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遺留分を意識した遺言を書いていますか?

 2017/04/27 相続対策 遺言を書く前に知っておきたいこと
この記事は約 12 分で読めます。
長男
父さんが『これで次男には一銭も財産はやらなくて済む』と言って遺言を書いた事を教えてくれたけど、本当に大丈夫かな…

 

遺言のことについて話をしたときに、特定の相続人だけに財産を遺す、又は特定の相続人だけには遺さないようなものになっていませんでしたか?

遺言を遺すことで遺産分割協議書をわざわざ作らなくても不動産登記が出来ますし、最初から「誰がどの財産を相続するか」が記載されているので揉める可能性も少なくなります。

しかし遺言で相続分を指定したとしても、遺留分を侵害してしまっているのであればその通りにならない可能性もあります。

 

遺留分は法律で保証された最低限の相続分で、これを侵害された場合は遺留分減殺請求をすることで遺留分の相続財産を取得できるようになります。

このことにより「私の財産は全て愛人に遺贈する」といった相続人の生活を脅かすような遺言に対して対抗できるようになっています。

この点に関しては遺留分のメリットとなっていますが、推定相続人の中に財産を渡したくない者がいる場合、そのままデメリットとなってしまうのです。

 

例えば相続での骨肉の争いを題材にしたサスペンスドラマのような、ギャンブルなどで借金を繰り替えし怪しい組織とも繋がっている弟(以後B)がいたとします。

そのような相続人には誰も財産を渡したくないと考えると思いますが、「Bには財産を相続させない」という遺言を遺してもらったとしても、Bが遺留分減殺請求をしてしまえばその分の財産は相続されてしまいます。

インターネットが普及した現在では遺留分について調べることは難しくないので、遺留分についての詳細は把握できなくても「なんとなく遺留分というものがあるということは分かった」という人は多くいます。

その為「遺留分減殺請求をされないだろう…」と考えて遺言を作ることは避けた方がいいです。

そこで今回は遺留分について紹介し、対策としてはどのようなものがあるのかをお話します。

 

 

遺留分とは

遺留分は民法で保証された最低限の相続分で、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります。

遺留分は被相続人の財産が全て他の人物に遺贈されてしまうなどで、相続人の生活基盤が脅かされないようにする為の制度です。

被相続人の財産の中には、配偶者など相続人が節約をしているからこそ今の財産があるというような、相続人の潜在的な財産分も含まれている可能性があるということなども考慮され遺留分が設定されています。

そのようなこともあり、被相続人の財産が生活基盤となっている可能性の高い配偶者、子供、親には遺留分が設定されているのに対し、それぞれ独立した生活基盤となっている兄弟姉妹には遺留分が設定されていません。

また親には遺留分が設定されていますが、被相続人に配偶者も子供もおらず相続人が親のみの場合の遺留分は少なく設定されています。

 

遺留分は被相続人の兄弟姉妹には無く、配偶者も子供もおらず親だけが相続人のときは相続財産の1/3となりますが、それ以外の場合は相続財産全体の1/2を遺留分として相続人全員で分け合うことになります。

 

 

遺留分の良い所・悪い所

遺留分は相続人の生活基盤を保証する制度なのであった方が良い場面もあるのですが、遺留分があることで困ったことになってしまうケースもあります。

 

遺留分があってよかった場面

遺留分を侵害 された妻
『私の財産は全て愛人に遺贈する』という遺言のせいで私も子供も路頭に迷うところだったけど、遺留分のおかげで自宅に住み続けられている

夫婦で働いているのが夫だけ、妻は専業主婦という場合、自宅や預金などは全て夫名義となっているでしょう。

その為夫が亡くなってしまった場合、生活基盤となる自宅や預金は全て相続財産となります。

 

