1. TOP
  2. 不動産相続
  3. 認知症になった後に相続対策は出来るのか?

認知症になった後に相続対策は出来るのか?

 2017/07/01 不動産相続 相続対策
この記事は約 10 分で読めます。

多くの人は「自分の家族が相続で争うはずがない」と考えているでしょうから、当然相続対策なんて考えもしないでしょう。

子供たちから「相続対策しないと遺産分割が…」「今のままだと相続税が払えない…」という話をしたとしても、父にその気がなければ「俺に早く死ねっていうのか!」「家で相続がおきても争いになることはない!」と話を全く聞いてもらえないということもあります。

そもそも当サイトをご覧になってくださっているあなた以外相続で争いになるということを全く想定せず、「私たちで争いになるわけがないでしょ」と言われてしまうケースもあります。

そのまま流されてしまい相続対策を何一つ行わないまま時が流れ、認知症などで判断能力がなくなってから「そういえばこのままだと相続のときどうなるんだろう…」と思ったときにその後対策が出来るのでしょうか?

 

例えば

  • 「築年数的にそろそろリフォームした方が良いんじゃないかな?」という、賃貸マンションやアパートがあった場合
  • 自社株を父が所有している場合
  • そんなに多くないと思っていた財産が調べれば調べるほど出てきて、このままでは相続税が予想以上に高額になってしまう場合
  • 自分の住んでいる土地建物も父名義だった場合

というようなことが見つかったとします。

 

一般的に認知症などで判断能力がなくなってしまった後は契約行為や法律行為は出来なくなってしまうので、リフォームをする為の契約は非常に難しくなってしまいます。

成年後見人をつければ最低限の修繕は可能ですが、新しい賃貸借契約は成年後見人では原則的に出来ないので退去者が出ればその後の収益に支障が出てしまいます。

自社株を父が所有している場合認知症の父には議決権の行使は出来ませんから、会社の経営にも支障が出てきてしまう恐れが高くなります。

株式や不動産を所有している場合など自身の財産を周りに言っていなかったとしても、判断能力がなくなって郵便物の管理が出来なくなれば子供などの身近な家族がその存在に気付くことも出てきます。

父の財産が多くなると、その分相続税も高額になってしまいます。

 

また固定資産税を自分で納付していたとしても所有権が父になっている場合、そもそも固定資産税を支払っていなかったというケースもあるでしょう。

そのような場合相続財産にあなたの住んでいる土地建物も含まれてしまうことになるので、父の財産の不動産の割合が多い為に相続税を支払うことが出来なかったり、遺産分割によってはあなたが住んでいる家を売却して現金での売却をするか、借金をして相続分が少なくなった他の相続人に現金を渡さなければならなくなることもあるのです。

 

このような相続が起きたときのリスクに気がついたときに、「では今から相続対策をしよう」と考えて何か対策が出来るでしょうか?

先に結論から言ってしまいますと

「本人が認知症になってしまった段階で相続対策はほぼ出来ません」

今回はそもそも相続対策とはということと、本人に判断能力がなくなってから何が出来るのかについて紹介します。

 

 

判断能力がなくなると相続対策は出来ない

相続対策というと、不動産などの財産を整理して分割しやすくしたり、遺言を遺したり等の財産の分割をスムーズにする行為と、相続のときに課税される相続税をいかに少なくしたり納税しやすい状態にする相続税対策があります。

相続税対策というといかに相続税を減額させるかを考える「節税」という言葉が有名ですが、行き過ぎた節税はその後の資産運用を大きく妨げてしまう恐れがあるので注意が必要です。

例えば正方形のキレイな形をした土地の形を悪くして評価額を下げたり、最寄り駅まで自動車で20分以上かかる土地であっても借金をしてアパートを建築し相続税評価額を下げるなどの節税が行われたこともあります。

 

