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相続財産がどのように分けられるか知っていますか?

 2017/04/14 相続対策 遺産分割でお悩みの方へ
この記事は約 16 分で読めます。
長男
父が亡くなり葬儀をしたけど、遺言が見つからないからどう分けるのか分からない…
長男
自分は長男だから、相続財産は私が全て相続できるんだよね?

 

身近な人の死は突然やってくるものですので、相続のときにどうすればいいのかということを調べる機会のないまま相続が発生してしまうことがほとんどでしょう。

被相続人(亡くなった方)が遺言を遺していれば基本的にその通りになるのですが、遺言に対してネガティブな感情を持ち「絶対書かない!」という方も多いのが現状です。

平成27年の相続税法改正で基礎控除の減額により、これまで相続税がかからなかった世帯の中にも相続税が課税されてしまうということも増えています。

 

国税庁が発表した「平成27年分の相続税の申告状況について」によると平成27年の死亡者数(約129万人)は平成26年(約127万人)と差はあまりないにもかかわらず、平成27年の課税対象者(約10万3千人)は平成26年(約5万6千人)と比較すると8割以上増加し、平成27年中の課税割合は平成26年の4.4%からほぼ倍増した8%になっています。

「相続税なんてうちには関係ない」と思って遺産分割もあまり深く考えていない場合、突然国税局の職員が訪問してくるかもしれませんよ?

相続税が課税されない世帯であっても遺産分割を行わない場合、自宅が「遠い親戚との共有財産」となっていることもありますので、遺産分割をしていないと後々のトラブルの原因となることも多いのです。

そこで今回は遺産分割の基本である、相続財産をどう分けるのかについて紹介します。

 

 

相続が起こってから遺産分割するまでの流れ

1.誰が相続人か、相続財産は何かの調査

相続が発生したときにまず行うこととして、「誰が相続人なのか」を調査し、何が相続財産なのかを調べることです。

長男
遺言書があるかを調べて、その通りに分割すればいいんじゃないの?
長男
遺言書を書いてここに置いてあるって言ってたし、別にこの調査しなくていいよね?

もしも被相続人が遺言を残していることを知っていた場合「調べなくてもいいかな?」と思うかもしれません。

しかし例え遺言書のことを知っていたとしても、相続人の調査は必要です。

 

被相続人(民法で定められた相続人)が離婚経験者で実は前妻との子供がいた場合、実は被相続人には養子となった兄弟がいた場合など、家族が知らなかった法定相続人がいる可能性、被相続人本人すら知らなかった法定相続人がいる可能性もあるからです。

遺言があるからと今の家族だけで遺言通りに遺産分割を行った場合、後から現れた法定相続人が遺留分減殺請求を行うなど、トラブルに発展してしまうこともあります。

 

遺留分は法律で相続人に保証された最低限の相続分で、これを侵害するような遺言を書いていると、その通りに分割されないだけでなく相続が相続人同士での争いに発展する「争族」となる危険性もあります。

「前妻との子は今の妻には内緒にしているから、遺言には何も書かないでおこう」としてしまうと、なかったことにされた前妻との子も隠し事をされた妻やその子供からしても気分のいいものではないです。

その状態からお金にまつわる話し合いをしなければならないとなると、普段であれば妥協点を決められるようなことについても、妥協点を見つけられず争いがヒートアップしてしまいますよね。

また全ての法定相続人がそろっていない状態で行った遺産分割協議は無効となってしまいます。

その為「家を飛び出したきり帰ってこないあいつに遺産をやるのは癪だから、あいつ抜きで遺産分割協議をしよう」ということは出来ないのです。

 

相続財産を調べるというのも重要です。

もしも相続財産をあまり調べずに遺産分割協議を行った場合、後々新しく財産が出てきたときには再度遺産分割協議を行う必要があります。

相続人に遠方にお住まいの方がいる場合や、仲の悪い相続人がいる場合いちいち連絡を取るのが億劫になってしまいますし、税のトラブルに発展してしまう危険性もあるので、最初にしっかりと調査し、一回の遺産分割協議で終わらせられるようにした方がいいでしょう。

