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父の財産を認知症の母に残しても財産の管理が出来るようにするには?

 2017/06/12 不動産相続 実家にご両親しかお住まいでない方へ 家族信託
この記事は約 8 分で読めます。

認知症となって判断能力がなくなった人が相続人となった場合、遺産分割協議の際に成年後見人を選任し成年後見人が遺産分割協議に参加します。

このとき成年後見人は日成年後見人の財産を保護しなければならないので、原則として法定相続分を主張しなければならなくなります。

金銭のような分割しやすい財産であればあまり問題にはならないのですが、法定相続分を相続させるために実家などの不動産を共有化すると、後々のトラブルの原因となってしまうのです。

 

不動産が共有財産となっている場合、売却やリノベーションなどを行うときに所有権を持つ全員の合意が必要となります。

成年後見人は「非成年後見人の財産保護」のための活動を行いますが、その中に資産の運用のような動的な財産管理は含まれません。

その為相続で不動産が共有財産となった場合、その中に成年後見人が含まれてしまうと売却やリノベーションはほぼ出来なくなってしまうのです。

 

  • 認知症などで判断能力がなくなってしまうと遺産分割協議には成年後見人を選任する必要があり、成年後見人は原則として法定相続分の相続を主張しなければならない
  • 共有不動産は共有名義人全員の合意がなければ売却やリノベーションが出来ない

ということなので、例えば既に母が認知症となっている場合には父の財産を法定相続分として1/2相続することになり、その相続分に不動産があればその不動産は売却等がほぼ出来なくなってしまうということになります。

 

もう母が認知症なんだけど、もう手遅れなの?

既にお母様が認知症になってしまっているというときに「もう手はないのか…」と嘆いてしまうかもしれませんが、お父様が元気であるならば相続財産のほとんどが不動産であってもまだ対策のしようは残っています。

そこで今回は、既に母が認知症になっているときに家族信託で財産の管理運用を問題なく行えるようにする方法を紹介します。

 

 

成年後見制度は「本人の財産を守る為」の制度

民法上、不動産売買や入院等の契約行為は「判断能力(意思能力とも)」があることを前提にしており、判断能力の無い人が行った契約は無効とすることで、判断能力がない人を保護しています。

その為銀行の定期預金解約や不動産売買契約などでは事前に本人確認をすることで意思能力がない人と契約をしないようにしており、判断能力のない人が何らかの契約をすることは難しく、財産も事実上凍結されてしまいます。

しかしそれでは、介護費用などで本人の財産がどうしても必要なときに困ってしまいます。

そのような場合に成年後見人を選任し、成年後見人に判断能力がない人の代理権を持たせ変わりに契約をしてもらおうというのが成年後見制度です。

 

成年後見制度は認知症などで判断能力がなくなってしまった人を守る為の制度で、判断能力が無くなってしまった「被成年後見人」のかわりに契約行為を行います。

このとき「成年後見人を選任すれば、実家を売却して分割するなどの相続対策が出来る」というわけではないので注意が必要です。

成年後見人をつければ定期預金の解約は出来ますし、家庭裁判所の許可を得れば実家の売却も出来ますが、それはあくまで「本人の為」となる場合です。

「遺産分割協議で分割しやすいように実家を売却したい」や「評価額を下げる為に、土地にマンションを建てたい」というような相続対策は、本人の為ではなく推定相続人のためですから成年後見人は相続対策のための行為は出来ません。

別に預金があり介護などの費用がまかなえる状態では「これは本人の為ではなく相続対策ですよね?」と言われ実家の売却の許可が得られない場合があります。

 

また「元気な頃は子供にお小遣いをあげていたし、学費は負担してくれていた」ということであっても、そのような贈与は本人の為ではないのでそのような贈与は出来ません。

また成年後見人の行う財産管理は「静的な財産管理」であり、とにかく使わせず、現状維持を目的とします。

株式や賃貸マンションなどの管理運用は「動的な財産管理」であり、このような行為は原則として成年後見人は行えません。

 

 

被成年後見人が共有財産の持分を相続してしまうと

母が既に認知症となり判断能力がなくなってしまっている場合、父の相続発生時に遺産分割協議を行う為には成年後見制度を利用する必要があります。

もしも「母に財産渡してもしょうがないし、子供全員で相続しようか」という話になっていたとしても、そうはいきません。

母の視点からみれば、「財産は子供で分けようか」というのは母の財産を不当に減らそうとしているようになります。

 

