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相続税を節税する為に必要な13の知識と知っておくべき5つのデメリット

 2017/08/24 相続対策 相続税について
この記事は約 23 分で読めます。

法改正で相続税は他人事ではなくなった!

平成26年と平成27年では死亡者数自体はそこまで変わっていないが基礎控除が下がった分課税対象者が約2倍になった。

実は平成27年以降に発生した相続の中で相続税の課税対象となる可能性は、それ以前に相続が発生し相続税の課税対象となる可能性の約2倍になっています。

この原因となっているのは相続税の基礎控除の減額でしょう。

誰かが亡くなったときに必ず相続は発生しますが、相続税が必ずしも課税されるとは限りません。

これは相続税には「遺産総額がこの金額未満であれば課税対象にはならない」という、基礎控除額が設定されているからです。

 

この基礎控除額は法改正が行われるまでは

5,000万円 + (1,000万円 × 法定相続人の人数)

であったのですが、法改正後

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の人数)

に引き下げられてしまいました。

相続人が4人の場合ですと基礎控除額は法改正前では9,000万円であったのが、法改正後は5,400万円と大幅に引き下げられてしまっているのです。

 

これは全国規模なので8%ですが、国内で地価が高く自宅の評価額が高くなりがちな東京都ではこれよりも割合は多くなり「自宅を所有し預貯金が少しある」というような状況でも課税対象になってしまうリスクがあるのです。

最早相続税は「お金持ちが払うもの」ではなくなっており、他人事で片付けられる問題ではなくなっているのです。

 

 

相続税の対策をするメリットとしないデメリット

他人事ではなくなってしまった相続税ですが、どうしようもないのかというとそうではありません。

相続税というキーワードから節税という単語を連想する方が増えていると思いますが、相続税は節税などにより納税額を0円にしたり減額することが出来ます。

節税をすることで相続税を安くすることが出来るのは当然ですが

  • 自分の財産を改めて把握することで相続税の課税対象となるかどうかが分かる
  • 配偶者(妻・夫)や子供たちが相続税の負担で生活が苦しくなるリスクを抑えられる

というのもメリットでしょう。

 

「前の相続でも大丈夫だったし、私の相続のときも大丈夫だろう」という先入観で相続を考えていても、あなた自身は困りません。

何故ならば「あなたが亡くなった後に発生する」のが、あなたの相続で発生する相続税だからです。

実は「相続税の課税対象」だったということであっても相続税の負担は相続人である配偶者と子供たちであり、その負担や苦労をあなたが知ることは出来ません。

遺産分割などの節税以外の相続対策もそうですが、相続対策の第一段階として自分の財産を把握することで、「このままでは子供たちが相続税などで苦しむことになってしまうかどうか」などを把握し対策をとることが出来ます。

逆に相続税の対策などをとらない場合相続税の負担を子供たちに課してしまうことになりかねませんし、あなたの財産が原因で争いに発展し相続が争族になってしまう危険性もあるのです。

 

 

節税はどのような方法があるのか

相続税の納税額を減らす為の節税の方法としては

  • 生前贈与の活用
  • 生命保険の活用
  • 不動産の活用

といった方法があります。
また
以前は効果がありよく利用されていたけども、現在の法律では以前ほどの効果はない方法
節税だけをみれば効果はあるけど、相続などでトラブルの原因になりかねない方法
そもそもあまり有効的ではない節税方法
といったものも存在します。
そこで今回は相続税の節税に効果がある13の方法と、注意が必要な5つの方法を紹介していきます。

生前贈与の活用6選

1.年間110万円以内の暦年贈与は非課税

1月1日~12月31日までに受けた贈与を、暦年贈与といいます。

暦年贈与は年間110万円までの贈与は基礎控除として課税対象にならず、それ以降は贈与学に応じて税率が上がる、累進課税制度が採用されています。

贈与税は生前贈与での相続税逃れを防ぐ為に存在する税金で、トップクラスの税率になっています。

そのため何も考えずに評価額が4,500万円の実家を子供に贈与すると、子供は1,850万円の贈与税を納付しなければならなくなります。

 

