産分割が出来たのですが、不動産の名義が祖父のままであるならばそうはいきません。

祖父の法定相続人を洗い出し、その相続人と協議をするなど手間と時間がかかってしまうのです。

 

 

 

相続対策って何?どれくらい変わるの?

相続で知っておいた方がいいことについて紹介しましたので、次は相続対策について紹介します。

相続対策と聞いて、相続税を出来る限り少なくする「節税」ばかりに気を取られてしまう方も多いでしょう。

しかし相続対策は

  1. 節税
  2. 遺産分割対策
  3. 納税対策
  4. 争族対策

といった節税以外も重要になります。

この節税対策、遺産分割対策、納税対策、争族対策というものがどのようなものか、具体的にどのようなものがあるのかについて紹介します。

 

 

1.節税対策

相続税は財産が基礎控除額以下であれば課税対象となりませんが、課税対象となると10%~55%の高い納税額になってしまいます。

少しでも納税額を少なくするように元気な内から対策をすることを、節税と呼んでいます。

節税のパターンとしては

  • 財産を少なくする
  • 評価額を下げる
  • 控除等の制度を活用する
  • 基礎控除額を上げる

といったものが挙げられます。

 

 

1-1.財産を少なくする

亡くなったときに持っていた財産に課税されるなら、生前の内から財産を少なくすればいいじゃない

相続税が課税されるのは亡くなったときですので、それ以前の内に財産を贈与(生前贈与)すれば相続税の課税額は少なくなります。

生前贈与で相続税を完全に逃れることが出来ないように、日本の税金でトップクラスの税率となる贈与税が存在します。

しかし100円贈与したら贈与税の課税対象となるようなことはなく、1年で110万円までの贈与に関して贈与税はかかりません。

この1年間(1月1日~12月31日)の期間で行う贈与を暦年贈与といい、生前贈与で節税を行う場合大体はこの暦年贈与となるでしょう。

 

暦年贈与を利用して財産を減らす

毎年110万円を生前贈与し続けることで、贈与税をかけずに財産を減らすことが出来ます。

この生前贈与の注意点としては

  • 毎年決まった日に決まった金額を贈与するとまとまった贈与とみなされることが…
  • 贈与と認められず被相続人の財産になってしまうことも…
  • 亡くなる3年前までの生前贈与は相続財産に持ち戻される…

があります。

 

毎年12月31日に100万円の贈与を10年間行うなどの決まった形式で贈与を続けた場合、税務署から「元々10年間かけて1,000万円贈与するつもりだったんでしょ?」などと言われ1,000万円の贈与として相続税が課税されてしまうリスクがあります。

また日付や金額を変えるなどの対策をしていたとしても、「生前贈与したお金を無駄遣いされたら困るから」といった理由で受贈者に黙って自分で作った通帳に振り込んでいただけだと贈与と認めてもらえない可能性が非常に高くなります。

贈与はあげる側(贈与者)が一方的に渡すだけでは成立せず、贈与者の「あげますよ」と受け取る側(受贈者)の「もらいますよ」という双方の意思表示がなければ成立しません。

その為「子供が大きくなったときのために少しづつ生前贈与をしたいけど、子供に大金を自由に使える状態にするのは危険だから黙って預金通帳を作っておこう」というのは、子供名義なだけであなたの財産ということになってしまいます。

 

また相続開始前3年間に行われた生前贈与は、相続開始時に被相続人の財産として計算して相続税を計算します。

その為体調が悪くなってから「急いで贈与しないと相続税が!?」と生前贈与を開始しても、その3年以内に亡くなってしまった場合には節税対策にはなりません。

暦年贈与の非課税枠を利用した節税は、元気な頃から始めないと意味がなくなってしまう恐れがあるのです。

「10年間の生前贈与の計画だと終わらせられるか不安」というような場合では、贈与税を納税することになってでも3年間300万円を贈与するなどの計画にした方が節税効果があることもあります。

