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特別受益?寄与分? 法定相続分で分割しようといったら揉めてしまった・・・

 2017/04/25 相続対策 遺産分割でお悩みの方へ
この記事は約 13 分で読めます。
長男
こんな感じで分けようかと提案したら、寄与分とか特別受益とか言われて揉めてしまった…

相続が発生したときに「平等に」ということで分割しようとしても、

次男
あんたは医学部に入学する為に親父から大金出してもらってたじゃないか!
長女
私は父さんの介護をずっとしてきたんだから、財産は私が多くもらうべきだ!

という意見が出てきてしまうと、法定相続分での分割も難しくなるでしょう。

 

このような場合は、法定相続分以外に特別受益寄与分という考え方をプラスして遺産分割協議を行います。

特別受益は被相続人が生前特定の相続人に多額の贈与をしていた場合に、その財産を相続財産に加算して、その総額から相続分を計算する制度です。

既に贈与を受けている分が減算されているので、生前贈与を受けた相続人はその分受け取れる財産が少なくなり、他の相続人との平等性を保ちます。

 

寄与分は被相続人の財産維持、増加に貢献した相続人がいた場合に、その分の財産をあらかじめ差し引いてから相続財産の相続分を出す制度です。

差し引いた分相続分が増額するので、他の相続人との平等性を保つことが出来ます。

このような制度を活用することで相続の不平等を平等にすることは出来るのですが、特別受益も寄与分も画一的な計算方法はありません。

その為「これは特別受益だ!」「こんなの寄与分に含まれない!」とそれぞれの主張をすることになってしまうので、相続人同士の話し合いである遺産分割協議でまとまらず相続が争いに発展し争族になってしまう原因となることが非常に多いのです。

 

しかし争いに発展し遺産分割調停、遺産分割審判になってしまうと、例えこれまで良好な関係を保てていたとしても絆に亀裂が入ってしまうでしょう。

この亀裂はそう簡単には修復できるものではなく、あなたの代だけではなく子供の代になっても修復できなくなってしまうかもしれません。

そのようなことになるのはあなたにとっても、争いの発端となる相続財産の持ち主である被相続人も望んでいないはずです。

そこで今回は、特別受益・寄与分がどんなものなのか、どのようなケースで認められ、どのようなケースでは認められにくいものなのかを紹介していきます。

判例によるものがあるので「これは確実に含まれる!」という断言は出来ませんが、話し合いの参考にはなりますので、是非読んでみてください。

 

 

法定相続分が平等とは限らない

兄弟姉妹全員が両親と同じように接するわけではないので、それぞれ「大金を出してもらった」「こんな負担をした」ということはあるでしょう。

例えば兄妹全員が経済上の理由で大学進学できた訳ではないのに、長男だけが医学部の大学に進学し、その学費などを全て両親に出してもらっていたとします。

それ以後の弟、妹は大学に進学したくてもそのときの経済状況のせいで進学できなかったという場合、長男を羨ましく感じるでしょう。

その状態で「財産が600万円あるから、法定相続分通り平等に分けようか」と言われても、納得はしにくいでしょう。

 

また、自営業などで父と同じ会社で働いていて、入社当初は傾いていた会社を自分の功績で持ち直したといったとします。

自分の功績で今の相続財産になっているのに、他の相続人と同じ相続分になったら「俺が頑張ったから財産があるのに…」と不満を感じてしまうでしょう。

このような場合、「平等に分ける為」に存在する法定相続分で遺産分割をすることが、逆に不平等な相続としてしまうのです。

そのような不平等の遺産分割を平等にする為に、特別受益と寄与分という制度があります。

 

 

特別受益

特別受益は被相続人が相続人に対して生前多額の贈与をしていた場合に、その贈与額を相続財産として持ち戻して計算し、相続分を算出する制度です。

「生前被相続人の財産を大幅に減少させたんだから、その分相続財産が少ない方が平等だよね」ということで、生前贈与を受けた相続人の相続分は少なくなり、他の相続人の相続分が多くなるので法定相続分で分割するよりも平等になります。