遺産分割協議はこのような自身にとって有利か不利かの判断力が備わっていない人物がいる場合には行うことが出来ません。

その為遺産分割協議を行う際には本人が不利益を受けないように、成年後見人を選任してから行う必要があるのです。

そして成年後見人は原則として本人が得られるべき財産を主張しなければならないので、夫の相続の場合は法定相続分である半分の財産を主張しなければならなくなります。

 

もしも「そんなことしないで勝手に署名押印すればいいじゃん」と成年後見制度を利用せずに別の人物が遺産分割協議書に書名押印をしてしまうと、見つかった場合その遺産分割協議書が無効になるだけでなく犯罪行為として処罰されてしまいます。

不動産が共有財産になるのは好ましくないのであまりお勧めはしませんが、成年後見制度の利用が嫌な場合は「遺産分割協議をしない」という手もあります。

株式や不動産が共有財産になると、名義人全員の合意がなければ株式の議決権を行使できなくなりますし、不動産を売却・リノベーションすることも出来なくなります。

判断能力がない人は売買や賃貸借契約などの契約は行えませんし、成年後見人がいても動的な管理運用は原則できません。

 

つまり不動産や株式が共有名義となりその中に判断能力のない人がいる段階で、その財産の管理運用はほぼ出来なくなるのです。

その為父は元気だけど母は既に認知症になっているという場合には父が亡くなったときに財産の半分は母が相続し、その財産は母が亡くなるまでほぼ活用できない状態になってしまうのです。

母の相続する財産が預金などであればまだいいのですが、不動産などの管理運用が必要な財産の場合現状維持の為の修繕以外ほとんど何も出来なくなると考えたほうがいいのです。

 

 

 

家族信託で財産の共有化を回避!

家族信託は家族などの身近な信用できる人物に自分の財産を信じて託すことを民事信託といい、その中でも家族のために行う民事信託を家族信託と呼んでいます。

委託者:自分の財産を信託財産として、信頼できる人物を受託者として信託する人

受託者:委託者から信託財産を信託されて、契約に沿った管理運用をする人

受益者:信託財産からの利益を受ける人、複数人・何代でも設定可能

信託財産:委託者から受託者に信託される財産で、名義は受託者に、利益は受益者のものとなる。委託者=受益者の場合は贈与税がかからない

この家族信託を活用することで、不動産が共有化しほとんど何も出来なくなるような事態を避けることが出来るのです。

 

 

登場人物

父:まだ元気だが、自分亡き後の子供たちが心配で何か対策をしたい

母:既に認知症で介護施設に入居している

子供:父の財産が自宅と少しの現金で、既に持ち家があるので父亡き後の実家は売却するか民泊などで管理運用したい

父の財産:実家・預金

 

信託例

委託者兼当初受益者:父

受託者兼第二受益者(1/2):子供

第二受益者(1/2):母

予備受託者兼第三受益者:孫

信託財産:実家・預金の一部

信託契約:父が介護施設などに入居することで信託財産が空き家になった後、父及び母のためになるよう信託財産を管理運用処分する

 

このような信託にすることで、父が介護施設に入居して空き家となった実家を信託契約に沿って子供が管理運用処分することが出来るようになります。

空き家となった実家を介護費用などに充てる為に売却したり、民泊新法が施行された後であれば民泊として活用することも可能になります。

父が先に亡くなり母に財産が相続されることになっても、受益権として継承されるので名義は子供のまま共有財産にはなりません。

もしも子供の方が先に亡くなってしまった場合にも、予備受託者として孫を設定しているので信託が終了してしまうリスクは抑えられます。

 

 

適切な家族信託にする為に知識のある専門家に相談を

家族信託で相続や認知症の対策をしようとする場合、状況に合った信託契約の設定が重要となります。

しかし家族信託は普及されるようになってあまり時間がたっていないため、弁護士や司法書士などであっても商事信託とごちゃ混ぜになっている専門家も少なくありません。

また不動産に関してであれば、弁護士や司法書士よりも不動産のプロの方が適切な対策を提案できるでしょう。

 

相続サロン多摩相談センターでは、家族信託普及教会の家族信託コーディネーターであり宅地建物取引士の資格を持つ不動産のプロが在籍しています。

不動産の絡んだ相続に関しては特に強いので、あなたの状況に合った家族信託を含めた相続対策の提案、不動産の活用方法などについての適切な提案をすることが出来ます。

相続や認知症対策に対して不安がございましたら、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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