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土地を貸したら半永久的に帰ってこないと思っていませんか?

 2017/06/23 不動産相続 相続対策
この記事は約 11 分で読めます。

普通借地権で土地を貸した場合、賃借人が「解約したい」といわない限りほぼ永久的に土地が戻ってこないといっても過言ではないでしょう。

定期借地権制度であればこの「半永久的に貸さなければならない」ということはなくなるのですが、普通借地権、普通借家権のイメージが強すぎて土地を貸すという手段を考えたくもないという方が少なくありません。

土地建物を貸した結果、契約期間が満了しても「貸した側に正当な理由(自分が使用する用途のみ)がなければ強制的に更新される」ということになって不利益をこうむり続けている人が多い以上仕方のないことかもしれません。

 

しかし定期借地権であれば契約期間が過ぎた後の法定更新はありませんし、高額な立ち退き料を支払う必要もありません。

その為対抗措置として高額な権利金を設定する必要もなくなり、借主側にもメリットが出来るようになっています。

権利金の設定が必要なくなったことでこれまでよりも安価な金額設定となり借りる側にもメリットが生まれ、契約期間で区切ることが出来るので計画的な資産運用が可能となります。

これまでは「資産運用で土地を貸すなんてありえない!」という状況だったのが、定期借地権の登場で土地を貸すということを資産運用の選択肢に加えることが出来るようになったのです。

 

しかし、そうは言ってもこれまでの借地法・借家法での苦い思い出があればなかなか信用することは出来ないでしょう。

そこで今回はこれまでの普通借地権の問題点を紹介し、定期借地、定期借家ではどのように改善されているのか、活用する上でどのような注意点が必要かを紹介します。

 

 

借地借家法は借りる側を保護する法律だけど…

そもそも土地建物を貸し借りするときに利用する借地借家法は、立場が不利になりがちな借主を保護する為に制定された法律です。

土地や建物を借りる上で、法律で保護をしない場合はどうしても「借りる側が不利」になりやすくなります。

他に借りることができる土地建物がない場合、貸す側が「毎月の賃料はこれぐらいで、契約更新の際には賃料何か月分、更新は1年毎にするなら貸してもいいよ」と通常考えられないような法外な価格設定をしたとしてもそれに従う以外の選択肢がなくなってしまいます。

その為貸す側が法外な要求ができないように借りる側を保護するために、借地法・借家法が出来ました。

 

1941年には戦時立法として「法定更新」の定めが出来て貸す側に「正当事由(正当な理由)」が無ければ更新を拒否できず、正当事由が認められても「立退料」を渡さなければならなくなりました。

当事は太平洋戦争が始まった頃で、「大黒柱たる兵士が戦争に向かった為に契約の更新が出来ず家族が家から追い出されてしまった…」ということにならないようにする為などの理由がありました。

しかしその後もその制度が続いた結果借りる側の権利が強くなり過ぎて採算性が取れなくなり、貸す側が貸し渋るようになったのです。

 

 

借地法は他国でも類を見ない不便な制度

現在でいう普通借地権、当時でいう借地法は世界の法律にはない特徴があります。

それが

  • 法定更新
  • 正当事由

です。

 

通常であれば「期間を決めて貸したものはその期間が終了したら貸したものは帰ってくる」のですが、それが起きないようになっている原因が法定更新です。

法定更新は契約当事者(貸主・借主)が一定期間の間に契約を更新しないなどの通知をしない場合に自動的に契約が更新される制度です。

契約を更新しない通知をすれば契約は終了するのかというと、そうとも言えません。

 

借主は契約を更新しない旨の通知をするだけでも問題はありませんし、土地に建てた建物を貸主に売却することも出来ます(建物買取請求権)。

しかし貸主が「契約は更新しない」と通知をする為には、正当事由が必要になります。

正当事由として認められなければ貸主が契約更新に異議を唱えていたとしても認められることはなく、自動的に契約は更新されます。

その為「土地にアパートを建てて資産運用をしたい」と思っていても、借主が「まだ土地を使いたい」と契約解除の合意をしなければ、半永久的にその土地は資産運用をすることが出来ません。

 

どのような理由が正当事由と認められるかの明確な規定ではなく、判例によるところが強いので一概には言えません。

しかし「アパートを建てて土地活用したい」「将来的に子供がその土地に家を建てるかもしれない」というような資産活用や、現状必要なのではなく「将来的に必要となるかもしれない」というような理由では難しいでしょう。