遺留分が存在せず遺言で「愛人に全ての財産を遺贈する」とした場合、自宅も預金も全ての財産が愛人のものとなり、妻と子供は生活基盤の全てを失ってしまったでしょう。

この場合相続人に保証された遺留分は妻が1/4、子供が合わせて1/4となり、遺留分減殺請求をすることで被相続人の財産の半分は相続人が取得することが出来ます。

もっともこのような『相続財産を愛人に全て相続させる』というような相続人の生活基盤を脅かす遺言の場合、公序良俗に違反しているとして無効になる判例もあります。

 

 

遺留分で困ったことになる場面

遺留分を主張 された長男
借金をしては父に金の無心をしていた弟に財産を渡さないよう遺言が書かれていたけど、遺留分を主張されてしまった・・・

家族を放っておいて遊び続けていてお金に困ったときだけ無心をしてくるような長男と、自分のためにこれまで頑張ってくれた次男がいるとすれば、親としては頑張ってくれている次男に財産を渡したいと考えるでしょう。

しかしこのような場合でも、遺言で「私の財産は全て次男に相続させる」と書いても長男が遺留分を知っていれば遺留分減殺請求をされてしまいます。

 

しっかりとした情報かは別にして、遺留分自体は相続について調べてみるとすぐに見つけることが出来る単語ですので、遺留分減殺請求はされるものとして考えた方がいいでしょう。

そして遺留分減殺請求をされると、現行の法律ではほとんどの場合不動産など共有財産となってしまいます。

相続財産に株式が100株あったとすると、「2人で分けることになるから50株ずつだね」と思うかもしれませんが、実際は「2人の共有財産となっている株式が100株」となります。

 

共有名義の株式による議決権を行使する為には、共有となっている全ての所有者の合意が必要になりますし、実家などの不動産が共有名義になってしまうとリフォーム等の大規模修繕や売却などが、名義人全員の合意がなければ出来なくなります。

元々仲が悪いことに加えて、長男としては「自分に財産を渡そうとしなかった」、次男としては「父の想い(遺言)を無視した」という想いがあるので険悪になりやすくなります。

そのような険悪な状態で「こうしたいから同意して」と言われても、感情が先にきてまとまるものもまとまらなくなってしまう可能性が出てきます。

 

 

遺留分をどう対処するべきか

長男
遺留分があるのは分かったけど、どうしてもあいつに財産を渡したくない!

どうしても馬の合わない推定相続人(相続人になる予定の人物)がいたり、これまで苦労しかかけてこなかった推定相続人にもう何も渡したくない!という方もいるでしょう。

そういう場合にもただ遺言で財産を渡さないと書くだけでは、遺留分が存在するので減殺請求をされてしまいます。

遺留分を全く渡さない遺言は現在の法律ではほぼ不可能なので、そのようなときに考えられる方法として下記のようなものが考えられます。

 

 

遺留分のみ相続させる

遺留分が侵害されると遺留分減殺請求をされるということは、逆に言えば「遺留分さえ渡しておけば遺留分減殺請求はされない」ということです。

相続財産の中から遺留分相当の財産を確保しておけば、それ以上トラブルが続くリスクは大幅に減少させることが出来ます。

このとき、遺留分相当ピッタリの財産で済ませようと思うのであれば、万が一遺留分に足らず遺留分減殺請求をされてしまったときのために、遺言でどの財産から遺留分減殺請求が行われるかを指定しておくといいでしょう。

遺言で遺留分減殺請求をさせないことは出来ませんが、減殺請求をされたときにどの財産から行われるか、つまり遺留分減殺の順序の指定は可能です。

 

その為相続させる財産の中から、相続人の生活基盤を脅かさない財産から遺留分減殺請求がおきるようにすることが出来るのです。

このことにより、もしも遺留分を侵害してしまう量の相続分にしてしまっていたとしても財産を残したい相続人の生活を守ることが出来るのです。

この遺留分として渡す財産を、最終的に取り戻したいという場合は、家族信託を活用するのも手段の一つです。

家族信託を活用することで、遺留分の受益権は渡ってしまうことになりますが、その相続人が亡くなった後は相続させたい相続人の元に承継されるので、最終的には財産を戻すことが出来るようになります。