暦年贈与の一般的な活用方法は、基礎控除額である110万円の贈与を計画的に行うことでしょう。

元気な内からコツコツと毎年贈与することで、贈与税は課税されず財産を減らして相続税を節税することが出来ます。

このときの注意点としては

  • 機械的に「毎年同じ日に同じ金額」の贈与をしない
  • 相手に贈与することの了承をもらい、相手が自由に使えるような状態にする

ということです。

その理由は図にまとめました。

 

10年間かけて贈与する予定でも、日付や金額を変えるなどの工夫をするようにしましょう。

民法上贈与は贈与する側(贈与者)の「あげますよ」という意思表示と、受けて側の「もらいますよ」という意思表示の両方があって初めて成立するので、普段子供が利用している口座に振り込むか、別に口座を開設する場合でもせめて

あなたの印鑑とは違う印鑑で登録する

子供が贈与を受けていることを知っていて、なおかつ自由に使える状態にする

という状況にしましょう。

 

 

2.おしどり贈与で配偶者に自宅を贈与する

おしどり贈与は正式な名称ではなく、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という制度です。

この制度は

  1. 婚姻期間が20年以上
  2. 贈与される財産が、自分が居住する為の居住用不動産・または居住用不動産を取得する為の資金
  3. 贈与を受けた翌年3月15日までにその不動産に住み(資金の贈与の場合は受贈資金で取得した居住用不動産に住む)、今後も住み続ける予定

という条件を満たす場合、暦年贈与の基礎控除額以外に最高2,000万円の財産贈与が非課税となります。

 

共働きなど夫婦共に同程度財産を所有している場合はあまり利用しないかもしれませんが、配偶者が専業主婦(主夫)であるなど配偶者の財産が少ない場合自宅を贈与しておくことで財産総額を大幅に減らすことが出来ます。

夫が働き妻は専業主婦として夫の財産を管理しているなどのケースでは、例え妻の努力でやりくりをしたことでへそくりなどの財産があったとしてもそれは夫の給与が由来である夫の財産という扱いになります。

妻がパートなどで独自に収入を得ていない限り結婚する前に所有していた財産が妻の財産の大半ということになるので、おしどり贈与を活用して財産を妻に渡すのもいいでしょう。

 

3.子供や孫が家を建てるときに贈与をして、好感度を上げつつ節税する

居住用不動産の取得は大きな買い物ですので自分だけで購入するのは勇気がいるものですが、一定の要件を満たせばこの住宅を取得するための資金の贈与が一定金額までは非課税になります。

この制度のことを「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」といいます。

要件としては

  1. 直系尊属(両親・祖父母など)から20歳以上の子供・孫への贈与
  2. 受贈者が贈与を受けた年の所得税に関わる合計所得金額が2,000万円以下であること
  3. 平成21年度分~平成26年度分までに「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けていない
  4. 住宅を一定の特別な関係がある相手(配偶者や親族など)から取得したり、請負契約などで新築・増改築などをしたものではない
  5. 贈与の翌年3月15日までに贈与された資金を全て充てて住宅用家屋を新築・増改築などをすること
  6. 贈与の翌年3月15日までに取得した住宅用家屋に居住・またはその家屋に居住することが確実であること

となっています。

 

子や孫が自宅という一生に何度もない大きな買い物をするときに、資金的な援助をすることで好感度を上げつつ、財産を子や孫に残すというのもありでしょう。

その際、1人だけに贈与をすると相続人間での不平等が生じてしまうので注意しましょう。

また資金を贈与するからといって、あまりどのような家を建てるか口出ししすぎてしまうと、逆に好感度は下がってしまうので注意しましょう。

 

 

