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相続財産が不動産のような分割できないものの場合どうするの?

 2017/04/20 相続対策 遺産分割でお悩みの方へ
この記事は約 14 分で読めます。
長男
父の相続財産が自宅と少しの預金しかないから、自宅を相続したいけど弟の嫁に文句を言われてる…
長男
父が相続対策だとそそのかされて預金を使ってアパートを建てたけど、そのせいで財産を子供3人では分けられない…

 

預金の割合が多かったり、不動産が多くても複数の賃貸マンションを所有していて相続人全員に分割がしやすい状況なら「どの財産にするか」の話し合いだけで済みます。

しかしそのような「財産の多い家系」ではない、一般的な家庭の相続となるとどうでしょうか?

相続財産が実家と少しの預金である場合、2人で分けたとしても実家を相続した人の方が財産を多く相続していることになりますし、4人で相続した場合に実家をそのまま誰かが相続した場合、その人以外が相続する財産はとても少なくなってしまいます。

相続人全員、更には相続人の家族全員がそれで納得できる場合は円満な相続になるのですが、そうはいかない場合が多いのです。

 

長女
これから子供の学費も払わなきゃいけないのに、どうしてこんなに少ないの!?
次男
兄さんの子は大学の学費を父さんに出してもらっていたけど、こっちはこれから受験なんだぞ!

元々相続財産を当てにした生活は送っているわけではないとしても、相続が発生すればそのお金を当てにしてしまうのは仕方のないことです。

特に父が存命の内に長男の子供が父から学費の援助を受けていた場合などは、相続財産を均等に分けられたとしても不平等に感じてしまいます。

その中で「長男だから」と相続財産で一番価値のある実家を相続されてしまっては、更に不満を感じてしまうでしょう。

 

実際に、お金持ちと一般家庭の相続を比較すると、資産の少ない一般家庭の方が争いに発展してしまう傾向にあるのです。

なんと裁判所の司法統計でみると、平成25年度の遺産分割事件の内容認・調停成立件数8,994件の内、遺産5000万円以下のケースは6,753件と全体の約75%、1,000万円以下のケースだけにしても2,912件と全体の約32%を占めてしまっているのです。

そこで、今回は相続財産の内、不動産が多い場合の遺産分割の仕方と、それを実行する為のアドバイスを紹介します。

 

 

遺産分割の方法

相続財産の分割は大きく分けて現物分割、換価分割、代償分割という3つの方法があります。

 

現物分割

長男
私はそのまま父の実家で暮らすために実家を相続するから、弟は預金、姉さんは株式の相続ということで

現物分割は相続財産をそのまま「誰がどれくらいの割合で相続するのか」ということを決める分割方法です。

一般的な相続のイメージというとこの現物分割になるでしょう。

不動産をそれぞれの相続分に合わせて共有化する場合、土地を分筆して相続する場合も現物分割に含まれます。

 

しかし不動産を共有化してしまうと全員の合意がなければ売却や大規模修繕、建て替えといった不動産の管理運用が出来なくなる他、不動産の持分だけでは売却が難しいので更に持分が細分化されてしまいやすくなります。

何代も共有化で済ませていた結果、数十人の共有財産になっていた事例もあるほどです。

こうなってしまうと修繕や売却のために数十人の合意をかき集める必要があるので、運用は非常に難しいでしょう。

土地の分筆の場合、その分筆をしっかりと出来れば問題ないのですが、何も考えずに分筆してしまうと「3000万円の土地を3人で分筆した結果500万円の価値になった・・・」というような、分割した分以上に価値が下がってしまいます。

 

財産のほとんどが不動産であるような場合、相続人間の不平等の原因となってしまいますし、不動産の共有化によって売却やリフォーム等の運用は出来なくなることもあります。

この方法で遺産分割を考えて、話がまとまらないときに別の方法を考えるとした方がいいでしょう。

 

 

現物分割をスムーズに行う為の対策

現物分割は相続する財産によってどうしても相続人同士で差が出てきてしまいます。

スムーズに進めばいいのですが、「俺もこっちの方がいい!」と財産の取り合いに発展してくる危険性もあります。

このときには被相続人(亡くなった人)は既にいないので、「長男に実家を任せたいから、次男をないがしろにする訳ではないけれど預金の相続で我慢して欲しい」といった「被相続人がどう思っているか」を確認する手段はなくなってしまいます。