生前贈与を受けた額が大きく「持ち戻して計算した結果マイナスになった」という場合相続分が無くなるだけで、その相続人が他の相続人に金銭を渡さなければならないということにはなりません。

 

ここで注意していただきたいのは、被相続人が行う全ての贈与が特別受益と認められるわけではないということです。

親子関係では扶養義務というものがあり、その範囲内の贈与であれば特別受益には含まれません。

生活するうえで必要な出費まで特別受益に含まれてしまっては、被相続人と一番長く一緒に生活していた長男(又は長女)が必ず特別受益の対象となり、弟、妹よりも相続分が少なくなってしまうことになってしまいます。

流石にそのようなことにはならず、特別受益に含まれるもの、含まれないものが存在します。

 

学費

学費などの教育費は本来扶養義務の範囲内であり、兄妹全員が大学進学していた場合や経済的な負担とならない場合などは特別受益にあたらないとされることが多いです。

しかし私立の医学部のような多額の費用がかかった場合や、経済的にその学費が大きな負担となり1人しか進学できていないというような場合には特別受益と認められることもあります。

親が開業医、資産家のようなお金持ちの場合医学部でも扶養の範囲内とみなされた判例もあるので、難しいところでしょう。

 

結婚の際の贈与

持参金、支度金は金額が大きければ、一般的には特別受益に当たりますが、結納金や挙式費用は特別受益には当たりません

 

居住用の不動産の贈与・その取得のための金銭の贈与

生計の基礎として役立つような贈与であり、特別受益に当たります。

長女
兄さんだけが持ち家を買うのに資金を出してもらっていたのはズルイ!

というような状況であれば、特別受益が認められる可能性は高いでしょう。

 

貸付金

貸付金は、「贈与」ではないため、特別受益には当たりません。

特別受益には当たりませんが、相続財産に相続人への債権は存在するので、その相続人の相続分などで清算することになる可能性は高いでしょう。

貸付金がそのまま「もう返さなくて良いよ」ということになった場合その金額は贈与ということになるので、この場合は特別受益となります。

被相続人からお金を借りていた場合、どちらにしてもその分相続する財産は少なくなってしまうということになるということになります。

 

小遣い・生活費

通常は、扶養の範囲内である為、通常は特別受益には当たりません。

また、遊興費のための贈与も、特別受益には当たりません。

もしもその生活費が月100万円など明らかに一般的ではない金額の場合、生前贈与と認められる可能性はありますが、そうではないのであれば特別受益であると主張するのは難しいでしょう。

 

新築祝い・入学祝い

親としての通常の援助の範囲内でなされたお祝いは、特別受益には当たりません。

このようなお祝い金全てに言えるのですが、お祝い金として常識の範囲内の金額であれば特別受益と認められることは無いでしょう。

 

生命保険金

原則として特別受益には当たりません。

ただし、例外的に、遺産全体からみて、保険金を受け取る相続人と受け取らない相続人との不公平がとても見逃すことができないほどに大きいような特別の事情がある場合には、特別受益に準じた扱いになります。

 

死亡退職金

死亡退職金については、労働協約や就業規則により、死亡退職金を受け取る遺族の生活保障という趣旨が明らかなときは、特別受益には当たりません。

しかし、個人企業の役員が死亡した場合のような亡くなった方の長年の功績に対する報酬である場合、特別受益に当たるとされていることが多いです。

 

遺族給付金

遺族給付金は遺族の生活保障のために支払われるお金であるので、特別受益に当たりません。

 

 

被相続人の土地の無償使用

父の所有する土地に自分名義の建物を建てるというケースは少なくはないでしょう。

そのような場合、父の土地を借りて建物を建てているということになるので本来であれば地代が発生します。

しかし子供が自分の土地に自宅を建てるときに地代をしっかり請求するケースは多くありません。

このようなケースの場合、本来支払うべきだった地代が贈与されているという認識になり、「使用借権」相当の特別受益となることが多いです。

ただし、その建物で被相続人と同居していた場合には、特別受益にあたらない可能性があります。

仮に特別受益になってしまった場合、その金額は賃料相当額(相当賃料額×使用年月数)ではなく使用借地権相当額(更地価額の10~30%)となります。

 

