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不動産の贈与をするときは「不動産だけ」を贈与してはいけない!

 2017/06/17 家族信託 相続対策
この記事は約 8 分で読めます。

相続対策や事業承継などの理由で親の所有する賃貸マンションなどの不動産の贈与を受ける方も多いでしょう。

しかしそのときに「不動産だけ」贈与するというのは、贈与税が跳ね上がってしまうケースがあるのです。

 

例として賃貸マンションを贈与するとします。

賃貸マンションの場合入居者がいれば、通常敷金を預かっています。

このとき、賃貸マンションと一緒に敷金相当額の現金を贈与するかしないかで、贈与税額を計算するときの建物の評価額が異なります。

これは贈与が通常の贈与になるか、負担付贈与というものになってしまうかの違いです。

賃貸マンションでなくても、ローン返済中の実家を贈与する場合なども同様の理由で贈与税額が大きく変わってしまうこともあります。

 

贈与税は贈与する金額が高額になるほど税率が上がる累進課税を採用しており、父から子への贈与でも4,500万円を超えると贈与税は55%にも上ります。

どうしても負担付贈与にしなければならないという場合は仕方がありませんが、「何故負担付贈与になってしまったのか」が分からずに負担付贈与になってしまうと想像以上の納税額になってしまう危険性があります。

自分たちでは「普通の贈与」という認識で納税したのに、税務署から「これは負担付贈与です」と言われてしまうと実際の納税額よりも低い納税しかしていないことになります。

 

その場合追徴課税という、制裁や罰金に近い意味合いの税金も追加で支払わなければならなくなる危険性が高いです。

そこで今回は、何故不動産だけを贈与すると納税額が変わるのか、負担付贈与とは何かについて紹介します。

もしも賃貸マンションの事業継承や相続対策で生前贈与を検討されているのであれば、呼んでみてはいかがでしょうか?

 

 

贈与は渡す側と受け取る側双方の合意が必

贈与は民法上贈与者が「無償であげますよ」という意思表示を、受贈者(受け取る人)が「もらいますね」という意思表示をすることで成立します。

この渡す側、受け取る側両方の意思表示があって初めて贈与が成立するので、父が子供に「黙って子供の通帳を作って贈与しよう」ということは出来ません。

そのような預金通帳は名前が子供になっているだけの父の通帳であり、相続が発生した際には父の相続財産に含める必要があります。

贈与は無償での譲渡なので、財産を受け取った側が納税など以外で負担を受けることは通常ありません。

 

 

受贈者にも負担がある負担付贈与

通常の贈与では受贈者は財産をもらうだけですが、負担付贈与の場合受け取る側にも負担があります。

負担付贈与の具体的な例としては

  • 住宅ローンが払い終わっていない自宅を子供に贈与するかわりに、残ったローンも任せる
  • 毎月7万円の贈与をするかわりに、私の介護をして欲しい
  • 賃借人が入居している賃貸マンションのみを贈与する

というものがあります。

 

住宅ローンの残った自宅を子供に贈与し残りの住宅ローンを任せる場合、受け取った側はもらって終わりとはいかず、その後の住宅ローンを支払わなければなりません。

毎月現金の贈与を受ける代わりに介護して欲しいという場合も、受贈者は贈与者を介護しなくてはならないという負担があります。

この「○○はあげるけど、代わりに□□してね」という受贈者が贈与税などの負担以外の義務を負う贈与が、負担付贈与となります。

 

このとき、例えば「この1,000万円の自動車をあげるから、代わりに滞納しちゃって1,100万円に膨れ上がったローンを返済して欲しい」というような負担付贈与があったとします。

このような場合受贈者が負担する債務残高(この場合1,100万円)で贈与財産を売却したとみなされます。

つまり贈与者は100万円の利益を得たことになるのです。

このようなケースの場合贈与者に譲渡所得税や住民税が課税されることもあるので注意しましょう。

この受贈者の義務や贈与者税金の注意点以外にも、注意しなければならないポイントがあります。

 

 

不動産を負担付贈与すると贈与税が高くなる

負担付贈与で不動産を贈与する場合、通常の贈与とは評価額が異なります。

贈与:相続税評価額

負担付贈与:時価(販売価格など)

土地建物を相続などで取得した場合取得した財産に応じた相続税を納税しますが、その際に土地建物は実際に売買される時価ではなく、相続税評価額で計算します。

 

