1. TOP
  2. 相続対策
  3. 遺産分割協議で「あの人の財産は要らない!」と言うだけにしてしまうと・・・

遺産分割協議で「あの人の財産は要らない!」と言うだけにしてしまうと・・・

 2017/04/14 相続対策 遺産分割でお悩みの方へ
この記事は約 11 分で読めます。
長男
あの人が嫌いで家を出たのに、財産なんて相続したくない!
長男
あの人とは仲が悪かったし関わりたくないし、家族がいるならその中で相続すればいいよ

 

全ての家族関係が良好であれば平和的なのですが、残念ながらそうはなっていません。

仲の悪かった父の財産は受け取りたくない、相続人の中に関わりたくない人が多いから自分は相続しない関わらないでくれということもあるでしょう。

そのような仲が悪いということではなく、「弟が亡くなったけど、あんまり裕福じゃないことは知っているし、私は財産を相続しないから妻子で全部相続しなよ」ということもあるでしょう。

このようなときに相続放棄のことを勘違いしていて、「遺産分割協議で相続分を主張しない」ことを相続放棄だと思っている人がいます。

この方法も財産を相続しないという主張になりますが、この場合マイナスの財産が存在すると「プラスの財産を相続しないでマイナスの財産だけ相続する」という困った状態になってしまう危険性があるのです。

 

そこで今回は、相続放棄について紹介します。

長男
父が亡くなったけどあまり仲が良くないし、父が借金をしていたような気がするから相続に関わりたくないな
父が関わっていた会社の経営がまずそうだけど、出資のときに連帯保証人になったとか言っていなかったっけ・・・

相続に関わりたくない、相続財産がいらない全ての人に適した内容ですが、特に「被相続人(亡くなった方)に借金などのマイナスの財産」があるかもしれないという場合に読んでいただきたい記事となっています。

 

 

 

相続財産にはプラスとマイナス両方存在する

相続財産というと、実家や預金、株式や賃貸マンションなどのプラスの相続財産のイメージが強いですよね。

しかし相続財産はこのようなものだけでなく、借金や債務などのマイナスの相続財産も含まれます。

そしてプラスの相続財産とマイナスの相続財産では、遺産分割の取り扱いが変わってきます。

この取り扱いの違いが原因で、きちんとした相続放棄を行っていないということが危険なのです。

 

 

プラスの相続財産の場合

相続財産は遺言が遺されているのであれば、遺留分の侵害などがなければ大体の場合そのように相続されます。

遺言がなかった場合、遺言があっても相続人全員が合意している場合などは遺産分割協議にて誰がどの財産をどのように相続するか話し合います。

特に希望がなければ法定相続分で分け合うのもいいですし、「私は弟の財産はいらないから、弟の妻が全て相続するようにしよう」ということも、相続人全員の合意があれば可能です。

 

このようにすると相続放棄とは違うのですが、相続財産を受け取っていないことになるので事実上の相続放棄といえます。

長男
これで相続放棄と同じようなものなら、その方が楽でいいんじゃない?

と思うかもしれませんが、この事実上の相続放棄には大きすぎる落とし穴があるのです。

それが、マイナスの相続財産の取り扱いについてです。

 

 

マイナスの相続財産の場合

借金や債務などのマイナスの相続財産は、被相続人・相続人が「誰がどの程度相続するか」を決定することは出来ません。

もちろん相続人間での「長男が借金を返す」といった取り決めをすることは出来ますが、それは金融機関や債権者に強制できるものではありません。

その為「遺産分割協議でこのように決めたので、今後借金返済の督促状が着ても無視していいよね」ということにはなりません。

とはいえ大体の場合は「誰がどのくらい負担するか」ということは取り決めをするでしょう。

 

そのような場合は誰がどのくらい借金を負担するかと言うことを、金融機関や債権者に承諾してもらうといいでしょう。

これは免責的債務引受といって、債権者が承諾すれば債務を引き受けた人物を、新しい債務者とすることが出来ます。

そしてこの免責的債務引受が出来れば、債権者は元の債務者にそれ以降借金の返済を請求することが出来なくなるのです。

 

例えば父が被相続人で長男・次男が相続人だとします。

父の相続財産は自宅兼社屋と少しの現金、そして借金1,000万円だけだとします。

事業を引き継ぐ長男が全ての相続財産を引き継ぎ、次男がプラスの相続財産を相続しないことを合意したとします。

この次男の状況は、プラスの相続財産のときに出てきた事実上の相続放棄になります。

しかしこのままだと債権者は法定相続分通り(母がおらず子供2人だけなので、この場合は1/2ずつ)、それぞれに500万円返済を請求することが出来ます。

 

これでは事業を引き継ぐ兄のために、プラスの財産を相続しなかった弟は損しかないですよね。

請求が来るたびに払って、その後長男に支払った分の請求をすると言うこともできます。

しかしそれでは、もしも長男が事業を失敗して返済能力がなくなってしまったときに自分が負担する以外なくなってしまいます。

そこで債権者に「父の相続財産は長男が全て相続することになったので、請求は長男にお願いしたい」と言うことを説明し、それを了承してもらいます。

 

了承してもらえれば長男が全ての借金を負担することになり、プラスの財産を相続していない次男はマイナスの相続財産についても免責されたことになります。

もしもこの時に「信用できないから嫌だ」と言われてしまうと、債務者側からはどうしようもなくなるので、長男の事業が安定することを信じて次男は借金の立替を続けていくしかなくなります。