4.孫などの将来のために教育資金を一括贈与しつつ節税をする教育資金の一括贈与

子供や孫に対してその都度教育資金を贈与すること自体は扶養義務の範囲内なので非課税ですが、この制度は一定金額まで一括で贈与を行う制度です。

祖父母など(直系尊属)から孫などに最大1,500万円までの一括贈与が非課税となる制度で、金融機関に口座を開設し教育資金として支払った領収書などを金融機関に提出することでその費用を引き落す形式となっています。

用途が教育資金に限定されているので浪費を防ぎますし、贈与者(祖父母など)が亡くなっても相続税などの課税関係は発生しないので相続税対策にもなります。

 

この教育資金の一括贈与の場合、学生寮の費用は非課税の対象でも下宿代は対象外であるなど、少々使い勝手が悪い部分があります。

対象外となる部分も手助けしてあげたい場合には、その分を補充する家族信託を締結するなど、別の対策をする必要があるでしょう。

 

 

5.暦年贈与で110万円以上贈与しても節税になる場合も

既に高齢になってから生前贈与で相続税対策をする場合、十分な贈与が出来ない可能性があります。

  • 既に80~90歳の高齢である
  • まだ大丈夫だと思うが、最近親の物忘れが気になってきた

という場合、110万円以下の暦年贈与では十分な贈与が出来ない可能性があります。

 

被相続人(亡くなった方)が3年以内に贈与した財産は、持ち戻して被相続人の財産として計算するという嫌な法律となっているので、急いで贈与しなければ生前贈与の効果がなくなってしまうこともあります。

そのような場合、110万円以上で贈与税が課税されてしまうとしてもまとまった額の贈与をするのも1つの手です。

贈与した場合の納税額と、贈与しなかった場合の納税額を比較して、少ない額を選ぶといいでしょう。

 

 

6.相続時清算課税制度へ変更して収益財産を贈与する

賃貸マンションを親から子供に贈与して、賃貸マンションの利益を貯めることで納税対策をするという方法があります。

しかし暦年贈与で高額な贈与をすると、よほどの準備をしていなければ払えないような贈与税の重い負担がつきまといます。

そのようなときに活用できるのが、「相続時清算課税制度」です。

相続時清算課税制度の特徴として

  1. 暦年贈与か相続時清算課税制度の選択式で、一度相続時清算課税制度を選択したら戻せなくなる
  2. 2,500万円までは非課税となり、それ以降は一律20%の贈与税
  3. 暦年贈与は1年間で区切られるが、相続時清算課税制度は累計(5年間で2,600万円でも100万円分課税)
  4. 相続時清算課税制度に切り替えた贈与者が亡くなった場合、切り替えたあとの贈与は相続財産に含めて相続税を算出する
  5. 相続時清算課税で納付した贈与税額分、相続税を控除して清算する
  6. 相続発生時に相続財産として計算するときに、その評価額は「贈与した時点」の評価額となる

といったものが挙げられます。

 

この相続時清算課税制度を利用する条件としては

  • 切り替える年の1月1日の段階で贈与者(贈る人)は60歳以上、受贈者(受ける側)は20歳以上
  • 贈与者と受贈者は直系(親と子・祖父と孫など)の関係であること
  • 贈与された翌年2月1日~3月15日の期間に申告書を提出する

となっています。

なお相続時清算課税制度の切り替えはその贈与者との間のみなので、父からの贈与を相続時清算課税制度に切り替えたからといっても、母からの贈与は暦年贈与のままとなります。

また親から子、祖父母から孫というような直系の関係でなければならないので、伯父から甥への贈与、子から親への贈与は相続時清算課税制度を利用することは出来ません。

 

節税の枠で相続時清算課税制度を紹介していますが、「相続発生時に相続財産に含めて計算する」という性質上節税になるケースは限定的です。

贈与した時点での評価額で計算するので、新築の家を贈与した場合は相続時の評価額が二束三文であっても新築の評価額で計算します。

そのため、逆に相続税額が高くなってしまうことも少なくありません。

純粋に相続税対策となる場合は、贈与した時点では田舎だったけど、相続発生時には再開発されて評価額が大幅に上昇していたときなどでしょう。

 