 

 

実家を配偶者に贈与する(夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除)

共働きではなく専業主婦(主夫)の配偶者がいるのであれば、あなたの名義となっている自宅を配偶者に贈与するという手段も有効です。

おしどり贈与とも言われる「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」では

  • 婚姻期間が20年以上である
  • 贈与される財産が自分が居住する為の居住用不動産・居住用不動産を取得する為の資金である
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに贈与された居住用不動産(資金の贈与であればその資金で取得した居住用不動産)に実際に住んでいて、今後も住み続ける予定である

という条件を満たせば、暦年贈与の基礎控除額110万円以外に最高2,000万円までの財産の贈与による贈与税が控除されます。

 

夫が働きに出て得たお金を妻が管理するという昔ながらのケースでは、妻がやりくり上手でへそくりなどとして妻名義の預貯金を持っていることは多いでしょう。

この名義預金を「妻の財産」と考えると妻の財産も多くあるように感じますが、実際にはこの妻の名義になっている預金は夫が働いて稼いだ「夫の財産」という扱いになります。

正直に相続税の申告をしたはずなのに税務調査をされてしまった…

というようなケースの場合、その多くは税務署か「妻の名義預金」や「子供名義の預金」など税務署からすれば「被相続人の財産」である名義預金を申告し忘れているケースです。

 

専業主婦であると、多くの場合は結婚前に所有していた財産が自身の財産のほとんどとなります。

もしも夫が預貯金や株式、不動産を多く所有していて妻がそれほど財産を所有していないのであれば、夫の名義となっている自宅を妻に贈与することで相続税の納税額を抑えることが出来るのです。

 

 

教育資金の一括贈与を活用する

教育資金の一括贈与とは教育資金として祖父母など(直系尊属)から孫などに最大1,500万円までの一括贈与が非課税となる制度です。

金融機関に口座を開設し、教育資金として支払った領収書などを金融機関に提出することでその費用を引き落す形式となっています。

用途が教育資金に限定されているので浪費を防ぎ、贈与者(祖父母など)が亡くなっても相続税などの課税関係は発生しないので相続税対策にもなります。

 

同じような一括贈与の制度として結婚・子育て資金の一括贈与もありますが、こちらは贈与者が亡くなった時点で残額をみなし相続財産として相続税を計算します。

その為教育資金の一括贈与と異なり相続税の節税効果はあまりありません。

なおお孫さんの教育費や結婚・子育て資金としてその都度贈与をするのであれば、扶養義務の範囲内であり元々贈与税はかかりません。

教育資金の一括贈与を利用すると孫との交流の機会が少なくなってしまうリスクもありますし、用途が教育に限られ養育費としてはあまり活用できないので注意した方がいいでしょう。

※他に相続時清算課税制度という制度はありますが、この制度を利用して贈与した財産は相続税の計算時に持ち戻すことになりあまり節税効果がないためこの項目では説明しません。

 

 

1-2.評価額を下げる

先ほどまで生前贈与によって「実際に財産を少なくする」方法について言及しました。

次に資産を組み替えることで、評価額を下げる方法を紹介します。

 

 

預貯金を利用して賃貸不動産を取得する

預貯金が多くあるのであれば、賃貸不動産(アパートなど)を取得すると価値を損なわずに評価額を下げることが出来ます。

相続税を評価する際1億円の現金はそのままの価値ですが、土地は路線価で評価するので実勢価格(実際に取引される価格)の8割程度、建物は固定資産税評価額で評価するので実勢価格の7割程度の価値となります。

この価値の違いを利用することで、現金を賃貸不動産に組み替えることで財産の評価額を下げることが出来るのです。

 

 