しかし土地の形を悪くするとその後の資産運用に支障が出る恐れもありますし、入居者が見込めない環境の土地にアパートを建てた結果現金がなくなり相続税の納付も遺産分割も上手くいかなくなったというケースも存在します。

土地の評価額が高いままであっても利便性のある土地に賃貸マンションなどを建築してその土地建物に納税資金を稼いでもらったり、土地を売却して遺産分割のしやすい現金にするという手段も考えた方がいいのです。

土地建物を売買したり資産運用することで分割しやすい・納税しやすい環境にすることや、遺言書や任意後見制度、家族信託など相続対策には様々な手段があります。

 

しかしこれらの行為を行う為には前提となることがあります。

それは本人に判断能力があることです。

もしも本人が認知症や脳梗塞の後遺症などで判断能力がなくなってしまった場合、民法の定めによって不動産の売買、任意後見制度や家族信託などの契約行為や、遺言のような法律行為は出来なくなるからです。

 

 

相続対策は本人が行う相続人の為の行為

判断能力がなくなった人の定期預金を解約しようとしたとき、ほとんどの場合銀行から成年後見人を選任しなければ出来ないといわれてしまうでしょう。

成年後見制度は判断能力がなくなった人を成年後見人(以後本人)として、本人の代理権を持つ成年後見人を裁判所が選任し本人の代わりに財産管理、身上監護をしてもらう制度です。

これだけだと「成年後見人を選任すれば相続対策も出来るのでは?」と思うかもしれません。

しかし成年後見人は本人の財産を「本人の為」「静的に」維持する為にしか代理権を行使できず、実家の売却などは裁判所に許可をとらなければなりません。

 

例えばあなたの父の相続対策を行ったとして、その対策は父のためにはなりません。

何故ならば、相続が発生するということは既に父(被相続人)は死去しており、遺産分割の話し合いをするのも相続税の申告をするのもあなた方相続人です。

その為

  • 父が介護施設に入居したから、空き家は相続対策として売却しよう
  • 父の財産を少なくする為に生前贈与をどんどんしよう

というような本人の為ではない財産管理は出来ませんし、相続対策はもちろん「何年後かには自宅を売却した資金を介護費用として利用するから」というような緊急性のない場合も裁判所から許可を得るのは難しいでしょう。

 

また「空き家になった実家を取り壊して賃貸マンションを建てて資産運用しよう」というような「動的な」財産管理も出来ません。

既に所有している株式も売買は原則出来ず、著しく価値が下がったときに売却できるかできないかということなので、本人の判断能力がなくなってしまった段階で資産運用によって財産を増やすのは諦めた方がいいでしょう。

 

 

既に判断能力がなくなってしまったのであれば相続人間の話し合いが重要

本人に判断能力がなくなってしまった時点で遺言や家族信託、資産運用などの相続対策は出来なくなります。

出来ることとすれば、相続人同士でしっかりと話し合うことです。

本人の財産はどのようなものがあるのかをしっかりと把握し

  • 相続税はどの程度かかってしまうのか
  • 誰がどの財産を相続するのか
  • 実家が空き家となる場合はどうするか

等の事柄を全員が納得するまで話をすることで、円満な相続を目指すことが出来ます。

 

相続税がどの程度かかるかを事前に計算し、相続分からそれぞれがどの程度負担することになるのかを算出すれば少しずつ貯金して備えることも不可能ではないでしょう。

またトラブルの原因になりやすいのが、空き家になる実家をどうするかということです。

核家族化が進んだ影響で父の相続時にはそれぞれ自宅を持っていたり、賃貸でも実家から離れている為に実家で生活が出来ないというケースが多くなりました。

国土交通省の「平成26年空家実態調査」によると人が住んでいない戸建て空き家を取得した理由で最も多いのは相続で、なんと空き家の過半数(52.3%)は相続されたものだったのです。

 

