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遺言の書き方を知っていますか? もし間違えていると…

 2017/04/18 相続対策 遺言を書く前に知っておきたいこと
この記事は約 15 分で読めます。
長男
遺言ってどう財産分けるかだけ書けばいいだけでしょ?別にパソコンで書けばいいんじゃないの?

 

遺言書というと亡くなる人が家族に向けて遺すイメージが強いかもしれません。

そのようなイメージで遺言書を書こうと思うと、書式や必要事項などの重要性はあまり感じないでしょう。

しかし遺言書には正式な書式や必要事項が存在していて、不備のある遺言は法的に言えば無効になってしまいます。

争いごとにならず済むことももちろんありますが、不備を無くせば争いへの発展を抑えられるかもしれないのですから、そこは気をつけたいですよね。

 

間違った遺言の書き方としては

  • パソコンで入力した
  • 字が上手い人に代筆してもらった
  • 日付が書いていないなど、必要事項がない
  • 吉日など、日付の特定が出来ない

といったことがあります。

 

このような書き方をした遺言書は無効になってしまう上、書き方によってはその遺言書が争いを誘発してしまうこともあります。

長男
父の遺言なんてなくても私たちは争わないし、私の相続の時だって争わないよ
長男
父に相続対策について聞いたら『お前らが争うはずなんてないから何もしない、する気もない』と言われた…

と思うかもしれません。

しかし例え家族同士の仲が良かったとしても、兄弟姉妹の配偶者(妻・夫)、及びその親族が加わったらどうでしょうか?

 

被相続人(亡くなった方)が高齢で亡くなるほど、その相続人である子供は大きくなります。

それぞれ妻子との生活が長くなり兄弟姉妹と話す機会が少なくなってしまえば、家族=兄弟姉妹ではなく、家族=妻子となります。

被相続人側の「家族なんだから争うはずなんてない」思うのに対して、相続人側は「財産を多く相続して家族に楽させてあげたい」「夫には多く相続してもらって、早く住宅ローンを返済したいし子供の養育費にも充てたい」と思ってしまうことが多いのです。

この家族の認識のズレがきっかけとなり相続が家族間の争いに変わってしまい「争族」に発展してしまうのです。

 

もちろん相続対策を何もしなくても円満に相続が終わる場合も多いのですが、対策を何もせずに争族に発展してしまい、家族の絆に亀裂が入ってしまった場合、その責任は原因となる発言をした人物だけではないでしょう。

対策を何もしなかった、対策の必要性を感じつつも何も言わなかった側にも、責任はあるのではないでしょうか?

そこで今回は相続対策としての遺言書の、書式や自筆で書く場合の注意点についてを紹介します。

 

 

遺言書は正確に書かなければ無効になることも…

次男の嫁
この遺言は必要事項の書かれていない無効なものです!だからうちの旦那に法定相続分の財産をよこせ!
長男
日付がないだけじゃないか…そんなことで親父の遺言を無効にしろと言ってくるなんて…

 

最近認知度が高くなっているエンディングノートと遺言との大きな違いは、法的拘束力です。

どちらにしても書いた本人の遺したい想いは書いてあるのですが、エンディングノートでは「そんなの関係ねぇ!」と言われてしまうとどうにもなりません。

対して遺言ですが、制約はありますが法的な強制力があるので自分の思ったとおりの遺産分割をすることが出来ます。

この点はやはり大きく、例えば相続人となる子供同士で仲が悪かったり、「こいつには自分の財産を渡したくない!」という人物がいる場合もあります。

 

また家族の仲は良くても、子供の妻・その親族が財産を多く取得するように強く主張されてしまうとその通りにしなければならないという状況も出てきてしまうでしょう。

流されやすい人であれば「その相続おかしくない?もっと財産主張した方がいいよ!みんなそうしてるよ!」などと言われてその通りに思ってしまう人もいるでしょう。

そのような「被相続人の想いだけでは解決できなくなってしまう状況」にならないようにするためには、法的にも強制力がある遺言をしっかりと遺す事でしょう。

 

しかし、遺言はただ自分が必要だと思った内容だけを書いても、無効となってエンディングノートと似たような存在となってしまうのです。

法的に有効な遺言を残そうと思ったのであれば、その遺言の形式に沿った書き方にしなければいけないのです。

 