また相続財産は預金や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金や債務などの「マイナスの財産」も相続財産となります。

そしてマイナスの財産は遺産分割協議では分割することは出来ず、もしも返済義務を財産を多く相続した相続人が請け負うようにする場合、債権者にその旨を説明し了承を得る必要があります。

もしも遺産分割協議でマイナスの財産まで分けられるようにしてしまうと、「生前の内に多額の借金をして、相続発生時に持ち家などの所有財産のない者に借金を全て相続させて自己破産をすればボロ儲けできる!」ということが可能となってしまいます。

 

長男
そんなこと言っても父が借金しているかどうかなんて分からない・・・

自分の借金のことを家族にしっかり話すことは人格者であっても難しいもので、子供としては親に借金があるかどうかなど判断できないことが多いでしょう。

そのような場合、CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)やJICC(日本信用情報機構)、JBA(全国銀行協会)といった信用情報機関に情報開示の手続きを行うようにすると安心でしょう。

信用情報機関は金融機関などが「この人は信用できるのかな?」「この人は昔借金の延滞をしたことがある人かな?」という情報を調べられるようにしている機関で、その人物の借金をしているか、クレジットカードなどで延滞していないかなどの情報を調べることが出来ます。

亡くなった方の情報開示手続きは、JICCは二等親以内(祖父母・兄弟姉妹・孫まで)が出来ますが、CICとJBAは法定相続人までとなっています。

 

調べてみてプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いなどで「相続したくない」という場合には、相続人全員で相続放棄をするという手段もあります。

ドラマや漫画のような「父の多額の借金が原因で一気に人生のどん底に…」ということには必ずしもなるわけではありませんので、落ち着いて「相続財産に一切手をつけずに」相続放棄をするようにしましょう。

もしも相続財産に手をつけてしまっていた場合、「相続した」とみなされてしまい(単純相続)それ以降相続放棄は出来なくなります。

被相続人が連帯保証人となっていたなどが、遺産分割協議後に判明した場合相続放棄が出来るかは裁判所の判断次第になってしまいますので、「大丈夫だろう」と安易に考えてしまうのはリスクがあるでしょう。

あなたが連帯保証人になってしまっていると相続放棄をしてもあなたに債務が移ってしまうので返済義務はありますが、それ以外の場合には相続放棄は有効な手段です。

 

 

2.遺言の有無の確認

法定相続人の確定をして、相続財産の調査を行った後は、遺言があるか無いかを確認しましょう。

長男
父が遺言を遺しているのか分からない…
長男
遺言書を探す為に父の部屋を漁るのも…

 

被相続人が遺言書を書いていたとしても、その保管場所は本人にしか分からないでしょう。

事前に「ここに遺言書を保存しておくから」と宣言してもらっていればその場所が分かりますが、それ以外の場合は何処に保管しているのか、そもそも遺言を遺してくれているのかが分からないでしょう。

そういう場合に確認に行って欲しいのが「公証役場」です。

 

遺言書は基本的には「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3種類あり、この内自筆証書遺言以外は公証役場が関わっているので、自筆証書遺言以外の方法で作られているのであれば公証役場に記録(公正証書遺言の場合原本が保管されている)がありますので、公証役場で存在の有無を確認することが出来ます。

ここで「基本的に」としたのはそれ以外にも、緊急時に法的に認められた方式の遺言があるからです。

一般危急時遺言や難船危急時遺言(船舶遭難者遺言)、在船者遺言、伝染病隔離地遺言という緊急時に認められた遺言の遺し方があります。

これらの場合には証人が存在しますので、遺してくれていることは教えてもらえるでしょう。

このように自筆証書遺言以外であれば、遺言書が遺されているかどうかの確認は出来ます。

 

