1. TOP
  2. 相続対策
  3. 絶対に遺言の通りにしなければいけないと思っていませんか?

絶対に遺言の通りにしなければいけないと思っていませんか?

 2017/04/15 相続対策 遺産分割でお悩みの方へ 遺言を書く前に知っておきたいこと
この記事は約 13 分で読めます。
遺言で実家の相続をしろと書かれていたけど、持ち家あるし正直いらない・・・
『自宅を遺贈する代わりに~』と条件のついた遺言が書かれていたが、それなら正直いらない…

遺言書を見つけたはいいけれど、書かれている遺産分割の内容に従いたくないということもあるでしょう。

昔ならまだしも今の自分たちの状況ではあまりにも荒唐無稽で、遺言の通りにすると考えると億劫になることもあるでしょう。

遺言は被相続人(亡くなった人)の遺した最後の意志ですので、出来る限り尊重してあげたいものです。

しかし遺言の中には条件付遺贈のような、「この財産を受け取る代わりにこうしてくれ」という条件がついていることがあります。

例えば自分は既に就職してやりたい仕事を出来ているし、待遇もいいので今の会社から離れる気はないとします。

しかし遺言で「長男に実家と畑と運営に必要な分の現金を相続させるかわりに、農業を継ぐこと」と言うように書かれていたらどうでしょうか。

 

父が農業を続けていて、それを自分に継がせたいと言っていたのは知っているけど、今の自分には今の生活があるのだからこんな遺言は…

いくら亡くなった父の気持ちを尊重してあげたいと思ったとしても、「今の自分の生活全てを捨ててでも尊重する」というわけにはいきません。

遺言の通りにしようと考えたとして、実家と畑、その運用資金を相続した結果それ以外の財産がほとんどなくなってしまったとします。

兄弟姉妹など他の相続人からすれば、どう感じるでしょうか。

同じように悲しい想いをしているのに、父の想いである遺言を開けてみれば財産のほとんどが長男に…

財産が親からの愛情の全てというわけではありませんが、心中穏やかではいられないでしょう。

これでは父の遺言によって、長男の人生が大きく狂わされ、兄弟姉妹との絆に亀裂が入るという好ましくない自体になってしまいます。

 

そこで今回はもしも遺言の内容に不満を感じたときに、その内容に従わなくていい場合、対抗できる場合を紹介します。

「遺言の内容に相続人全員で困惑している」

「あまりにも自分も無視した遺言で納得がいかない!」

「父が遺言を書いたと上機嫌に言っていたけど、どんな内容にしているのか不安…」

という場合に、ご覧になってみてください。

 

 

相続人全員が遺言内容に不満がある場合

私(長男)に実家と家業を継いで欲しいとあるが、私は今の生活の方が良いし次男が家業を継ぎたがっているから次男に任せたい…

例えば

  • 父(自営業)
  • 長男(会社員)
  • 次男(父の会社に勤務)
  • 長女(会社員)

という家族で、父としては旧民法でいう家督相続を最良と考えているとします。

その場合長男に会社を継いで欲しいと考え、長男に実家と社屋を含めた全ての財産を相続させて、次男には長男の部下として事業を続けて欲しいと考えるでしょう。

そのような方が遺言を遺せば、遺留分などを考えることなく社長の座を含めた全ての財産を長男に相続させようとするでしょう。

 

しかしそのような遺言を遺されても、

  • 長男としては今の会社で働き続けたいので不満
  • 次男としては父の会社で働いているのに長男に引き継がれるのは不満
  • 長女としてはそもそも遺言に書かれていないことに不満

というように、相続人全員が不満に感じてしまいます。

このような相続人全員が不満に感じている場合に関しては、相続人は遺言に縛られる必要はありません。

相続人間で話し合い、次男が実家と会社を相続し、長男と長女は残った財産を分けるということで合意を得られるようであればその通りに相続できます。

 

遺言執行人(遺言執行者)が選任されている場合は交渉次第

遺言によっては被相続人、相続人、受贈者(法定相続人でないが財産を受ける人)以外にも遺言執行人という人物が出てくることがあります。

遺言執行人は遺言の内容を実現させる為に選任する人物です。

遺言に隠し子の認知や相続人以外への遺贈(相続人以外に財産を渡す)など、デリケートな内容があり相続人に全て任せるのは不安がある場合があるでしょう。

そのような場合に相続人以外の第三者として、遺言執行人を選任します。

 

この遺言執行人は手続きや財産管理などの権限を持つ代わりに、遺言内容を実現させる義務があります。

そのため相続人は、遺言執行人が遺言の執行をするのを妨ぐことは出来ないのです。

この部分が足かせとなり、相続人全員が遺言以外での遺産分割の合意をしていたとしても、遺言執行人が遺言の通りに遺産分割を進めようとすれば、遺言の通りに遺産分割しなければならなくなります。

遺言執行人は被相続人の意思を尊重しなければならないので、相続人全員が別の意見を出したとしても、遺言という被相続人の意思を尊重しなければならないからです。

とはいえ相続人の合意の内容が被相続人の意思でもあると遺言執行人の承諾を得ることが出来れば、遺言と異なる遺産分割が出来るという説もあります。

そのためどうなるかについては、ケースバイケースと言えるでしょう。

 

相続人全員の合意があれば、遺贈も無効に出来る?