借金をして賃貸不動産を建築する

金融機関などのセミナーで、「借金は節税対策に有効なんです」というようなことを聞いたことがある人もいるでしょう。

これはマイナスの財産の分プラスの財産が差し引かれるから…という話ではなく、借金をしてでも更地に賃貸不動産を建てて節税効果を得ようという話です。

更地を保有しているけど預貯金が心もとないけど、固定資産税も高いしそのままにはしたくない…

というような時には有効となるかもしれませんし、節税だけを考えると売却するよりもアパートを建てた方がいいと感じるでしょう。

とはいえ周辺環境などを考慮せずアパートに適さないような土地で節税だけ考えて借金をしてアパートを建てても、空室が多くなり借金返済がうまくいかない可能性もあります。

 

不動産活用で節税をしようという場合は、不動産にも相続にも深い知識のある専門家とよく相談をした上で行うようにした方がいいでしょう。

自社でアパートを建てるようにして欲しい建築会社はアパート建築をゴールとした営業をしてきますし、節税のことだけを考えた専門家も節税効果のことだけを考えてアパート建築を勧めてくるかもしれません。

一昔前はアパート建築の他に、節税効果があるからとして土地の一部を売却して評価額の低い不整形地(三角形やL字型など活用の難しい土地)にすることを勧めてくる専門家もいました。

しかし不整形地は活用が難しいからこそ評価額が低くなるのであって、不動産活用の面で考えると好ましくないという認識が広まったことで勧められなくなりました。

相続対策として不動産を活用する際は相続対策と不動産の管理運用の両方の視点で考えることが出来る専門家に依頼するようにした方がいいでしょう。

 

 

1-3.控除等の制度を活用する

基礎控除額を超える財産を所有していて相続税の課税対象となっている場合でも、控除等の制度を活用することで納税額を0円にしたり、抑えることが出来るようになります。

なお控除を活用して納税額が0円となる場合、相続税の申告はする必要があるので注意しましょう。

 

生命保険

生命保険金は受取人固有の財産であり、民法上は被相続人の財産に含まれません。

しかし生命保険金は被相続人が亡くなったことをきっかけに発生するため、相続税法上のみなし相続財産として相続財産と合わせて相続税額を計算します。

しかし生命保険金全額を課税対象とするのではなく法定相続人の人数×500万円の非課税枠が存在します。

その為基礎控除額を超える財産の一部で生命保険に加入することで、基礎控除額の他に生命保険金の非課税枠を加えることが出来ます。

 

 

小規模宅地の特例

相続が発生するたびに実家や店舗の評価額が負担となり相続税の課税対象となってしまっては、大富豪以外不動産を所有できなくなってしまうかもしれません。

そうならないように、被相続人が生前住んでいた居住用不動産や自営業などの事業で使用していた店舗などに関して、引き続き相続人が住んだり事業を引き継ぐ場合にその宅地の評価額を大幅に減額する「小規模宅地の特例」があります。

この減額は非常に大きく、実家を相続人がそのまま住むなどの場合には一定面積(平成27年以降の相続であれば330㎡)までの評価額を8割減額することが出来ます。

 

 

配偶者控除

夫婦と幼い子供の3人で生活していて、突然稼ぎ頭の夫が亡くなってしまった場合遺された家族の生活は大変になってしまうでしょう。

その大変な状況になる中で更に相続税の負担が重くのしかかってしまわないように、配偶者が財産を相続する場合には配偶者控除が存在します。

控除額は

  • 1億6千万
  • 配偶者の法定相続分

の内の大きい金額が適用されます。

 

 

生前に墓や仏壇を購入しておく

最近知名度が上がった終活などでも自分で墓や仏壇を購入するというものがあるかもしれませんが、生前に墓や仏壇を購入していた場合その墓や仏壇は非課税となります。

その為生前の内に自分で500万円かけて立派なお墓と仏壇を購入した場合、その500万円の価値があるお墓と仏壇は非課税財産とすることが出来るのです。

しかし自分で墓や仏壇を購入せず相続人が墓や仏壇を購入する場合にはその購入金額分非課税になるということはなく、相続税の課税財産に含まれてしまいます。

 