秘密証書遺言の場合は公証役場で「遺言書がある」ということを確認した後その遺言書を捜索する必要があり、公証役場に記録の残らない自筆証書遺言の場合「あるのか無いのかすら分からない」状態で探さなければならなくなります。

自筆証書遺言の場合例え書いたとしても見つけてもらえないこともありますし、自筆証書遺言や秘密証書遺言は書式が間違ってしまっていると無効となってしまいます。

その為司法書士や弁護士などの専門家に相談すると、大体の場合は公正証書遺言を勧められます。

 

公正証書遺言は本人の意思を聞いた公証人が作成するので、書式などの問題で無効と言われることはありません。

自筆証書遺言や秘密証書遺言では必要な裁判所の検認も必要が無いので相続人の負担も減らすことが出来るのです。

どうしても自筆証書遺言で遺したい場合は誰かに「ここに保管してあるから」と宣言しておくなどをした方がいいでしょう。

そして遺言がある場合と無い場合では、対応が変わってきます。

 

 

3.遺言書がある場合

遺言書がある場合、公正証書遺言は開封しても問題は無いのですが、自筆証書遺言秘密証書遺言は見つけても開封してはならず、裁判所で「遺言書の検認」をする必要があります。

検認は、どのような形の遺言書か(遺言書の形状)、日付や署名、それと加筆や訂正などの状態を確認し、内容について明確にするために行います。

遺言が見つかった後に検認をすることで

長男
こんな遺言内容認められるか!ここを書き換えて俺に財産が多くなるようにしてやる!

という改ざんや偽造が出来なくなるのです。

 

もしも検認が必要な遺言を検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料となるので注意しましょう。

また検認は遺言書の有効・無効を判断するものではないので、「裁判所の検認が終わったからこの遺言書は有効なものだ!」とはならず、遺言無効確認の申し立てなどで無効となる場合もあります。

公正証書遺言ではそのまま、自筆証書遺言・秘密証書遺言では検認後に遺言の中身を確認しましょう。

基本的には遺言が遺されていた場合、その遺言に記載されたとおりの財産分与が行われます。

もしも遺言の日付が書かれていないなどの必要事項が書かれていなかったり、書式が間違っていたりといった場合には遺言無効確認の申し立てをして、無効となれば遺言の通りではなく遺産分割協議で相続財産を分けることになります。

その他遺言の内容が相続人の遺留分を侵害してしまっている場合は、遺留分減殺請求により遺留分の財産を相続できるようになります。

 

無効と思われる遺言を突きつけられたり、自分に財産を遺さないような遺言を遺された側ももちろん「なんでこんな仕打ちを受けなければならないんだ!」と心穏やかではいられません。

しかし遺言の無効確認の申し立てや遺留分減殺請求をされる側も「被相続人の想いを無視された!」などと感じてしまうでしょう。

その為その後行われる遺産分割協議では、普段仲のいい家族であっても中々まとまらず争族に発展してしまうリスクが大きくなります。

遺言は円満にまとまらない相続を円満にする効果ももちろんありますが、相続人のことを考えない遺言は円満になるかもしれなかった相続を争族にする危険性もあります。

遺言の内容や、遺し方については専門家に相談し、しっかりと対策をした方がいいでしょう。

 

 

4.遺言書がない場合

遺言書がない場合は、相続人全員で「誰がどのようにどの相続財産を相続するのか」について話し合う「遺産分割協議」を行います。

誰がどの程度財産を相続するのかについて法定相続分を目安にする場合が多いですが、相続人全員が合意をするのであればどのようなわけ方をしても問題はありません。

相続人全員が合意できるのであれば遺留分を侵害する分割にも出来ますし、「長男に全ての財産を相続させる」といった擬似的な家督相続も出来ます。

協議というと「相続人全員で顔を合わせながら会議をしなければ」と感じるかもしれませんが、電話やメールなどで協議を進めることも出来ます。

相続人全員がパソコンを使えるのであれば、Skype(スカイプ)などグループ全員で通話が出来るもので会話をするのも便利かもしれません。

 

遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は義務付けられたものではないので「絶対に作らなければならない書類」ではないのですが、実質的にはどうしても必要になります。

相続人間ではどのように分割するのか決まっていても、実際にその通り不動産の名義変更をしたり、凍結された被相続人の預金を下ろす為にはそのことを証明する必要があります。

 

もしも遺産分割協議書がなくても預金を下ろしたり不動産登記が出来てしまうと、協議前に「相続人全員が私がこの財産を相続することを了承している」などといって先に自分の財産にしてしまう危険性もありますので、金融機関も遺産分割協議書がなければ受け付けないのです。

遺産分割協議書は決められた書式があるわけではありませんが、被相続人の氏名、生年月日、本籍地、最後の住所などの被相続人についての情報、相続財産について詳細に(不動産は謄本通りに記載するなど)記載する必要があります。

誰の遺産分割で誰がどの財産を相続するのかを記載したら、相続人全員の名前を表示し本人の署名と実印の押印、印鑑証明の添付をします。

 

 

5.もしも遺産分割協議がまとまらないと

遺産分割協議は「相続人全員」の同意が必要である為、誰か一人でも反対をすると遺産分割協議は成立しません。

遺産分割協議は「○○までに決めて提出してください」といった期限はありませんし、様々な不都合をよしとすればしなくても構わないものになります。

とはいえ相続発生時に相続財産は相続人全員の共有財産ということになります。

 

実家や株式なども全員の共有財産となり、処分をしようと思うと全員の合意が必要となるので非常に不便です。

勘違いされる方が多いのですが、株式が100株あり相続人が2人の場合1人50株ずつ分けるということにはなりません。

株式は1株毎に権利が定められているので、2人の共有財産となっている株式が100株あるという状況になり、議決権行使や売却を行う場合には例え1株であっても2人が合意する必要があります。

 

被相続人の預金も凍結されて相続人が遺産分割協議書なしに「預金を下ろしたい」と言っても、ほぼ認められることはないでしょう。

また基礎控除では相続税が課税されてしまうような状況でも、特例や控除を有効活用すれば0円で済むことも多いのですが、遺産分割が定まっていなければこの減税措置をとることも出来ません。

その為遺産分割協議は強制されることはありませんが、実質的には必須なものとなります。

 

この遺産分割協議がまとまらない場合、裁判所に申し立てて遺産分割調停を行い、それでもまとまらなければ遺産分割審判となります。

遺産分割調停は裁判官1人と調停委員2人が対立する相続人から話を聞いて、妥協点を見つけ出すなどで合意を目指す方法です。

裁判官からの助言でも解決出来ないほどこじれてしまうと、遺産分割審判に移行します。

遺産分割審判では裁判官が相続人から聴取した事情を考慮しつつ、誰がどの財産を相続するのかを決定します。

 

聴取した内容から考慮するといっても、調停でまとまらないものを無理やりまとめるようなものになるので、全員の希望に沿うということにはならないでしょう。

もしも「どうしてもこの審判は納得できない!」という場合には、審判の告知から2週間以内に即時抗告し、高等裁判所まで審理を持ち込むことになります。

断定はしませんが、ここまできてしまうと最早相続人同士の関係の修復はとても難しいものになってしまうでしょう。

ここまで争族として泥沼化しないようにするためにも、相続対策は必要となるのではないでしょうか?

 

 

相続サロン多摩相談センターでは、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ相続の専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持ち不動産の専門家でもありますので、特に相続財産で実家や収益物件のような不動産の割合が多い相続に強いです。

最近普及し始めた家族信託を含めた柔軟な相続対策が出来ますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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