遺言に相続人以外への遺贈が書かれていたが、相続人全員納得できない!

例えば遺言で「愛人の生活の為に株式と実家(財産全体の1/2相当)を遺贈し、残りの財産を子供3人に3等分して相続させる」と書かれていたとします。

愛人への遺贈の場合、不倫関係の維持の為のような公序良俗に反するものであれば、無効となる可能性もあります。

しかし、愛人の生活を維持するためといった場合は有効となる判例もあります。

そのため愛人への遺贈が、必ずしも「無効だ!」となるものではありません。

そしてこの遺言は相続人の遺留分(法律で保証された最小限の相続分)を侵害しないように設計されているので、遺留分減殺請求も出来なくなっています。

 

相続人全員が遺言とは別の遺産分割で合意すると、その通りに遺産分割できると言いました。

この場合でも相続人である子供3人がこの遺言に不満を持ち、別の分割方法で合意するとその通りに相続できるのでしょうか?

答えは「出来ません」

遺言書に「○○に遺贈する」と記載されている場合、その財産の遺贈を受ける受贈者の合意、放棄が必要となります。

そのため受贈者が「私は遺贈を受ける!」となってしまうと、相続人全員が合意していたとしても遺言以外の遺産分割には出来なくなります。

 

 

 

受贈者は遺贈を放棄できる

遺言に私への遺贈があると書かれているけど、相続人の人たちのことを考えるといらない…

遺贈を受けた人物にしても、相続人と真っ向から対立してまで受贈しようと考える人は少ないでしょう。

「今の生活を続けていくのに亡くなった方の財産は特に必要なく、自分が受贈することで相続人の生活が脅かされるかもしれない」

といった、遺贈を受けても受けなくてもいい状況で、受けると相続人に迷惑がかかるのであればなおさらです。

このようなとき、受贈者は遺贈を放棄することが出来ます。

放棄することは出来るのですが、どのような遺贈のされ方をしているかによって放棄の仕方が異なるので、注意する必要があります。

 

遺贈される財産があいまいな場合

「私の財産の1/3を遺贈する」のような、割合だけ指定されているような遺贈の仕方を包括遺贈といいます。

この場合受贈者はどの財産を相続するのか指定されていないので、相続人同様プラスの財産だけでなく、マイナスの財産についても負担する必要が出てきます。

そして包括遺贈の場合は遺贈の放棄をしようとした場合、相続放棄と同様で遺贈があることを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に包括遺贈の放棄を申し出る必要があります。

もしも3ヶ月間何もしないでいると、遺贈されることを了承したことになりますので注意しましょう。

このような手間もありますし、借金がある場合にはその負担もしなければならないなど、包括遺贈は受贈者にとってあまり嬉しくない遺贈になるかもしれません。

 

遺贈される財産が決まっている場合

口座預金などの、特定の財産を遺贈することを、特定遺贈といいます。

特定遺贈の場合は包括遺贈と違い、遺言に書かれていない限り借金などのマイナスの財産を負担することはありません。

遺贈の放棄も包括遺贈とは違いいつでも放棄することが出来ます。

更に放棄した場合は遺贈者(亡くなった人)が亡くなったときにさかのぼって放棄したことになります。

とはいえいつでも放棄していいからと長期間保留にされてしまうと、相続人は困ってしまいます。

その為相続人は遺贈を受けるか放棄するかを、相応の期限を定めて催告することが出来るようになっています。

遺贈を受ける、放棄することを伝えるときに、内容証明郵便などを活用するとその後のトラブルの危険性を回避することが出来ます。

 

 

一部の相続人が不満を感じている場合

長男が実家も会社も相続して、自分に何もないのはおかしい!
最後に父にあったときには別のことを言っていた気がする・・・本当に父の遺言かな?