実家というものは相続人からすれば思い出の詰まった価値のあるものであり、誰も住まないとしても中々手放せるものではないでしょう。

相続開始の段階で相続財産は共有名義となっているので、売却する場合には名義人全員の合意がなければなりません。

その為相続人の中に1人でも「実家を売却するなんてとんでもない!」という意見が出てしまうと、売却は難しくなるのです。

もしも全員が実家を売却することに合意したとしても、築年数の経った家は価値が低くなってしまいます。

そして「どうしても売却しなきゃいけないのだとしても、出来るだけ高く売りたい」という意見があると、せっかく適正価格で買い手が見つかったとしても売却に踏み切れないということもあります。

 

人が住まなくなった家は傷むのが早いので、買い手が見つからず時間が経過した結果家が劣化して更に売却が難しくなります。

また遺産分割自体は期限が設けられていないので10年20年話が続いても分割は出来るのですが、相続税の申告には10ヶ月という制限があります。

この期間の間に相続税額を算出し税務署に申告・納税しなければ相続税の基礎控除以外の特例などの恩恵を受けることが出来なくなってしまいます。

遺産分割協議が難航し相続税の申告・納税を忘れてしまうことになってしまうと、「せっかく制度を利用すれば納税額が安くすることが出来たのに、もたもたしてたらそれが出来なくなった…」というようなことになってしまう恐れもあります。

相続が始まる前にしっかりと話し合いをすることで、相続税額を抑える最後のチャンスを逃さないようにしましょう。

 

 

弁護士に代理を依頼すると他の相続人は…

このときに気をつけていただきたいのが、専門家への依頼です。

筆者の親族もそのような事態になってしまったのですが、話し合いを始めようというときに相続人の1人が自分の代理だとして弁護士に依頼をしてしまったのです。

当人がどういう意図だったとしても、他の相続人からすれば話し合いが始まった段階で弁護士を雇って話し合いの代理になってもらうという行為は、「あなた方とは話をする気はない」と宣言されているようにしか感じられません。

片側だけが専門家という状態では依頼していない側は当然不利になってしまうので、他の相続人も弁護士に依頼をします。

 

弁護士は依頼人の利益を追求しようとする傾向があるので、弁護士同士が対立すれば話を円満にまとめるのは難しくなってしまいますし、相続人同士の信頼関係も崩れやすくなるでしょう。

せめて話し合いで意見が対立してどうしようもなくなったという状況になるまでは、相続人同士で話し合うようにした方が話はまとまりやすくなります。

とはいえ相続対策としてどのようなことを話せばいいのかは、なかなか分かるものではありません。

そのようなときに、相続についての知識を持つ専門家に相談をしてみてはいかがでしょうか。

 

突然相続人の1人が弁護士を雇って代理として交渉しようとすれば反発必至ですが、推定相続人間で話を進める為に知識を持つ専門家に相談しようと提案することは不自然ではないでしょう。

相続サロン多摩相談センターには日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントである、宅地建物取引士の資格を持つ相続と不動産のプロが在籍しています。

遺産分割についてや相続した後の不動産をどうするかなど、特に不動産が関わる相続に適切な提案をすることが出来ます。

相続や不動産で不安なことがあれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

この記事のタイトルとURLをコピーする

\ SNSでシェアしよう! /

家族信託と不動産相続naviの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

家族信託と不動産相続naviの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

古谷

この人が書いた記事  記事一覧

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

  • NHKあさイチでも話題!親が認知症になる前に家族信託を相談したいけど、誰に相談すればよい?

  • 実家が売却できなくなる?アルツハイマー病の症状とは?

  • 老老介護の問題点と認認介護の危険性

関連記事

  • 遺産分割協議で「あの人の財産は要らない!」と言うだけにしてしまうと・・・

  • 空き家になった実家を売却しようか迷ったときに知るべき知識

  • 土地の相続の恐ろしさを知らずに相続が起きてしまうと…

  • 認知症になる前に!節税・納税対策・遺産分割・争族対策~相続対策の完全ガイド~

  • 相続財産がどのように分けられるか知っていますか?

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?