被相続人の建物の無償使用

被相続人の土地に自分の建物を建てて地代を払わず無償使用していた場合には特別受益になるケースが多いと話しました。

しかし、被相続人の土地に建っている被相続人の家に賃料を支払わず無償で住む場合、被相続人と同居している場合もしていない場合も特別受益とはならないとされています。

 

 

 

なお特別受益は被相続人から相続人への生前贈与を対象にしており、相続人以外への贈与に関しては適用されません。

とはいえ孫や相続人の配偶者への贈与の場合、実質的に相続人への贈与とみなされて特別受益の対象となるケースもあるので注意しましょう。

 

 

寄与分

特別受益は生前被相続人の財産を生前贈与などで減らしてしまった場合ですが、寄与分は相続人が被相続人の財産を増やしたり、維持することに貢献した場合に適用される制度です。

「父さんの倒産しかけた会社を長男が立て直し最終的に相続財産が1,000万円になった」

というような場合、長男のおかげで財産が増えたのに他の相続人と同額の相続財産を受け取るのは釈然としません。

そのようなときに貢献した額の相続財産を差し引いて遺産分割を行い、差し引いた額を加算した相続分を貢献した相続人に相続させるのが寄与分です。

この寄与分も特別受益同様明確な基準は存在しないことに加えて、扶養義務の範囲内の不平等に関しては寄与分の適用は出来ません。

 

寄与分で争われるときに、親の介護について争点となることが多いです。

親の介護は基本的に扶養義務の範囲内であり、寄与分の対象となることはありません。

しかし本来であれば介護施設に入居、在宅介護であってもホームヘルパーを雇う必要があるような状況下でありながら、相続人が親身に介護をすることで、介護費用を大幅に抑えることができたという場合には、寄与分と認められることがあります。

 

寄与分も特別受益同様相続人を対象としています。

その為親の介護をしていたのが「相続人の配偶者」である場合、例え妻の頑張りで要介護5の被相続人が介護施設に入居せず最後まで在宅介護で生活できたとしても、寄与分を認められることは非常に難しいでしょう。

弁護士によっては介護に尽力した相続人の妻に寄与分が認められるよう、「相続人の代理」など解釈を変えるなどを行っているようです。

 

 

特別受益、寄与分は争族の原因になりやすい

特別受益も寄与分も明確な基準は存在せず、遺産分割協議の際に話し合いで決められます。

このときに主張が強く出すぎると、そのまま争いに発展してしまうことになります。

険悪なムードになってしまうと自分の主張を曲げるのは難しくなってしまいがちです。

その為険悪なムードのまま裁判所で遺産分割調停、遺産分割審判になってしまい、そのまま家族の絆に亀裂が入ってしまうでしょう。

 

意見が対立しているのですから、特別受益や寄与分を主張する側の意見が通っても、反対する側の意見が通ってもどちらにしても亀裂は残ってしまいます。

遺言には「このときの贈与は特別受益と認めない」というようなことを書くことが出来たり、遺留分(相続人に最低限保証された相続分)を侵害しない範囲で被相続人の自由に決めることが出来ます。

このような相続対策を事前に行っておくことで、特別受益や寄与分が原因で起こる争いを防ぐことが出来るのです。

 

ただ相続対策といっても、自分で調べるのは限界がありますし、調べられた中で自分にあった方法を見つけ出すのも大変です。

また専門家に聞くとしても、聞く内容によってどの専門家に聞くか変わってくることもありますし、実家などの不動産が財産の多くを占める場合、その不動産の評価額の算出方法が甘く税額が高くなってしまったというような、一人の専門家に相談した結果最良の結果が得られないということもあります。

このようなことにならない為の方法として、相続コンサルタントに相談するという方法があります。

相続コンサルタントは相続についての知識が深いだけでなく、それぞれの専門家とのネットワークを持っています。

その為一人の専門家だけではカバー出来ない問題でも、専門家のネットワークで適切な解決に導くことが出来るのです。

 

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家で、家族信託普及協会で家族信託(民事信託)について学んだ家族信託家族信託コーディネーターでもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強く、家族信託を利用した相続対策も行えます。

家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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