贈与税は相続税法で定められた税金であり、土地建物の評価は相続税と同様の評価方法になります。

土地建物の評価で土地は路線価というもの、建物は固定資産税評価額を用いるのですが、路線価は時価の8割程度、固定資産税評価額は時価の7割程度となっています。

これに対して負担付贈与にしてしまうと債務の分差し引かれはしますが、評価額は土地も建物も時価で評価することになります。

 

つまり土地の評価額は2割程度、建物の評価額が3割程度高くなってしまうのです。

例えば3,000万円(時価)の自宅に500万円の住宅ローンが残っている状態で父から子に贈与する場合、自宅の評価は時価そのまま3,000万円で、債務500万円を減額した2,500万円の贈与があったものとして贈与税が計算されます。

累進課税を採用している贈与税では評価額が高くなることで税率自体も上がってしまい、値上がった分の金額以上に納税額が上がってしまうように感じてしまうこともあります。

 

ただでさえ負担付贈与の受贈者は負担を負わなければならないのに、更に贈与税の負担も大きくなってしまうのは大変ですよね。

元々仕方なく負担付贈与の選択をする場合は別ですが、負担付贈与のことを知らずに不注意で行ってしまうのは贈与税が高くなり、贈与税の申告と実際の税額に差ができることで追徴課税までかかってしまう事態になってしまいますので避けるようにしましょう。

 

 

賃貸マンションだけの贈与が負担付贈与になる理由

賃貸マンションやアパートなどの賃貸物件に入居する際、賃料や仲介手数料の他に敷金も振り込まれます。

しかし礼金などと違い敷金はキレイに入居していれば退去時に返却されるものであり債務の性質を持っています。

その為賃貸マンションを贈与する場合、敷金相当額の現金も贈与しなければ受贈者は「入居者が退去する際に敷金を返却する」という負担があります。

 

その為この場合も負担付贈与として扱われてしまうので、敷金相当分の金額は差し引かれますが贈与税の評価額は時価となります。

賃貸マンションを贈与する際に敷金相当額の現金も一緒に贈与することで「負担はない」とされることが一般的ですので、賃貸マンションを贈与する際には敷金相当分の現金も一緒に贈与するといいでしょう。

 

 

不動産を家族信託する場合も負担付贈与に注意!

家族信託は信託銀行の営利目的で不特定多数を対象とした商事信託と異なり、家族などの信用できる特定の人物に自分の財産を信じて託す民事信託のうち、家族間など家族のために行うものを言います。

 

家族信託の基本構造として

委託者:自分の財産を信託財産として、信頼できる人物を受託者として信託する人

受託者:委託者から信託財産を信託されて、契約に沿った管理運用をする人

受益者:信託財産からの利益を受ける人、複数人・何代でも設定可能

信託財産:委託者から受託者に信託される財産で、名義は受託者に、利益は受益者のものとなる。委託者=受益者の場合は贈与税がかからない

となっています。

 

名義を受益者に移すので委託者が認知症などで判断能力がなくなった後も信託財産の契約内容に沿った管理運用処分が可能となり(成年後見制度の機能)、次の受益者を指定しておいたり、信託契約終了後の財産の行方を指定できる(遺言の機能)他、第二受益者・第三受益者を指定することで遺言書では出来なかった数代先の相続にも干渉できるようになります。

家族信託はこのような、これまでは複数の制度を併用しなければ出来なかった幅広い状況への対策を家族信託だけで行うことが出来るということで近年注目されています。

 

図の説明では最初は委託者が受益者となっています。

この場合は元々財産を持っていた委託者が受益権を持っているので、財産の移動はしておらず贈与税はかかりません。

しかし当初受益者を委託者以外の人物に設定した場合は、贈与があったものとみなすみなし贈与として贈与税が課税されます。

そしてこの場合も不動産のみ、または敷金相当額より少ない金額の現金しか信託財産としていない場合は負担付贈与として不動産の評価は時価で行われると考えられるのです。

 

 

このような家族信託や他の相続対策を行うときに注意すべき点は多々あります。

その為相続対策などは専門家に依頼し、適切な相続対策を提案してもらうことが主流となっています。

相続サロン多摩相談センターでは日本相続コンサルティング協会の相続コンサルタントであり、家族信託普及協会の家族信託コーディネーターである相続の専門家が在籍しています。

不動産のプロである宅地建物取引士でもあるので、特に不動産が絡んだ相続に強くなっています。

税法のプロである税理士とも連携を取っているので、相続対策などの心配事があれば是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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