 

1-4.基礎控除額そのものを上げる

養子縁組で法定相続人を増やす

養子は実子と同様に相続人となることが出来ます。

民法上は何人養子にしてもその全員が法定相続人になることが出来るのですが、その全員を含めて基礎控除額を計算してはどれだけ資産があっても相続税から逃れられてしまいます。

その為相続税法で、相続税の基礎控除額や生命保険金などの非課税枠を計算する場合には人数に制限が定められています。

その人数としては

  • 実子がいない場合は2人まで
  • 実子がいる場合は1人まで

となっています。

 

ただ養子縁組による基礎控除額の増額を行うということは、1人辺りの相続財産の額を少なくすることも意味します。

節税対策に効果があるからと養子縁組をした結果、「こいつのせいで私の相続財産が減った!」などの争いの火種となってしまうリスクもありますので注意しましょう。

 

 

2.遺産分割対策

相続対策というと節税対策がメインになってしまいがちですが、遺産分割をスムーズに行えるようにすることも重要な相続対策です。

相続税がかからないように意識して預貯金を減らして不動産を増やした結果、遺産分割がうまくまとまらずに争いに発展したり不動産を売却するなどの手間がかかることがあるからです。

 

遺言作成

被相続人がなくなった際遺言がなければ相続人全員で「遺産をどう相続するか」を話し合う遺産分割協議を行いますが、遺言書が存在するのであれば基本的に遺言に記載されている通りの遺産分割が行われます。

遺産分割の内容をあらかじめ遺言で決めておくだけでも、何もない状態から遺産分割協議を行うよりも争いに発展して争族になってしまうリスクは減らせるでしょう。

とはいえ遺言で指定した遺産分割どおりに必ずしもなるかというとそうではなく

  • 法律で(被相続人の兄弟姉妹を除く)相続人に保証された「最低限相続できる相続分」である遺留分を侵害した遺産分割内容であったため遺留分減殺請求をされてしまった
  • 相続人全員が納得できない遺産分割内容であった為遺産分割協議での遺産分割を行った

というように遺言を書いたことで逆に争いの火種を作ってしまったようなケースや、相続人のことを完全に無視した遺産分割にした結果相続人全員が納得の出来ない遺産分割になってしまうことがあります。

 

相続人全員が遺言の遺産分割に納得できない場合遺産分割協議で遺産分割をすることが出来るので事前に遺産分割の内容について相談したり、「何故この遺産分割にしてほしいのか」を遺言に記載しておくといいでしょう。

また遺言の通りに遺産分割を行った結果相続税の負担が非常に重くなってしまったというようなケースもあるので、どう遺産分割をするかは相続について勉強してみたり専門家と相談して決める方がいいでしょう。

一般的に遺言というと

  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言

が指されることが多いです。

 

専門家に相談したときは大抵の場合公正証書遺言での作成を進められることになります。

その理由として公正証書遺言は

  • 原本が公証役場に残るので紛失しても再発行できる
  • 原本が公証役場にあるので改ざんされる心配がない
  • 自筆証書遺言では必要となる裁判所での検認が必要ないので手間が省ける
  • 公証役場で公証人が公正証書として遺言を作成してくれるので不備の恐れがほとんどない
  • 公正証書遺言が作成できている時点で意思能力があるということを主張しやすい

というメリットがあるからです。

 

自筆証書遺言はその名の通り自筆で作成する遺言であり、現在の法律ではパソコンで文章を作成することは出来ません。

遺書と違い法的効力のある遺言は民法で定められた書式に沿ったものである必要があるので、自筆で書かなければならない自筆証書遺言には不備というリスクがつきまといます。

役所などへの提出書類で不備があった場合は提出段階で指摘してもらえますが、自筆証書遺言に不備がある場合は本人が亡くなった後に判明するので不備の修正が出来ないのです。

