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成年後見制度で遺言が台無しになることがあるのを知っていますか?

 2017/06/27 相続対策 遺言を書く前に知っておきたいこと
この記事は約 8 分で読めます。

成年後見制度は判断能力がなくなった人を被成年後見人として、成年後見人が身上監護、及び財産を保護する制度です。

そして遺言は自分が亡くなってしまった後に自分の財産をどう分けるか指定したり、自分が相続人のことをどう想っているか伝えられるものです。

どちらも本人や家族のためになる制度なのですが、遺言の書き方によっては「成年後見制度を利用した結果遺言がトラブルの原因になってしまった」という状況になってしまう可能性があるのです。

 

これは「成年後見人が悪人で、財産を使い込んでしまったからだ!」というケースだけでなく、被成年後見人のために財産を使った結果や、財産を保護する為の制度が原因になってしまっているケースもあります。

そこで今回は、成年後見制度により遺言の遺産分割の指定が上手くいかなくなるケースを紹介します。

 

 

成年後見制度と後見制度支援信託

成年後見制度は認知症や脳梗塞の後遺症、知的障害で判断能力がなくなってしまった人を被成年後見人とし、成年後見人を裁判所が選任することで被成年後見人のことを守ろうという制度です。

成年後見人は被成年後見人(以後本人)の財産を、本人の為に維持を目的とした管理と本人の心情監護の義務を持ちます。

判断能力がない方が行う法律行為は無効となる判例があり、定期預金の解約や不動産の売買などを行う際には銀行や不動産会社などほとんどの企業は本人に判断能力があるかを確認します。

判断能力(意思能力とも)がないのではないかと判断した場合「成年後見人を選任してからにしてください」と成年後見制度の利用が促されるでしょう。

 

成年後見人は裁判所に選任の申立書で誰がなりたいかの要望をすることは出来ますが、最終的に裁判所の判断で選任します。

当初は親族が成年後見人に選任されるケースの方が多かったのですが、現在は本人の子供などの家族が成年後見人となるケースと、弁護士や司法書士などの第三者が成年後見人となるケースが半々となっています。

これは家族が成年後見人となった場合、本来であれば「本人の為」にしか使えない本人の財産を、「私は家族だから当然使えるだろう」などと無自覚に自分や家族の為に使ってしまうことが少なくないなどの理由が挙げられます。

 

その為現在親族が成年後見人に選任される場合、裁判所以外の監視・補佐の役割として弁護士司法書士を成年後見監督人としたり、後見制度支援信託の利用が求められています。

後見制度支援信託は成年後見人に本人の財産の管理を全て任せるのではなく、必要な分以外の現金を信託銀行に信託口座を開設してそこに移すことで不正の予防、管理をしやすくする制度です。

信託口座の金銭は信託銀行が管理し、定期的に一定額を被成年後見人の口座に交付します。

それ以外では裁判所の指示書がなければ信託口座の金銭をおろすことは出来なくなっているので、成年後見人の不正を防ぎます。

 

 

何故成年後見制度で遺言が駄目になってしまう危険性があるのか

このような本人の財産を守る成年後見制度と後見制度支援信託ですが、遺言の書き方によっては成年後見制度により遺言で指定した遺産分割の内容が駄目になってしまうことがあります。

 

 

後見支援信託で現金の在り処が変わってしまう

遺言で金銭の相続配分を決める際に、「○○銀行の口座にある貯金を長男に相続させる」というような記載をすることがよくあります。

これは間違った記載方法ではなくて、弁護士や司法書士のHPでも記載されるような有効となる遺言の書き方です。

しかしこの記載方法で遺言を書いた場合、その口座の現金が移動してしまったときに「その現金は元々この口座にあったものだ!」と主張しても受け取ることはほぼないでしょう。

そして成年後見制度を利用するときに後見制度支援信託を利用することになった場合、預金は一定額を除いて信託銀行に信託されます。

 

例えば「○○銀行の□□口座の現金は次男に、実家とそれ以外の財産は長男に相続させる」という遺言を父が遺していたとします。

遺言を書いた時点で普段使っている口座とは別に次男に相続させる用の□□口座を開設し2,000万円を振り込み、そのまま保持すれば父としては相続対策をしたことになります。

成年後見制度を利用することなく亡くなったり、利用したとしても成年後見監督人を選任すれば、多少金額は増減するかもしれませんがおそらくその通りに相続されるでしょう。

そもそも成年後見人が親族ではなく弁護士司法書士などの第三者であればどちらも利用せずにすみます。

 