ここまでは相続人全員が不満を感じていたり、相続人以外への遺贈の話でした。

この場合は相続人の一部が「おかしい!納得できない!」という場合です。

基本的に一部の相続人が不満を感じていたとしても、遺言の通りに分割されます。

その為相続人が有効な遺言に対して「こんな遺言認められない!」といっても遺言内容をくつがえすことは難しいでしょう。

せっかく遺言を書いても、誰か一人が「そんなの嫌だ!」といっただけで無効にされたら書く意味がないですからね。

しかし遺言が公正証書遺言以外の書き方をされていたり、「財産の全てを長男に」といった遺留分を侵害する遺言であったのならば、話は変わってきます。

 

遺留分を侵害する遺言

遺留分は法律で保証された最低限の相続分で、被相続人の兄弟姉妹以外(配偶者・子供・親)に定められています。

「財産の全てを長男に相続させる」というような遺言の場合、他に子供・配偶者がいれば遺留分の侵害をしています。

この場合は遺言で全ての財産を長男に相続させるとされていても、遺留分減殺請求をすることで侵害されている遺留分の財産を取得することが出来るのです。

 

 

遺言の書式が公正証書遺言以外

遺言の基本的な書式は公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言の3種類あります。

公正証書遺言は本人の想いを聞いた公証人が書く遺言で、原本は公証役場に保存されています。

公正証書遺言は

  • 公証人が公正証書として遺言を書くので、不備があることはほぼない
  • 原本は公証役場に保存されているので、遺言の偽造は出来ない
  • 偽造の心配がないので、裁判所での検認(偽造されないよう裁判所が遺言を確認する)が必要ない

といった特徴があります。

しかし自筆証書遺言、秘密証書遺言は本人が文を考え、作成する必要があります。

 

自筆証書遺言は現在の民法では全て自筆である必要がありますし、秘密証書遺言であれば署名押印以外はパソコンで作成しても問題はありません。

しかしどちらにしても、結局自分で作成する必要があるので必要事項が記載されていない書き方が間違っているといった不備のリスクは消えません。

例えば「4月末日」といったような日付の書き方をしてしまった結果、日付が特定できないからということで遺言が無効になった判例があります。

その他の全ての部分が正しかったとしても、この日付のような、どこか一部が間違っているということで遺言が無効となってしまうことがあるのです。

そして遺言が無効になった場合は遺産分割協議を行い、遺産をどのように分割するのかを協議することになります。

 

その為遺言の内容に納得できず、裁判所に持ち込んででも自分の相続分を確保したいという場合、裁判所で遺言無効確認訴訟をすることになるでしょう。

この遺言無効確認訴訟をしたとしても、遺言に不備などがなければ有効のままで遺言通りの遺産分割となります。

しかし訴訟をして遺言を無効にしてでも自分の意を通すということになってしまいますので、有効のままでも無効と認められてもお互い感情的になってしまうでしょう。

家族間の絆に亀裂を入れるリスクを負ってでも自分の意を通そうとするのかどうか、一度冷静になって考えるようにしましょう。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

遺言書は相続財産の分割を決める効果のある重要なものですが、あまりにも相続人の意にそぐわない内容になっていると、相続人全員の合意による遺産分割になってしまいます。

あなたが遺言書を作成するときは「『こんな風に考えている』と事前に話をしておいて、きちんとその通りになるように作成する」といった事前の周知が重要でしょう。

また相続人となる人物から不満が出そうだという内容をどうしても盛り込みたいのであれば、遺言執行人を選任しその人に「私はこういう想いを持ってこう書いている」ということを事前に伝えるようにするといいでしょう。

遺言の書式として、今回の記事で記載したように公正証書遺言以外の書式で記載してしまうと、不備をつつかれて遺言を無効にしようとするものが出てくるリスクもあります。

 

子供同士の仲が悪い、どら息子に財産を少しでも渡したくないという場合には公正証書遺言で書式のリスクを抑え、遺言内容を専門家に相談するようにした方がいいでしょう。

この専門家に相談をしようという時に

ついでにこの税についても相談しようかな
不動産をどう相続させようか相談しようかな

というような質問をしようと思うでしょう。

しかし、実は専門家によってそれぞれの得意分野が違うので相談する内容によって弁護士に相談するか、税理士に相談するか等は変わってきます。

そう言われちゃうと誰に相談すればいいのか分からなくなる・・・

というときに知っておきたいのが、相続をコンサルティングするコンサルタントに相談することです。

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家でもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強いです。

最近普及し始めた家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

この記事のタイトルとURLをコピーする

\ SNSでシェアしよう! /

家族信託と不動産相続naviの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

家族信託と不動産相続naviの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

古谷

この人が書いた記事  記事一覧

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

  • NHKあさイチでも話題!親が認知症になる前に家族信託を相談したいけど、誰に相談すればよい?

  • 実家が売却できなくなる?アルツハイマー病の症状とは?

  • 老老介護の問題点と認認介護の危険性

関連記事

  • 生命保険金を活用した遺産分割を考えるあなたに気をつけてほしいこと

  • 相続税を節税する為に必要な13の知識と知っておくべき5つのデメリット

  • 不動産の贈与をするときは「不動産だけ」を贈与してはいけない!

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

  • 生命保険がどうして相続対策になるのか疑問に感じていませんか?

  • 認知症になった後に相続対策は出来るのか?