 

また自筆証書遺言は管理も本人が行わなければならないのですが

  • 遺言のことをだれにも言わなかった結果、亡くなった後誰にも見つけてもらえなかった
  • 遺言を書いたことを周りに伝えた結果、破かれたり書き換えられてしまった

というリスクがあります。

また自筆証書遺言の場合遺言を読んだ後都合のいいように書き換えられないように、裁判所で検認という作業をしなければなりません。

公正証書遺言は本人の想いを公証人に伝えて公正証書を作成してもらい原本を保存、正本を渡されます。

その為改ざん等のリスクがないため裁判所での検認は必要なくなりますし、書類の不備も心配しなくてすむようになります。

 

 

分割しやすいように現金を用意する

節税対策で紹介した現金を不動産にする方法などとは真逆のことになってしまいますが、分割しやすい預貯金を作っておくことも重要な相続対策となります。

不動産を相続する際に複数の相続人が共有財産として相続する方法もありますが、不動産を共有財産とするのはデメリットが非常に大きいのです。

預貯金が少なかったがために相続税対策として購入した不動産を売却して遺産分割を行い、売却資金で納税をしたといううようなことにならないように準備をしましょう。

 

早い段階で生命保険に加入しておくのであれば、まとまった現金がない場合であっても相続発生時に相続人に現金を残すことができます。

遺産分割の形として不動産などの分割できない財産を1人が相続する代わりに、他の相続人に自身の財産から現金を渡す「代償分割」という考え方があります。

実家などの不動産を相続させたい相続人を生命保険金の受取人とし、代償分割が出来るようにするのであれば相続財産に預貯金が少ない状況でも円満な遺産分割が可能となることもあります。

 

とはいえ高齢になってから生命保険に加入しようとする場合まとまったお金が必要となりますので、そもそもその預貯金があれば代償分割を選択しなくて済むこともあります。

生命保険の非課税枠の活用を兼ねているのであれば有効かもしれませんが、「生命保険は受取人固有の財産」であることを意識してどうするか考えた方がいいでしょう。

 

 

3.納税対策

少し前に15億円もの遺産を相続した結果、5億円の相続税を納税しなくてはならなくなった芸人さんのニュースがありました。

その上相続した15億円の財産は不動産などがメインであり、財産を売却して納税をしなければならなかったとのことです。

相続対策を何も行っていなかったり、節税対策として預貯金を減らし不動産を増やすような相続対策を行っていると、納税資金に対する対策が出来ていないことがあります。

せっかく相続税対策として不動産を購入しても、納税資金を考慮していなかったがためにその不動産を売却するというようなことにならないように納税対策も行えるようにしましょう。

 

 

相続時清算課税制度で収益不動産を贈与しておく

相続時清算課税制度は

贈与者:60歳以上の父母・祖父母

受贈者:20歳以上の贈与者の子供・孫

での贈与の際に活用できる制度で

  • 暦年贈与から相続時清算課税制度に切り替え(一度切り替えると暦年贈与に戻せない)
  • 2,500万円までの贈与は非課税、それ以降は一律20%の贈与税
  • 贈与者の死亡時、贈与財産を相続財産に持ち戻して相続税額を算出する
  • 持ち戻すときの価値は贈与した時点での評価額
  • 非課税枠を超えて支払った贈与税額は控除される

という特徴を持ちます。

 

贈与の段階では2,500万円までは非課税、それ以降は一律20%と暦年贈与で贈与した場合よりも贈与税の負担は大幅に減らせる代わりに、相続開始時に相続税を納税しなければなりません。

その為「生前贈与は相続税対策に効果的」だと聞いたからといって、現金2,500万円を相続時清算課税制度で子供に贈与したとしましょう。

非課税枠に収まるので贈与した段階では贈与税の納税は必要ありません。

しかし贈与者が亡くなったとき贈与した2,500万円は贈与者の財産として持ち戻して相続税を計算するので、結局相続税を減額させることは出来ていません。

 