しかし子供が成年後見人に選任され、遺言の内容を知らずに「父さんがこのまま長く生きてくれるのなら、監督人よりも支援信託の方がコスト抑えられるかな」と支援信託の利用を選択してしまうと状況は一変します。

信託財産として一定金額を除く預金は信託銀行の信託口座に移行するので、□□口座にある2,000万円も当然信託口座に移ります。

その後父が亡くなったときに遺言が見つかった場合、その遺言通りに遺産分割するとカラッポの□□口座が次男に、元々□□口座に入っていた現金を含めた全ての財産は長男に相続される形になってしまうのです。

この場合長男が遺言の通りの遺産分割を主張すると、父が「相続が争いになり争族にならない為に」と遺した遺言が原因で争族に発展してしまうことになります。

 

 

成年後見人が財産の形を変えてしまった

預金が後見制度支援信託で信託口座に移ってしまうことだけが問題というわけではありません。

弁護士や司法書士などの第三者が成年後見人になった場合や、成年後見監督人を選任した場合には後見制度支援信託をせずに済むことが多いです。

その場合信託口座に預金を移すことはないのですが、遺言書の内容を成年後見人が知らない場合介護費用などを遺産分割のために作成した口座から支払ってしまう危険性もあります。

また被成年後見人がガンなどの難病に罹患した場合のような保険対象外の高額医療でまとまったお金が必要となったときに、隔離した口座にあるまとまったお金を利用する可能性もあります。

 

遺言が公正証書遺言で、遺言書作成のサポートを依頼していた弁護士司法書士が成年後見人になっているのであれば、遺言の中身を知っている以上そのようなことは起きないかもしれません。

しかし公正証書として残すのではなく自分の直筆で書く自筆証書遺言などでは、多くの場合遺言の内容については周りに語りません。

その為遺言を作成したときには予想していなかったことが、本人が認知症となりもう遺言の内容の変更が出来なくなってしまってから起きてしまうこともあるのです。

 

例えば「○○銀行の□□口座の現金は長女に、△△口座の現金は次男に、実家とそれ以外の財産は長男に相続させる」という遺言を父が遺していたとします。

2人の子供のために地震が普段使っている口座とは別に2つの口座を開設し、残りの預金でこれからの人生を楽しもうとしていたというケースの場合、遺言を書いたときには想定していなかった予期せぬ出費で不平等が起こる危険性があります。

本人の判断能力がなくなってしまって介護施設に入居し本人の口座に残っている預金では介護にかかる費用をまかなえないという場合、成年後見人は□□口座か△△口座から支払うようにするでしょう。

遺言の内容を知っている人物であれば□□口座と△△口座から交互に引き出すなどの行為をしてくれるかもしれませんが、誰も遺言の中身を知らないのであればどちらかの口座からしか支払わないでしょう。

そうなると口座で相続先を指定する遺言を遺していた場合、長女か次男のどちらかは「ほとんど預金が残っていない口座」を相続することになります。

 

 

現金の相続は相続分の指定の方がトラブルになりにくい

口座を指定しての遺産分割では、その口座から現金が移動してしまった、特定の口座から費用を支払われてしまった場合トラブルに発展しやすくなります。

もし遺言で現金の遺産分割の指定をしたいのであれば、割合で指定した方がいいでしょう。

金額で指定する方法もありますが、想定していなかった出費が起きてしまったときに現金が指定した金額より少なくなってしまう危険性もあります。

しかし「現金・預貯金の内長女に1/2、次男に1/2、実家を含めたそれ以外の財産は長男に相続させる」というような遺言にしていれば、後見制度支援信託を利用して預金の大半が信託口座に移ってしまった場合や預金が想定より少なくなってしまった場合にも対応することが出来ます。

 

 

このような遺産分割の書き方の他にも、遺言には書式などの注意点や保存の仕方について注意した方がいい点があります。

特に自筆で遺言を書こうという場合、保存だけとっても公正証書遺言よりも注意しなければならない点が多くあります。

 

相続対策として遺言を残すことは大切なことですが、場合によっては他の相続対策も併用した方がいいケースもあります。

相続サロン多摩相談センターでは日本相続コンサルティング協会の相続コンサルタントであり、家族信託普及協会の家族信託コーディネーターでもある最近話題の家族信託も含めた相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士であり不動産のプロでもあるので、不動産が絡んだ相続に特に強くなっています。

相続対策で不安なことがあれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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