遺言は基本的に3種類ある

遺言書と一言に言っても基本的に自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言の3種類の形式があります。

緊急時には一般危急時遺言や難船危急時遺言(船舶遭難者遺言)、在船者遺言、伝染病隔離地遺言という形式もありますが、緊急時に利用する可能性がある形式なのでほとんど活用されることはありません。

 

 

公正証書遺言

相続について誰かに相談した場合、遺言の形式として勧めてくるのは公正証書遺言でしょう。

公正証書遺言は本人の想いを公証人に話し、公証人に遺言を公正証書で書いてもらいます。

公証人は公証役場に勤務する「その事実の証明」を職務にする公務員で、この公証人が作成してくれる為書類の不備はほぼないといえます。

公証人が直に本人に会って話を聴いているので「この遺言は認知症になった後書かれたものだ!」ということにはなりにくいですし、公正証書の原本は公証役場に保管されているので、偽造・紛失の心配もありません。

このようなことを理由に、相続対策を専門家に相談して「遺言を書こう」ということになると公正証書遺言を勧められることが多いのです。

 

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言はその名の通り、自分で全て書く遺言です。

チラシの裏などのどんな紙に書いてもかまわないのですが、「遺言能力があること」「必要用件を満たしていること」「加除修正(書き足したり訂正、削除すること)の方法」といった書き方について厳しい制限があります。

 

遺言能力があること

これはどの遺言の形式でも同じなのですが、遺言を作成するときに「遺言を書くことが出来るだけの判断能力(遺言能力)」があることが必要となります。

  • 15歳以上であること
  • 認知症などの要因で判断能力がなくなっていないこと

といったことが、遺言能力があると認められるポイントです。

 

その為14歳以下の内に書いた遺言書や既に認知症になって判断能力がなくなってしまった人の遺言は無効となってしまうのです。

その為高齢になってから遺言を書いてしまうと、「この遺言を書いたときにはもう認知症だったんじゃないか?」という疑惑で遺言の無効を主張されることが多くあります。

公正証書遺言の場合、公証人と直に話していることで中々この点が争点になることは少ないのですが、自筆証書遺言では書いたときの本人の状況を証明することは難しいので

「もしかして父が何も分からないことをいいことに、長男が自分の都合のいいように書かせたんじゃないか?」

といった疑惑を出されてしまうことも少なくないのです。

 

 

必要用件を満たしていること

自筆証書遺言が法的に効力を発揮するには「全文自筆(平成29年4月18日現在)」「日付の記載」「氏名の記載」「押印」が必要になります。

 

全文自筆

この中のどれかが欠落していると、その自筆証書遺言は無効になってしまいます。

現在民法の改正案として自筆証書遺言の一部をパソコンで作成してもいいとするものもありますが、現在自筆証書遺言は全て自筆で作成する必要があります。

その為誰かに書いてもらったり、パソコンで作成したような遺言は無効になってしまいます。

自筆で書くことを求められる自筆証書遺言ですが、字が汚いとどのような内容なのかで争いに発展してしまうこともあるので、注意が必要です。

 

日付の記載
長男
日付くらいを書いていないくらいで無効になるの?

遺言は内容さえしっかりしていればあまり関係ないのではと思うかもしれませんが、日付の記載も重要です。

遺言能力があるのかないのかを判断するときに「この遺言書はいつ作られたのか」というのは重要ですし、遺言を紛失した・遺言内容を1から考え直して書き直したなどで複数の遺言が見つかった場合は日付が新しい方が適用されます。

このような理由から、日付が書かれていない遺言は無効となってしまいます。

 

また、書いてあったとしても「吉日」「末日」という日付の書き方はいつ書かれたのか正確に判断できないので無効になった判例があります。

同じようなものでも「2016年元日」は1月1日と判断できますし、「私の72歳の誕生日」といった直接書かれていないけど、特定は出来るといった書き方では有効となるという意見もあります。

とはいえリスクを負ってまで遠まわしな書き方をする必要はないので、素直に日付をしっかりと書きましょう。

 

氏名の記載・押印

誰が書いたのかを特定する為にも、氏名はもちろん必要です。

押印は実印でなくても有効ではありますが、実印以外よりも実印の方が本人の意思であると認められやすい傾向にあるようなので、迷うようであれば実印の方がいいでしょう。

 