相続時清算課税制度の真価は、大きな額の生前贈与を少ない税率で行えるということです。

例えば親の賃貸マンションを相続時清算課税制度で子供に贈与すれば、贈与後の利益は子供のものになります。

そうすれば親の財産が増えすぎて相続税が高くなりすぎることを防げますし、収益が納税資金となります。

相続時清算課税制度は節税で利用するのは難しいですが、相続税対策としては優秀な制度なのです。

 

 

生前贈与で注意していただきたい点

生前贈与での節税は効果的ですが、気をつけなければならない点も存在します。

  • 自分の意図しない財産の使われ方や関係の変化が起きる可能性がある
  • 贈与額の差で相続人同士に確執が起きる可能性がある
  • 老後の贅沢が出来なくなる可能性も…
  • 自分の意図しない財産の使われ方や関係の変化が起きる可能性がある

 

贈与をするということは当然相手の所有物になるということで、受贈者が自由に出来ないけどあなたは使うことも出来るなどという状況は贈与とはいいません。

浪費はしないように言って贈与したのに次の年には贈与したお金を全て使われてしまったり、「こういうことに使ってね」といったこと以外の用途に使われてしまうということもあるでしょう。

また多額のお金を受け取ったいことで気が大きくなるなどであなたと受贈者の関係が変わってしまうということもあるかもしれません。

節税の観点だけで贈与をするのではなく、相手のことをしっかりと考えましょう。

 

 

贈与額の差で相続人同士に確執が起きる可能性がある

子供が3人いたとして、その内の1人にだけ住宅取得等資金の贈与や教育資金の一括贈与を行うなどの偏った贈与の仕方をしてしまった場合、相続人間で不公平感が生まれるでしょう。

そのような感情を持ったまま相続が発生するとトラブルになりやすくなります。

 

 

老後の贅沢が出来なくなる可能性も…

相続対策は元気な内にしか出来ないものですので、当然ですが対策をした後も人生は続いていきます。

「これまで貯めたお金で世界一周を…」という方はほぼいないかと思いますが、「第二の人生はこれまで出来なかった贅沢をしてみよう」という方は少なくないでしょう。

しかし相続税の節税として生前贈与をしすぎた結果、財産を減らしすぎて自由に使えるお金がなくなってしまったということにならないよう注意しましょう。

 

 

生命保険の活用

7.生命保険の非課税枠の活用

生命保険は受取人固有の財産であり民法上は相続財産に含まれませんが、みなし相続財産として相続税は課税されます。

その際に生命保険金全額が課税対象になるのではなく、非課税枠が設けられています。

この非課税枠は相続税の基礎控除額と同様相続人の人数によって異なり

 

生命保険金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の人数

 

となっており、相続人が3人いる場合は1,500万円までの生命保険金であれば非課税となります。

 

 

生命保険の利点と注意点

生命保険は、高齢になってからでは一括で保険料を支払う「一時払い終身保険」のようなものしか利用することは出来ませんが、40~50歳の若い段階であれば分割で保険料を支払う一般的なものに加入することが出来るでしょう。

分割で支払うタイプであれば、まとまった財産がなくても払うことが出来るでしょう。

注意点としては

  • 誰を受取人とするか
  • 本当に加入する必要があるか

ということが挙げられます。

 

例えば子供が3人なのに財産が少しの預貯金と実家のみで、長男に実家を相続させたいとすると、長男以外の2人そ相続分が少なくなり不公平を感じてしまいます。

そのような場合には、長男が実家を相続したことで不公平になっている分を長男が他の2人に現金を渡す、代償分割という選択肢があります。

この代償分割は長男にまとまった現金がなければ出来ないのですが、その資金を生命保険で出すことが出来るのです。

生命保険の受取人を長男とし、代償金として2人の子供に渡すようにすることが出来ます。

 

