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相続する空き家で民泊を考えるなら、家族信託で備えませんか?

 2017/06/12 家族信託 民泊
この記事は約 11 分で読めます。

民泊新法(住宅宿泊事業法)が6月9日に参院本会議で可決され、政府はこの民泊新法を2018年1月に施行することを目指しています。

民泊新法が施行されれば、ルールに則った健全な民泊が広まることが期待されます。

民泊に対して「自分には関係ない」と考えているかもしれませんが、あなたの実家に住んでいるのがご両親のみであるならばあなたも民泊を利用できるようになるかもしれません。

実家にご両親しか住まわれておらず子供全員がそれぞれ自宅を所有していたり、持ち家でなくても別の地域で生活している場合実家を相続してもそこに住まわないというケースは多くあります。

 

空き家として定期的に水を流したり換気をするといった管理をしたり、固定資産税などの維持費の負担を受け続けるというのは非常に大変です。

その為管理が行き届かず荒れてしまったり、費用負担などでトラブルに発展してしまうこともあります。

このようなときに民泊を活用することで実家を手放すことなく収入を得て、費用の負担を軽減し実家が荒れ果ててしまわないようにすることもしやすくなります。

そこで今回は空き家と民泊について、そして家族信託を活用して親が認知症などで判断能力がなくなってしまった後に民泊を行い、実家が荒れるのを防ぎつつ親の介護費用を得る方法について紹介します。

 

 

日本の空き家は増加傾向のまま

2015年に空家等対策特別措置法が施行され、倒壊の危険や衛生上・防犯上の有害となる空き家を特定空き家として自治体が指導や勧告、命令を経て行政側で代行執行(費用は所有者負担)が可能となりました。

このような法案が施行されるほど日本の空き家問題は深刻化しており、現時点でも日本の住宅の内13.52%が空き家となっています。

野村総合研究所が発表した試算によると2033年には日本の住宅の約30%が空き家になってしまうということです。

空き家が増えてしまう原因の大きな一つが、相続です。

 

国土交通省の「平成26年空家実態調査」によると、人が住んでいない空き家を取得した理由として52.3%が相続と答えています。

あなたの兄弟の中で、「両親が亡くなった後実家に移住が出来る」方はいらっしゃいますか?

もしもいないのであればご両親の実家は「空き家予備軍」であり、将来空き家になることを想定して対策をする必要があるでしょう。

この空き家の対策として、そして政府が目指す観光大国日本を目指す上で重要な役割を担うのが民泊新法による民泊サービスです。

 

 

ヤミ民泊を減少させることが期待される民泊新法

現在政府は観光大国日本を目指しており、2020年の外国人訪日客を4,000万人とする目標を設定しています。

しかし現在の宿泊施設ではこの規模の訪日観光客を受け入れることは難しく、そこで注目されているのが空き家を活用した民泊サービスです。

民泊は外国人観光客などが民家に有料で宿泊するサービスで、現在問題となっている空き家を活用することが出来る手段として有力視されています。

とはいえ民泊サービスは現在無許可で行われている「ヤミ民泊」がほとんどになってしまっています。

 

民泊とはいえ不特定多数の人を営利目的で宿泊させる以上、旅館業法の許可を得る必要がありました。

旅館を営むことを前提として作られた法律ですから、民宿の要件であっても一般の民家でクリアすることは難しく民泊を営むために許可を得るケースはほとんどありません。

東京都大田区や大阪府の戦略特別地域えでは民泊新法に先行して法整備が行われたのですが、何泊以上などの要件もありやはり難しくなっています。

 

そのこともあり、現在許可を受けて民泊を行っている業者はほとんどいません。

この無許可で民泊を行うヤミ民泊の業者は本来防犯上も必要な宿泊名簿の記録なども取らない、騒音やゴミだしなどの問題になりやすい事項の事前注意をしない、問題に発展した場合もそのままにしているケースが多くあり問題となっています。

ヤミ民泊を減らし健全な民泊を広める為には法整備が急務で、6月9日にようやく参院本会議で民泊新法(住宅宿泊業法)が成立しました。

 

 

民泊新法のポイント

政府は民泊新法を2018年1月に施行することを目指しています。

この民泊新法が施行されることで民泊サービスを行う家主(住宅宿泊事業者)は

  • 家主は都道府県知事に届出をし、定期報告する
  • 営業日数の上限は年間180日(自治体は地域の状況を考慮して営業日数の制限をすることが可能)
  • 宿泊客の衛星や安全の確保・騒音などの近隣住民への生活環境に悪影響を及ぼさないように注意事項についての説明義務
  • 近隣住民からの苦情・問い合わせに対する対応義務
  • 民泊で使用する住宅に標識を出す
  • 宿泊名簿(パスポートなどの控えも保存)の記録

といった義務が生じます。

法令違反などがあると業務停止命令や事業を廃止させることが出来るようになっているので、現在のヤミ民泊を減らしルール整備がされた健全な民泊が広まることが期待されるのです。

 

 

住宅宿泊管理業者への委託

相続した空き家のような家主が不在の住居を民泊として利用するときは、空き家が近隣にあるようなよほどの事情がない限り住宅宿泊管理業者に管理業務を委託しなければなりません。

しなければならないとなると二の足を踏んでしまうこともあるかもしれませんが、名簿の作成保存や宿泊客への注意事項の説明、近隣住民への苦情対応などの民泊を行う上で必要な業務のかなりの部分を任せられるというのは十分メリットとなるでしょう。