亡くなった人の財産ですから、亡くなった人の想いを知れば争いに発展してしまうリスクは抑えられます。

 

そこで現物分割を円満に行う為の対策として有効なのが、遺言を遺すことです。

遺言でどう財産を分割するかを記載するだけでも法的拘束力があるので有効ですが、出来ることなら自分が相続人をどう思っているのかを書き残す方がいいでしょう。

遺言には付言事項という、被相続人の相続人への想いを書き記すことが出来る項目があります。

この付言事項で「相続分にバラツキがでてしまっているが、私は家族全員を愛している」ということを書き残すことで、何もない状態であれば「兄さんだけ不公平だ!」となってしまうような分割でも、納得できるようになることは多いのです。

残念ながらどのような想いを遺したとしても争族に発展してしまうことはあるので、同じように想いを遺す手段として最近流行りだしたエンディングノートよりも遺言の方が法的拘束力がある分優秀でしょう。

 

結婚式のときの両親への手紙のように、普段言えないようなことでも手紙として残すのであれば書くことは出来ます。

家族への感謝と自分亡き後どうして欲しいかを書き残した手紙として、遺言を残す事で現物分割をスムーズに行うことが出来るでしょう。

 

長男
父に遺言を書き残すように助言したら、『俺に死ねということか!』と怒鳴られた…

遺言に対してネガティブなイメージを持つ人は多いので、遺言を書いて欲しいと言っても拒絶されてしまうことがあるでしょう。

そのような時は、あなたも一緒に遺言を残してみてはいかがでしょうか。

相続について親子で学び、腹を割ってコミュニケーションをとることで、それぞれの遺言書を書き残すということに繋がれば、父の相続とあなたの相続両方の対策が出来たことになります。

遺言書は「一度作ったら終わり」というものではなく、新しく書き残したり、加除修正をすることが出来るものなので、「残りの人生で状況が変わったら・・・」という不安があっても問題なく遺言を残せます。

 

 

換価分割

長男
兄妹全員持ち家を持っているから、実家は売却してお金にして分けようか

換価分割は不動産などの分割が出来ない財産を、売却で現金化して分割する方法です。

現金にして分割しているので、平等に相続させることが出来るのが特徴です。

この方法は相続人全員が合意をしていればすぐに売却の方向に持っていけるのですが、誰か一人でも「思い出の家を売るなんてとんでもない!」と合意しない場合は売り出すことは出来ません。

 

また全員が合意して不動産会社に査定をしても、すぐに売れるとは限りません。

特に最初に「売りたくない!」と揉めてしまい売り出せないまま時間が経過し、家屋の劣化が進んだ後になって売り出した場合、すぐに売り出した場合よりも売りにくくなります。

売却する為に値下げをしても、掲載期間が長い物件は「何か理由があるのでは?」と思われやすく更に売却しにくくなることもあるので、換価分割のために売却をする際は事前に話し合いをするなどの対策が必要となります。

この点を被相続人と生前の内によく話しておき、遺言で「実家を売却して分割すること」と遺すことや、家族信託で実家の名義を長男にしておくなどの対策をすることで、スムーズに換価分割が出来るようになります。

 

 

換価分割をスムーズに行う為の対策

換価分割は相続人の一人が反対してしまうと行うことは出来ません。

その為換価分割を行う場合の対策は

  • 遺言
  • 家族信託

が挙げられるでしょう。

 

遺言は分割方法についても言及できるので、「実家は売却して分割すること」といったようなことを書くことによって換価分割を指定することが出来ます。

また近年普及し始めた家族信託を活用することで、「相続発生時でも名義が共有化されない」「認知症で介護施設に入居したときに売却して入居費用に充てられる」といったことが可能になります。

 

 

代償分割

長男
私が実家を相続するから、差が出る分は現金で渡すね

代償分割は、多くの相続財産を相続した人が、それ以外の相続人に差額の金銭を渡す方法です。

「実家に住んでいる、会社の経営を受け継ぐ為などで財産を換価分割することが出来ないけど、他の相続人から不満があるからそのまま相続することは出来ないし、共有化のリスクは負いたくない」