 

 

金の無心のときに遺留分放棄を条件にする

相続権自体は相続発生前に放棄することは出来ませんが、遺留分は被相続人の生前に放棄することが出来ます。

例として、相続財産を渡したくない人物が素行が悪く借金やギャンブルなどで父から金を無心してくるような場合、そのお金を贈与する条件として遺留分放棄を示すという方法があります。

相続財産を受けとりたいからとお金を要求しなくなった場合は遺留分相当の財産を相続するような遺言を遺せばそれ以上の財産を渡す必要はなくなります。

遺留分放棄をしたのであればその場でお金を渡す必要はありますが、遺言で財産を渡さないとしたとしても、遺留分減殺請求をされる心配はなくなります。

 

もしも被相続人が遺言を書いていなかった場合遺産分割協議での遺産分割となりますが、被相続人から生前金銭を受け取っていたことを証明できれば特別受益を主張できます。

特別受益は被相続人が特定の相続人に扶養義務ではない財産を生前贈与していた場合に、その贈与を相続財産に持ち戻して相続分を計算する制度です。

既に贈与されている分を差し引くので、法定相続分よりも少ない相続分とすることが出来ます。

例に出しているような素行の悪い相続人であれば特別受益を認めず争族に発展してしまう可能性は非常に高いですが、裁判所の遺産分割調停に進めば特別受益と認められる可能性は高いので、最終的には法定相続分よりも少ない財産で済ませられるでしょう。

 

ただし、贈与を証明することが出来なければ特別受益とすることが出来ない可能性もあるので、被相続人に贈与を証明する契約書を書いてもらうようにした方がいいでしょう。

贈与契約書を書いてもらう手間以外にも、相続発生後にあなたが遺産分割で話し合いをし、まとまらない場合は裁判所に調停の申請などをする必要があることを考えると、やはり遺言を書いてもらったほうがその後の手続きは楽にすることが出来ます。

 

 

他にも手段はありますが…

例えば財産を渡したくない長男が父を殺害したというようなケースでは相続欠格とすることが、長男が父を虐待・侮辱したなどで「自分の財産を相続させたくない」ということを裁判所に申請することで相続権を失わせる相続廃除という制度はあります。

しかし相続欠格は「被相続人、相続人を殺害・殺害未遂を行った」「自分に都合の良い遺言を脅迫などで書かせた、変更させた」「遺言を破棄したり偽造した」といった欠格事由に該当する必要がありますし、相続廃除は裁判所の審判が必要となります。

更にこれらにより相続権がなくなったとしても、代襲相続は行われてしまいます。

その為長男に子供がいた場合は長男の子供に相続権が移るだけなので、長男の子供が長男と同居していると結局長男に財産が相続されているのとあまり変わらないでしょう。

 

他にも遺言内で自分の想いを残す付言事項で「こういう想いでこの遺産分割にしたので、遺留分減殺請求はしないで欲しい」といったことを主張することが出来ます。

この付言事項があるのとないのでは不平等になってしまう遺産分割の指定をしたときに争いになるかならないかは大きく変わってくるのですが、法的拘束力がないので「絶対に財産が欲しい!」と主張されてしまうと結局争いに発展してしまいます。

また、被相続人の子供のひとりに「財産を渡したくない!」というのではなく、「私の兄弟姉妹には相続財産を渡したくない!」という場合にはそもそも遺留分対策は必要ありません。

 

 

このような状況によって取れる相続対策が大きく異なるので、他にもあなたの状況に合致した対策をとれるかもしれません。

自分でインターネットを活用して相続対策を考えることももちろん重要ですが、やはり相続について専門知識を持った相続コンサルタントのような専門家に相談することも重要でしょう。

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家で、家族信託普及協会で家族信託(民事信託)について学んだ家族信託家族信託コーディネーターでもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強く、家族信託を利用した相続対策も行えます。

家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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