仮に認められたとしても、「契約が終了するから出て行く」のではなく「本来であればそこに住み続けられるはずだったのに貸主の都合で住めなくなった」という見方になり、補償として「立退き料」を支払うのは当然という考え方になってしまいます。

この立退き料の高さも問題となります。

 

裁判によってその土地を賃貸借していたことで得られた利益のほとんど、または収益以上の立退き料の請求がなされることも少なくなくありません。

その為昔から地主であった方が、「資産活用として土地を貸すのはありえない!」と選択肢に加えることすら拒否をするような状況になってしまいました。

そしてこの立退き料に備える為貸主は契約時に宅地であれば時価の5~6割、商業地に至っては時価の7~9割にものぼる権利金を要求することになりました。

 

このことによって貸主の

  • 貸したら半永久的に帰ってこない
  • 立退き料で採算が取れない

というデメリットだけでなく、借主側も

  • 高額な権利金を支払わなければならない

というデメリットが生まれました。

このような貸す側、借りる側双方に不便な制度となってしまったので、土地の賃貸借はほとんど行われることがなくなってしまったのです。

 

 

従来の問題点を解消した定期借地権

これまで土地の貸し渋りをしていた理由である「法定更新」「立退き料」のない新しい制度として、平成4年に定期借地権が施行されました。

借地法の借地権をほぼ変わらず受け継いだ普通借地権との違いとして

  • 契約満了で必ず土地が返ってくる
  • 立退き料は不要

権利金ではなく保証金・前払い地代への移行

 

定期借地契約では、契約期間が終了する際に法定更新は起きません。

その為定期借地契約であればこれまで発生してしまっていた「土地を貸してしまったために返してもらえなくなってしまった…」ということにはなりません。

契約終了で返ってくるので、「孫が大きくなったらこの土地に家を建ててあげよう」「この期間この人に貸した後は、今度はこっちの人に貸そう」というような長期的な資産運用の計画を立てることが出来ます。

 

また定期借地契約の場合は立退き料に怯える心配もありません。

「契約期間終了で立ち退くことが決まっている」ので、これまでのような「住む権利があるのに立ち退いてもらうから」と立退き料を支払う理由がなくなるのです。

立退き料で支払う負担がなくなるので、土地の賃貸での収益性が復活したことになります。

普通借地権では契約を更新しない場合借地上の建物を貸主に買い取らせることが出来る建物買取請求権がありましたが、定期借地権では原則更地にして返却しなければならないので買い取らなければらないという状況にはほとんどならないでしょう。

元々の契約として借地上の建物が築30年以上経過後、貸主が建物を買い取ることで借地権を消失させる「建物譲渡特約付借地権」となっている場合、買い取ることが借地権消失の条件となっているので買い取ることとなります。

 

更に立退き料が原因で高額な権利金を設定せざるを得なかったという背景があったので、立退き料が不要となる以上権利金を設定する必要がなくなったのです。

その代わりに不動産の賃貸借と同様保証金を設定したり、地代の一部を契約時に前払いで支払ってもらう前払い地代を設定することが多くなりました。

保証金は何事もなければ契約終了時に借主に返却する必要がありますし、前払い地代は契約全体の収益の一部を契約時に支払ってもらうものなので収益が増えるというわけではありません。

高額な権利金を設定する必要がなくなった以上保証金などを設定しても、普通借地権では借主側にとってもデメリットとなる契約時の初期費用が抑えられ借主側からしても借りやすくなるのです。

 

世界で見ると「何を今更」となってしまうかもしれませんが、この法定更新と正当事由がなくなった定期借地権は画期的な制度なのです。

実は名古屋ドームを建設する際「土地を購入するとドームの運用では採算がとれない」「普通借地権でも初期費用が高額になり採算性がない」という問題があったのですが、この定期借地権を活用して初期費用を抑えて建設したということです。

なお契約の形態によっては「契約を更新しない」「建物を再建築しても期間延長をしない」「建物買取請求権が行使されない」ということを特約として契約上に明記しなければならない場合があるので注意しましょう。

 

 