とはいえこの場合、親が生命保険に加入せずその分預貯金として貯めていれば代償分割にする必要がない可能性もあります。

不動産のような分割できない財産が多く、生命保険の非課税枠を利用したいという場合には有効でしょう。

しかしそういうわけでないのであれば、生命保険に加入する前に一度「加入しないほうが遺産分割が楽なのでは?」と考えてみましょう。

 

 

不動産の活用

8.故人の住んでいた家に住み続けて大幅に評価額を下げる

被相続人が生前住んでいた住居(被相続人が介護施設に入居していた場合はその前に住んでいた住居)や事業で使用していた店舗などを、一緒に住んでいた相続人などがそのまま相続する場合に、一定の面積の宅地の評価額を大幅に減額させる小規模宅地の特例があります。

被相続人が住んでいた家に配偶者がそのまま住み続ける場合などは330㎡までの評価額を8割減額する、節税効果が非常に高い特例です。

このときに注意していただきたいのは、事業を新たに行う為に相続人が相続する場合には小規模宅地の特例は適用できないということです。

 

事業用の宅地で小規模宅地の特例を適用させる場合、被相続人の事業を申告期限までの間に引継ぎ申告期限を迎えるまでは継続し保有し続ける必要があります。

もしも父がパン屋を営業していて父亡き後はその店で新たにケーキ屋さんを始めたかったとしても、小規模宅地の特例を適用させたい場合はパン屋として事業承継し申告期限まではパン屋であり続ける必要があるのです。

また小規模宅地の特例は評価額を大幅に下げることが出来ますが、全ての人が使うことが出来るかというとそうではありません。

 

被相続人の配偶者や同居の親族がいた場合にはそれ以外の親族では適用できませんし、3年以内に自分かその配偶者が所有する家屋に居住したことがある人は適用させられません。

その為子供全員それぞれ巣立ち、自宅を所有している状況である場合には「特例を使う為にしばらく移住して生活しよう」というようなことは出来ないのです。

 

 

9.現金を不動産に換えて評価額を下げる

例えばこれまで貯金してきた現金と退職金であなたの財産に預貯金が多くあったとします。

その状態で相続を迎えた場合、相続税を評価するときに価値は変わりません。

しかしその預貯金で不動産を購入していた場合、話は変わります。

現金は相続税を評価する場合にもその金額で評価しますが、

  • 土地は路線価評価額(実勢価格の8割程度
  • 建物は固定資産税評価額(実勢価格の7割程度

で評価します。

 

その為実勢価格1億円の土地を取得した場合、相続税評価額に関していえば1億円を7,000万円程度の評価額に引き下げたということになります。

更に賃貸マンションや底地権などの他者に貸している土地建物は所有者の自由には出来ないということで更に評価額を下げることが出来ます。

 

 

10.使っていない土地建物をそのままにしない

更地の土地がある場合、賃貸物件に適した立地であるならば賃貸物件を建てた方が、評価額は下がります。

また空き家になってしまっている建物がある場合にも、賃貸することで相続時の評価額を下げることが出来ます。

そして賃貸物件として収益を出せば、預貯金を準備して納税対策に繋げることも出来るのです。

駅から遠いなど、賃貸物件にするよりも別の活用方法がある場合でも、活用することで収益を上げることができるのであれば、納税対策となるでしょう。

 

 

11.土地の評価額が実勢価格よりも高くないか確認してみる

基本的に相続時に土地の評価額を出す場合、路線価方式で算出します。

路線価は国税局によって定められる1㎡辺りの評価額で、実際の土地の売買の指標となる公示地価の8割程度の額となっています。

そのため基本的には実際の取引額(実勢価格)よりも安価になり、「現金をそのままにするよりも、賃貸物件を取得した方が同じ価値でも評価額は下がる」ということになります。

しかし、道路に面していなかったり、形が悪く普通の建物が建てられないような不整形地の場合は話が変わってきます。

 