というようなときに、多く相続してしまう分を自分の財産で補償することで円滑な相続を図ります。

 

現物分割と違い不平等をそのままにしないので不満は出にくくなりますし、共有化や売却などのリスクはありません。

その為実家に引き続き住む、事業を受け継ぐといった場合に、代償分割で相続が争いに発展し争族になってしまうことを防ごうとすることが多いのです。

とはいえこの代償分割の問題点は「代償として支払う費用の捻出」でしょう。

この費用を作らなければ代償分割は出来ないので、対策をとる必要があるでしょう。

 

 

代償分割をスムーズに行う為の対策

代償分割を行う為の問題点はなんといっても「どう費用を捻出するか」ということでしょう。

そこで考えられる代償分割をスムーズに行う為の対策としては

  • 積み立て
  • 生命保険の活用

を早い段階で行うことが挙げられるでしょう。

 

父が生前に「実家は長男に相続させる」と発言していて、他の子供がそれをよく思っていないのであれば、その段階から資金を作り始めるというのが一番堅実な考えでしょう。

突然「1ヶ月以内に400万円出す」というのと「10年かけて400万円用意する」というのでは後者の方が圧倒的に作りやすくなります。

借金をするのもリスクになりますので、早めに相続について話をして、早めに代償分割の準備をするといいでしょう。

 

人によっては「相続対策に生命保険に加入しませんか?」という営業を受けた方もいるかもしれませんが、実際に加入方法を間違えなければ相続対策になります。

生命保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象になってしまいますが、受取人固有の財産として扱われます。

その為不動産を相続させる相続人を生命保険の受取人として設定することで、その生命保険金を代償分割の費用として扱うことが出来るのです。

しかし高齢になってから生命保険に加入しようとすると、その分保険料が高くなってしまいます。

 

例えば70歳から10年払いで1,000万円の保険に加入する場合、払い込む保険料の総額は1,100万円など支払われる保険料よりも少なくなってしまいます。

一括で保険料を払ってしまう「一時払い終身保険」であれば1,000万円の保険に999万円程度で加入することは出来ますが、これが払い込めるということは分割しやすい現金が1,000万円近く存在するということになりますよね?

それであれば終身保険に入らなかったとしてもあまり変わらなかったでしょう。

生命保険金の相続税の非課税枠があるので相続税で差が出る可能性もありますが、生命保険金の手続きがなく代償分割ではなく現物分割が出来る分、相続の手間は少なくなります。

代償分割のために生命保険を活用しようと考える場合、40~50歳など若い段階から加入し10~20年かけて払い込むようにしたほうがいいでしょう。

 

なお生命保険で代償分割を行う場合、「不動産を相続する人物を受取人にする」必要があります。

もしもそれ以外の相続人を受取人にした場合、その生命保険金は受取人固有の財産なので「これは私の財産だ!代償分割の費用は別に払え!」といわれてしまうことがあるからです。

こうなってしまうと不動産を相続した相続人は、代償分割分の費用を他から捻出しなければならなくなってしまい、せっかく考えた相続対策は何の意味もなかったことになってしまうのです。

 

またこの生命保険を活用する場合

 

相続対策は専門家に相談をした方が安心

相続について自分たちだけで調べた場合でも、遺言や生命保険などの対策を考え付くことは出来るでしょう。

しかしその遺言が実際に有効なのか、代償分割で例に出したように「対策をしたつもりが全く対策になっていなかった・・・」ということになる危険性があるのです。

遺言といっても形式は3種類ありそれぞれ書き方は異なりますし、遺留分という法律で補償された最低限の相続分を侵害してしまう遺言を残してしまうと、遺留分減殺請求をされて結局争いになってしまうことが少なくありません。

相続コンサルタントのような相続の専門知識のあるものであれば、このような初歩的なミスはしませんし、あなたが思っていた以上の対策を考えることが出来ます。

 

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家で、家族信託普及協会で家族信託(民事信託)について学んだ家族信託家族信託コーディネーターでもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強く、家族信託を利用した相続対策も行えます。

家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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