そしてこの場合連帯保証人となった契約の債務者が蒸発したときのような、後になってから分かった借金がある場合にはそのたびに交渉する必要があります。

 

 

マイナスの相続財産も分割できてしまうと…

長男
なんで借金は相続人がどうするか決めちゃいけないんだろう…

このような話をすると、マイナスの相続財産の分割が相続人間で出来ないということに疑問を感じるかもしれません。

しかしこのような決まり事にしないと、ずるいことが出来てしまうのです。

 

被相続人が父、相続人が長男・次男の二人で、長男が資産家、次男が無職でほとんど財産を持っていなかったとします。

父が生前に1億円の借金をして、それからまもなく亡くなってしまった場合、相続財産として1億円の現金と、1億円の借金があります。

この時に持ち家という自身の財産を持っている長男が現金1億円を含めたプラスの財産全て、財産を持っていない次男が借金1億円を相続すると、当然ですが次男は返済出来ないでしょう。

その為次男は相続後すぐに自己破産します。

そして次男が長男の家で生活するようにしてしまえば、借金1億円がなくなっているのに現金1億円が残っているという状況が作れてしまいます。

 

これは極端な例ですが、借金などのマイナスの財産を勝手に決められないようになっているのは、このようなことをされないようにというのもあるのでしょう。

このように相続放棄の良くある間違いである「事実上の相続放棄」は、プラスの財産についてはきちんと出来ますが、借金などがある場合には結局相続するしかなくなってしまいます。

このようなマイナスの相続財産を相続しないようにする為にも、正しい相続放棄を覚えておく必要があるのです。

 

 

 

正しい相続放棄を申し出ればマイナスの相続財産も怖くない!

事実上の相続放棄では借金は相続してしまいますが、正しい相続放棄を行えばマイナスの相続財産も相続しないことが出来ます。

そもそも相続には「単純承認」と「限定相続」、そして「相続放棄」の3種類あります。

一般的な相続は単純承認で、特に手続きなどはありません。

3ヶ月以内に限定承認や相続放棄をしないでそのままにしていたり、3ヶ月以内でも相続財産の実家を売却したり現金を使ったりと相続財産に手をつけることで単純承認したとみなされます。

 

限定承認はプラスの財産の範囲内のマイナスの財産を相続する相続方法です。

借金がどれくらいあるのか分からないけど、実家は相続したいなどで選択するのですが、手続きや税が複雑であり、選択するケースは少ないです。

そして相続放棄は裁判所に「私は相続をしません」と申し出ることで、最初から相続人ではないことになります。

相続人ではない以上、プラスの財産もマイナスの財産も相続することはありません。

ここで注意していただきたいのは、相続放棄をすると次の順位の法定相続人に相続権が移ること、相続放棄をしても遺産分割協議書には署名・実印をし、印鑑証明を渡す必要があることです。

 

配偶者(夫・妻)は必ず相続人になりますが、それ以降は優先順位があり

第1順位:被相続人の子供(子供が既に亡くなっている場合はその孫〈直系卑属〉)

第2順位:被相続人の両親(両親が既に亡くなっている場合はその祖父〈母直系尊属〉)

第3順位:被相続人の兄弟姉妹

となっています。

 

被相続人の両親は、被相続人に子供がいる場合は相続権はありませんが、子供が相続放棄をした場合は相続権が移ってきます。

その為あなたが被相続人の子供で相続放棄を考えている場合、存命であれば祖父母、他界し手入れば叔父・叔母(伯父・伯母)にその旨を伝えて、相続権が移ることを知らせるようにしたほうがいいでしょう。

もしも被相続人の借金が原因で相続放棄をするのであれば法定相続人となる人物全員が相続放棄をしなければ、相続権が移ることを知らず相続放棄をしなかった相続人が全ての借金を負ってしまう危険性が高いからです。

相続放棄の申述自体は相続人がそれぞれ行うことが出来るので、相続放棄する相続人が自分の都合に合わせて裁判所で手続きをすることが出来ます。

 

まとめ

いかがでしょうか?

相続には今回の相続放棄のような、間違って認識されているようなことが多くあります。

相続放棄について正しく知っていたとしても、それ以外の相続対策についても正しく理解できているかは分からないでしょう。

弁護士や税理士のような専門家に相談しようとしても、実は専門家によってそれぞれの得意分野が違うので相談する内容によって弁護士に相談するか、税理士に相談するか等は変わってきます。

 

長男
そう言われちゃうと誰に相談すればいいのか分からなくなる・・・

というときに知っておきたいのが、相続をコンサルティングするコンサルタントに相談することです。

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家でもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強いです。

最近普及し始めた家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

この記事のタイトルとURLをコピーする

\ SNSでシェアしよう! /

家族信託と不動産相続naviの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

家族信託と不動産相続naviの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

古谷

この人が書いた記事  記事一覧

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

  • NHKあさイチでも話題!親が認知症になる前に家族信託を相談したいけど、誰に相談すればよい?

  • 実家が売却できなくなる?アルツハイマー病の症状とは?

  • 老老介護の問題点と認認介護の危険性

関連記事

  • 空き家になった実家を売却しようか迷ったときに知るべき知識

  • 生命保険金を活用した遺産分割を考えるあなたに気をつけてほしいこと

  • 相続税を節税する為に必要な13の知識と知っておくべき5つのデメリット

  • 相続財産がどのように分けられるか知っていますか?

  • 相続放棄をするときの注意点は?

  • 認知症になる前に!節税・納税対策・遺産分割・争族対策~相続対策の完全ガイド~