立地や形状が悪い場合、路線価に「形が悪い分安くしますよ」という補正は入ります。

しかしそれでも道路に面してなく、建物が建てられないような「ほとんど価値がない土地」の場合、補正をしても路線価で算出する評価額は実勢価格よりも高額になってしまいます。

その場合は不動産鑑定士に土地の評価を依頼し、適切な土地の評価額を出して、その評価額で申告をした方がいいでしょう。

とはいえ不動産鑑定士の鑑定額が「必ず通る」というわけではなく、税務署から何か言われてしまうこともあります。

一度実勢価格を調べてみて、その時点の路線価評価額と比較してあまりにも安くなるようなら、その土地は手放すようにした方がいいでしょう。

 

 

不動産の活用は注意が必要

アパートなどを取得して評価額を下げようという場合には、現金があって土地があるから建ててみようというような安直な考えでアパートを建ててしまうのは危険です。

最寄り駅から自動車で通わなければならない、周辺にスーパーや病院などの施設がない土地などでアパートを建てても需要がそこまで高くなく入居者が集まらない…

ということになると賃料収入がありませんし、維持費の負担もかかってきてしまいます。

一時期は「借金をしてでも更地にアパートを建てた方がいい」というようなアドバイザーもいましたが、借金をした上で入居者が集まらず賃料収入が得られないということになれば生活が苦しくなってしまう恐れもあります。

更地を所有している場合、安直に賃貸マンションを建てるようなことをせず、その土地の管理運用を考えたときにどのような活用方法があるかを、専門家に相談したほうがいいでしょう。

 

 

分類外の相続税対策

12.相続税の非課税財産を購入

葬儀費用などは相続財産から控除することが出来るので、賑やかな葬儀にすることで相続税率が下がるのであれば検討してみてもいいでしょう。

また、仏壇や墓石などは相続発生後に相続人が購入しても相続税対策にはなりませんが、被相続人が生前に購入すると非課税財産となり相続税対策となります。

終活として、自分で墓石や仏壇を購入して節税するというのもいいのではないでしょうか。

なお、資産として価値のあるものは対象外となっているので、「買えるだけ資産価値のあるものを購入して、相続開始後売却しよう」ということは出来なくなっています。

 

 

13.認知症対策で認知症になっても財産が凍結されないようにする

生前贈与や孫の教育費などを出すなどは、認知症になり意思能力がなくなってしまうと出来なくなります。

それだけでなく、売買契約などの法律行為も出来なくなってしまうので

  • 孫が大学を卒業するまで教育費を出してあげたい
  • 親が「自分が認知症になって実家が空き家になったら、実家を売却して老人ホームに入居したい」といってた

というようなことも出来なくなってしまうのです。

 

暦年贈与などの相続税対策を考えたとしても、その途中で認知症になってしまった場合はそれ以降の相続対策が出来なくなってしまいます。

事前に認知症対策をして、最後まで相続税対策を兼ねた孫のため、親のための行為を最後まで続けられるようにしませんか。

 

 

注意が必要な相続税対策4選

1.養子縁組の活用

相続税法上では実子がいる場合には1人、いない場合には2人までの養子も基礎控除額の計算に含めることが出来ます。

とはいえ基礎控除額が上がって納税額が下がるのだとしても、法定相続人が増える以上相続分は少なくなってしまいます。

養子にするだけして相続させないようにすればいいと考えたとしても、遺留分減殺請求や遺産分割調停の申し立ては出来てしまいますし、税務署としても「相続税逃れの為の行為なのでは?」と疑われてしまう可能性もあります。

相続税の基礎控除額を600万円~1,200万円上げるために、相続が争いに発展し争族になってしまうリスクを高めるということになってしまうので、よく考えてから養子をどうするのかは決めるようにしましょう。

 

 

2.タワーマンションの購入

タワーマンションの上層階の購入が節税になるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、今後はそうはいかなくなってしまいます。