金銭であれば価値は変わらないので損はしていませんが、不動産であるとそうはいきません。

例えば最近リフォームをして3,000万円の評価額となった実家を、相続時清算課税制度で子供に贈与したとします。

贈与の段階で納税するのは100万円(暦年贈与では1035.5万円)で済みますが、問題は相続開始時です。

不動産は築年数が経過すれば評価額は下がっていくので、贈与をせずに遺言で実家を相続させるようにしていれば相続税は相続開始時の価値が下がった状態で計算されます。

しかし評価額が高い段階で相続時清算課税制度を利用して実家を贈与した場合、贈与者が亡くなったときの値下がった評価額ではなく贈与時の高い評価額での計算となります。

つまり、生前贈与を行ってしまったがために逆に相続税の納税額が高くなってしまっているのです。

相続税の清算をするときに贈与した時点での評価額で計算するという点を逆手にとって節税として使えることもありますが、予測が外れてしまったときには逆に相続税が高くなってしまうリスクもあるので注意が必要です。

 

相続時清算課税制度は、収益不動産など利益が得られる財産を贈与すると納税対策として効果的となります。

例えばアパートを子供に相続時清算課税制度を利用して贈与をしたとします。

アパート自体の評価額は築年数で下がってしまうので相続開始の時期によっては評価額が高い状態で清算することになってしまうかもしれませんが、贈与の段階で受贈者のものとなっているので収益は子供のものとなります。

その為納税資金の準備はしやすくなっており、納税資金の対策としては有効です。

 

 

納税の為の預貯金を準備する

相続財産に預貯金を準備しているということは、遺産分割がしやすくなるだけでなく納税がしやすくなります。

 

 

4.争族対策

子供の中に浪費家で素行の悪い人物が居たり、兄弟姉妹間やその配偶者の中で仲が悪い人がいる場合など、何もしなかった場合争いになってしまうかもしれないというのは予想しやすいでしょう。

しかしそのようなわかりやすい火種がなくても、子供が大きくなり家族の範囲が変わっているとそれ自体が火種となりやすくなります。

「私の家族は仲が良いから争いになることなんてない!」と思う人は多いでしょう。

しかし「家族をイメージしてください」と言われたとき、あなたは誰を思い浮かべるでしょうか?

 

独身である場合などは「親・兄弟姉妹」を思い浮かべると思いますが、結婚をして子供が居る場合は妻(夫)と子供を思い浮かべるのではないでしょうか。

それは子供も同様で、子供が結婚して子供もいる場合強くイメージする家族の範囲はその子供の妻(夫)と子供となっていきます。

当然兄弟姉妹も家族ですが、いざ遺産分割協議で財産をどう分けるかを話し合う際に

  • 自宅のローンが…
  • 子供の教育費・養育費が…
  • 妻に「出来るだけ多く財産がもらえるよう頑張って!」と言われてしまった

という不安などがあると、譲歩が難しくなり揉めてしまうということになるケースがあります。

その為争いに発展しないだろうと思っても、争族対策を意識することは円満相続のために重要になってくるのです。

 

 

遺言の中に付言事項も書いて自分の想いを家族に伝える

遺言で遺産分割を定めておくだけでも、遺産分割協議を行わず遺産分割が出来るので揉めるリスクは減らせるでしょう。

ただ争族対策としての遺言を意識するのであれば、遺産分割の指定だけでなく付言事項にも意識していただきたいです。

付言事項と言われると硬い言葉に感じますが、遺言の中で家族に自分の気持ちを伝えるメッセージのようなものです。

遺産分割の方法の指定のような法的効力があるものではありませんが、この付言事項があるのとないのでは遺言を読んだときの相続人の印象が大きく異なります。

 