定期借家権についてとそのメリット

定期借地権に遅れた平成12年に施行されました。

普通借家権では法定更新により「築年数の影響でリフォームが必要だけど、リフォームをするために入居者に支払う立退き料が支払えない…」ということもありました。

しかし定期借家権にも定期借地権と同様に法定更新がないので、新規の契約を調整し入居者の契約期間終了に合わせれば立退き料の負担なくリフォームを行うことが可能になります。

また、定期借地権も定期借家権も「法定更新がない」ことをメリットとしてあげていますが、必ず契約終了後に立ち退いてもらわなければならないのかというと、そうではありません。

 

契約は期間終了で終了してしまいますが、再契約という形で貸し続けるということも出来ます。

その為再契約を前提として大学の新入生と2年契約の定期借家契約を結び、2年経過後に再契約を行うことで4年間住み続けてもらうこともできます。

このときに最初から4年間の契約にしないメリットとして、「借主の生活態度」などが挙げられます。

 

例えば入居者が毎晩のように友人を部屋に招き大声で騒いでいた、ゴミ出しなどのルールを再三注意しても守ってくれないなど周辺住民とのトラブルが頻発する素行の悪い入居者であったとします。

普通借家契約では更新時に貸主が更新を拒絶した場合でもよほど酷くない限り法定更新で入居し続けてしまいますし、4年間の定期借家契約では契約更新のタイミングがありません。

2年間の定期借家契約であった場合、素行の悪い入居者だったとき2年経過後に契約更新をしない選択肢をとることで、それ以上入居し続けることを防ぐことが出来るのです。

 

 

定期借家権のデメリット

定期借家権のデメリットとしては

  • 契約によっては通知しなければ明け渡し要求が出来ない
  • 説明不足を主張され定期借家権ではなく普通借家権と判断された事例も…

ということがあります。

 

定期借家契約は、1年未満の短期間の契約である場合には、長期滞在を前提としておらず特に告知をしなくても契約終了時に明け渡しを求めることが可能になっています。

しかし1年以上の契約の場合、契約期間が終了する1年前~6ヶ月前の期間に「期間が満了すれば賃貸借は終了する」ということを通知する必要があるのです。

この通知をせずに期間が満了した場合、貸主は借主に対して主張することが出来ません。

通知をせずに通知期間を経過した後明け渡しを要求する為には、その時点で通知をし6ヶ月が経過する必要があります。

 

定期借家契約を行う為には

  1. 期間が定められていること(無期限は出来ない)
  2. 更新がないということを合意していること
  3. 公正証書などの書面で合意していること
  4. 賃貸人(貸主)が賃借人(借主)に対して、あらかじめ書面で「更新がない」、「期間の満了で賃貸借が終了する」ということを説明していること

という要件を満たす必要があります。

 

ここで最も重要なのは、4.の説明です。

判例をみるとここでの説明はただ書面の内容を読み上げる告知ではなく、相手が理解するまで説明をしなければならないという解釈がされています。

平成24年の事業用の賃貸借契約にて、この説明が不十分ということで「この契約は定期借家契約ではなく普通借家契約であるため、法定更新される」という判決がなされました。

この事件では貸主側は書面を読み上げるような説明は行っていたということなのですが、相手側が理解しておらず説明が不十分だということになったようです。

 

 

相続対策での定期借地・定期借家の活用は相続に精通した不動産のプロに相談を

計画的な収益性が見込め、土地活用が見込める定期借地権、定期借家権は借地法・借家法の次代から比べると画期的な制度です。

しかし相続対策としての土地活用を考えたときに、相続対策・不動産活用どちらにとっても有効な方法を考えたいでしょう。

しかし節税などの相続対策ばかりに重点を置いてしまうと地域の需要を考慮できずに「最寄り駅まで徒歩30分以上なのに駐車場のないアパートを建てる」「評価額を下げる為に正方形の土地をT字などの不整形地になるよう売却をする」というような、土地活用としてはあまりよくない方法を選択する方もいらっしゃいます。

 

相続を考えずに土地活用してしまった結果、相続で平等な遺産分割が出来なくなってしまったり相続税が余計にかかってしまうこともあるでしょう。

相続サロンン多摩相談センターには宅地建物取引士であり不動産のプロで、なおかつ家族信託普及協会の家族信託コーディネーターであり、日本相続コンサルティング協会の相続コンサルタントである不動産と相続全般の専門家が在籍しています。

相続対策で不動産活用をお考えであれば、ぜひぞ相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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