遺言の加除修正について

一般の書類では修正箇所に二重線を引いて訂正印を押していますが、遺言はこれでは修正したことになりません。

その修正部分を補う追記部分と修正されたことになっていない部分で文章全体が意味を持たなくなってしまった場合、その遺言は無効となってしまいます。

遺言を加除修正する場合は、その変更箇所を指示し変更したことを付記・署名、変更箇所に押印をします。

 

自筆証書遺言はこれら全ての要件をクリアすることでようやく有効な遺言書となりますが、「財産を譲る」とだけ書かれたような「どの財産を誰に相続・遺贈するのか」が書かれておらず特定が出来ません。

また自筆証書遺言を作成しても本人が亡くなった後に見つからないこともあり、そのような場合結局遺言は無駄になってしまいます。

 

 

秘密証書遺言

秘密証書遺言は遺言書を自分で作成し、公証役場で「遺言の存在」を証明してもらう遺言書です。

秘密証書遺言であれば、自筆の署名と押印は必要ですが代筆やパソコンで作成することが出来ますし、遺言の存在を公証役場に証明してもらえるので「あるかないかが分からない自筆証書遺言」よりも見つかりやすくなります。

しかし2人以上の証人が必要になりますし、その証人が推定相続人(相続人となる恐れのある人)などの身近な人はなることが出来ないので手間がかかります。

もしも証人の資格がない人が証人となった場合秘密証書遺言としては無効になってしまいます。

その状態であっても自筆証書遺言として要件を満たしてさえいれば自筆証書遺言として有効になりますが、秘密証書遺言でなければ有効にならないパソコンで作成されたものなどであればどちらにしても無効となってしまいます。

 

 

遺言を遺す上での注意点

法的に有効な遺言が書けたとしても、トラブルが起きない訳ではありません。

遺言を書き残す上で、注意したいことを紹介します。

 

遺言を勝手に開封しない工夫を

長男
開封しないとせっかくの遺言に意味がないじゃないか!

遺言は読んでもらう為に書くものですが、公正証書遺言以外の遺言の場合には見つけた後すぐに読まれては困るのです。

公正証書遺言のように原本が公証役場で保管されているわけではない自筆証書遺言は、開けた人が勝手に遺言を書き換えたり、すり替えてしまう危険性があります。

その為自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、裁判所で相続人立会いの下裁判官に開封してもらい、遺言書がどのような形状か、どんな修正をされているか、どんな内容かなどの記録・保管を行ってもらう必要があるのです。

検認前の自筆証書遺言、秘密証書遺言を勝手に開けてしまうと5万円以下の過料に処されてしまうこともあるので、勝手に開けるのではなく検認手続きをしてもらえるような工夫をする必要があるでしょう。

例えば遺言を入れる封筒を二重にしておき外側の封筒に「この封筒の中に遺言書が入っているけど、検認が必要だから開けずに裁判所で検認手続きをしてください」というような記載をしておくといいでしょう。

遺言が入っていること、検認が必要なことが遺言について詳しくない人であっても分かりやすくなります。

 

 

遺留分に気をつけた遺言内容にしよう

長男
父も私も次男の素行にあきれ果てているから、彼には財産を渡さないような遺言を書こう!

家族関係によっては、「こいつには財産を相続させたくない!」と思うかもしれません。

しかし被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分という法律で定められた最低限の相続分があります。

そしてこれは遺言であっても侵害することが出来ず、もしも遺留分を侵害する遺言を書いてしまうと「遺留分減殺請求」で遺留分を主張されてしまいます。

 

こうなってしまうと遺留分相当の遺産を渡さなければならないだけでなく、相続財産が共有化してしまうなどの危険性もあります。

この遺言では遺留分相当の財産は渡ったままになってしまいますが、最近話題になってきた家族信託を活用することで最終的に次男の家族に財産を渡さないようにする方法もあります。

 

相続を対策しようとしたときに、自分だけで対策を立てようとするのは限界があります。

「相続は知っていたけど家族信託なんて聞いたことがなかった」という場合にはなんとなく分かっていただけると思いますが、一言に相続対策といっても様々な方法があり、その全てを知ろうとするのは難しいのです。

 

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家で、家族信託普及協会で家族信託(民事信託)について学んだ家族信託家族信託コーディネーターでもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強く、家族信託を利用した相続対策も行えます。

家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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