例えば相続財産が自宅と預貯金100万円で、相続人が3人の子供(A・B・C)だったとします。

遺言で「自宅はA、預貯金をBとCで50万円ずつ相続させる」とだけ書かれていた場合、BとCは不平等感を感じてAに対して遺留分減殺請求を行うかもしれません。

しかしこの遺言に付言事項として

  • A夫妻に介護してもらってとても感謝しており、自分亡き後はA夫妻に自宅を相続してもらいたいこと
  • 出来れば3人に平等に財産を残したいがそうするためには自宅を売却するしかなく、想い出の残る自宅を売却することだけはしたくなかったこと
  • BとCに遺せる財産が少なくて申し訳ないが、Aと同様に愛していること
  • これからも3人で仲良く元気に人生を歩んでほしいこと

といったことが書かれていた場合はどうでしょうか。

 

遺産分割で不平等を感じていたとしても、付言事項で「何故この遺産分割にしたか」や「家族全員を大切に想っている」という非相続人の本心が分かれば不満は和らいでいくでしょう。

それ以外にも遺された家族に対しての感謝の気持ちや思い出話、将来に向けての激励の言葉など、付言事項では様々な想いを書き残すことが出来ます。

法的拘束力はないので「そんなことを言われてもやっぱり遺留分減殺請求をする!」と言われてしまうこともありますが、普段伝えられない想いを伝えることで争いをある程度抑えることは出来るでしょう。

 

 

贈与の代わりに遺留分放棄

こちらは浪費癖のあるどら息子など財産を渡したくない相手がいる場合の手段のひとつです。

相続のときに一切財産を渡さないと約束させる代わりに、どら息子を生命保険金の受取人にしてやった

という話をしている人の話を聞いたことがあるかもしれません。

しかし実はこれでは財産を渡したくないと思っている相手に、相続人の中で誰よりも多く財産を残してしまうことになりかねません。

 

その理由としては簡単で、これだけではこのどら息子は相続発生時に法定相続分を主張できてしまうからです。

遺産分割協議の際に他の相続人は当然抗議をするかと思いますが、裁判所に遺産分割調停の申立てをして最終的に遺産分割審判に持ち込まれてしまえばおそらく法定相続分は相続されてしまうでしょう。

それを防ぐ為には、遺留分放棄をしてもらいどら息子に財産を相続させない遺言を書く必要があります。

少々手間がかかりますが、相続放棄は亡くなった後でなければ申し立てることは出来ないので遺留分の主張が出来ないようにした上で相続させない遺言を残すという手段をとります。

当然ただでは遺留分放棄に応じないでしょうから、代わりにその場で財産の贈与をしたり生命保険金の受取人とするといった手切れ金のようなものを交換条件とすることで遺留分放棄をするように促すのです。

 

 

まとめ

争族対策と一言に言っても相続税を意識した節税対策と納税対策、円満で負担の少ない相続にするための遺産分割対策や争族対策を意識する必要があります。

相続は話が長引けば長引くほどまとまりにくくなるものですし、被相続人の財産や戸籍をさかのぼって相続人がわかるようにしなければならないなどの手間がかかります。

遺言などで財産がわかれば相続財産を調べる手間が省けますし、公正証書遺言であれば被相続人の戸籍をさかのぼって相続人全員がわかるようにする必要はなくなります。(自筆証書遺言の場合検認をする為に被相続人の戸籍をさかのぼる必要があります)

争いになるならない以前に、相続人の負担を減らす為にも相続対策を検討してみてはいかがでしょうか。

 

相続サロン多摩相談センターでは宅地建物取引士を持つ不動産のプロであり、日本相続コンサルティング教会の公認相続コンサルタントでもある不動産と相続の専門家が在籍しています。

相続に関する知識だけでなく、不動産を扱うプロとしての観点をふまえての相続対策を提案することが出来ますので、是非ご相談ください。

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