一般的にタワーマンションの上層階は、下の階と比較してプレミアがつき高額になります。

しかし固定資産税評価額は上層階でも下の階でも変わりません。

そのため上層階の部屋を購入しておけば、下の階を購入するよりも節税に繋がるというのが、「タワーマンションの上層階の購入が節税になる」という話でした。

 

しかし平成29年度の税制改正により、タワーマンションの

  • 上層階は固定資産税が増税
  • 下の階は固定資産税が減税

というように変わります。

大体中間の階がこれまでの固定資産税と同じくらいで、タワーマンション1棟全体で見ると課税額は変わりません。

この税改正により、タワーマンションの上層階を購入して相続税対策をしようとしても、上層階であればあるほど評価額が高くなってしまいます。

変わらない固定資産税と上層階のプレミア価格が節税効果の肝である以上、税改正によりタワーマンションの節税は旨味が少なくなってしまったのです。

今回の税改正はタワーマンションの節税を意識して改正されたものだと考えられ、これから先も行き過ぎた節税に関してはこのようないたちごっこが進むと思われます。

 

 

3.海外に移住する

この方法も税法改正によりハードルが高くなったため、利用することは難しくなりました。

とはいえ元々富裕層であっても簡単ではない超富裕層向けの節税だったので、この方法を選択することは難しかったと思います。

そもそも、日本の法律に準じた相続税を納付しなければならないのは、日本に住んでいたり日本国籍を有していたり、相続財産が日本にあったりという要件を満たしているからです。

そのため日本国籍から相続税法のない国の国籍に移し、財産も外国に移し日本の相続税法から逃れることで、相続税を支払わなくてもよくなるという節税方法です。

もちろん元々簡単なことではなく、相続人と被相続人が外国籍に移し日本国籍を持たなくなってから5年間すみ続ける必要がありました。

 

この5年間海外に移住する必要があることを5年間ルールとも呼び、この5年間ルールをクリアすることで日本の税法の適用外となれるのです。

海外に5年間移住という時点で高いハードルですが、相続税法の改正によりハードルの高さが2倍になったのです。

現在では相続人、被相続人双方が10年間海外に移住する必要があり、多額の財産があったとしてもこの方法をとりにくくなっています。

なお海外に10年間移住していても、相続する財産が日本にあれば相続税が課税されてしまうので、海外の株式を購入するなど財産を海外に移行する必要があることも注意が必要です。

 

 

4.結婚・子育て資金の一括贈与

生前贈与の項目で教育資金の一括贈与を紹介しましたが、この結婚・子育て資金の一括贈与も同様に、祖父母・両親から子・孫に最大1,000万円までの贈与が非課税となるというものです。

「似たような制度であれば相続税の節税になるのでは?」と思うかもしれませんが、この結婚・子育て資金の一括贈与は、贈与者が亡くなった場合残っている分は相続財産に加算されてしまいます。

そして結婚・子育てに関わる贈与はその都度であれば元々非課税となるものがほとんどです。

結婚・子育て資金の一括贈与をすると、贈与者が認知症などで意思能力がなくなっても贈与を続けられるのでその点では効果はありますが、教育資金の一括贈与ほどの効果はありません。

 

 

5.土地を一部売却して不整形地にする

かつては「土地の一部を売却して三角形やL字型のような不恰好な土地の形にすることでも節税できる」と勧めるアドバイザーもいました。

これは土地の形を三角形やL字型など評価額の低い不恰好な形の土地(不整形地)にすることで、財産価値を低くする手法でした。

しかしこのような評価額の下げ方ではその土地での資産運用が難しくなり、財産であるはずの不動産が固定資産税などの維持費だけがかかる負動産になってしまいます。

不動産を利用して評価額を下げることで節税をしようという場合は、不動産運用のことも考慮して計画を立てる必要があるでしょう。

 

 

 

相続サロン多摩センターには宅地建物取引士であり、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントでもある不動産と相続のプロが在籍しています。

不動産運用に関する観点をふまえての相続対策の提案も出来ますので、お気軽にご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

 

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