 

 

空き家となった段階で民泊を始められる家族信託

空き家を取得した原因の過半数は相続によるものです。

相続した後に何らかの事情があって空き家となってしまうケースもありますが、多くは「高齢になった両親だけが実家に住んでいる」という空き家予備軍の状態からそのまま空き家となってしまったケースでしょう。

また高齢になった両親が認知症などで判断能力がなくなってしまった場合子供の家に移住するか、介護施設に入居することになることがほとんどです。

その場合、親が存命であるうちに実家が空き家となってしまいます。

 

人が住まなくなった家は荒れてしまうのが早くなるので出来ればその段階から売却や賃貸、民泊などの対応をとりたいのですが、所有権が親のままではなかなかそうはいきません。

売却や賃貸借のような契約は、本人の意思が重要となります。

しかし判断能力が失って意思表示が出来なくなると、そのような契約行為が出来なくなるのです。

本人の為であれば成年後見制度の活用で売却が出来なくもないのですが、家庭裁判所に許可を得る必要がある上に「何故売却しなければならないか」ということが重要になります。

 

介護費用を支払う為にどうしても売却が必要という場合にはおそらく許可は下りますが、「現金化して遺産分割がスムーズに出来るようにしたい」「資産運用で財産を増やしたい」という理由では難しいでしょう。

もしも親が認知症になって介護施設に入所し実家が空き家となってしまう場合、その空き家を賃貸借や民泊、売却といった管理運用処分をしたいと考えるのであれば、何かしらの対策をする必要があります。

その対策として近年注目されているのが、家族信託です。

 

 

家族信託とは

信託というと信託銀行を思い浮かべるかもしれませんが、信託銀行などが行う不特定多数に対して営利目的で行う商事信託だけが信託ではありません。

家族信託は家族などの信頼できる誰かに自分の財産を託す民事信託の内、家族間で家族のために行う民事信託を家族信託といいます。

委託者:自分の財産を信託財産として、信頼できる人物を受託者として信託する人

受託者:委託者から信託財産を信託されて、契約に沿った管理運用をする人

受益者:信託財産からの利益を受ける人、複数人・何代でも設定可能

信託財産:委託者から受託者に信託される財産で、名義は受託者に、利益は受益者のものとなる。委託者=受益者の場合は贈与税がかからない

 

父の所有する実家を父が認知症などで判断能力が無くなり介護施設に入居したときに、実家を売却して介護費用に充てようとしていたとします。

しかし父本人の判断能力がなくなっている以上、売却などの管理運用処分の契約はそのままでは出来ません。

 

家族信託を使わずに実家を売却する場合、成年後見制度を利用し成年後見人を選任、成年後見人が家庭裁判所から許可を得てから売却するという煩雑な手続きが必要です。

その上実家以外に介護費用に充てられる預金などの財産がある場合、家庭裁判所から「そのお金があるなら実家を売却する必要はないんじゃないですか?」「ただ相続時に遺産分割がしやすいように財産を組み替えようとしているだけじゃないですか?」と言われ許可が得られない場合もあるのです。

更に成年後見制度はマンションの管理運用のような動的な管理運用は原則できないなど制限が多くあり、成年後見人を選任すると被成年後見人(この場合父)が亡くなるまで報酬を払い続けなければならなくなります。

成年後見人は最終的に裁判所が選任し、その半数近くは弁護士司法書士などの第三者である専門家です。

報酬を家族に支払うのであれば相続税対策と割り切ることも出来ますが、第三者に支払い続けるのは父の財産が減っていくだけになってしまいます。

 

しかし家族信託で実家を信託財産としていた場合、名義は受託者になっています。

子供を受託者としていれば名義は子供になっていますから、契約内容に沿って子供が実家を管理運用処分することが出来るのです。

成年後見人の選任も家庭裁判所に許可を得る必要もなく売却や賃貸をすることが出来るので、家族信託は認知症対策と相続対策を兼ね備えた制度として注目されています。

 

 

思い出の詰まった実家を手放さず民泊で収入を得るための家族信託

実家を信託財産とした家族信託をしていれば、親が認知症になり空き家となってしまった後に民泊として活用することが出来ます。

 

信託例

登場人物

父:子供は全員別居しており実家に1人で生活している。自分の財産の相続先は子供同士で決めて欲しいと思っている。

長男:既に都外での生活があるので実家に戻ることはないと思っているが、思い出が詰まっている実家は売却したくないと思っている。

次男:都外での生活を気に入っていて、実家に愛着はないので売却したいと思ったが長男が反対しているので売却できないことを残念に感じている

 

信託構成

委託者兼当初受益者:父

受託者兼第二受益者(1/2):長男

予備受託者兼第二受益者(1/2):次男

 

契約内容:父が介護施設に入居後、受託者は信託財産の管理運用処分をする。

 

このような家族信託を契約することで、父が認知症となって実家が空き家となった後も管理運用を契約に基づき行うことが出来るようになります。

父が介護施設に入居後は都道府県知事に届出をし民泊を行うことで収益が得られますし、父亡き後も受益権が子供2人に半分づつ承継されているので引き続き2人に収益が入ります。

このとき2人の共有名義になっていないので、引き続き長男が管理運用を続けられるようになるのです。

 

 

家族信託は民事信託に詳しい専門家に相談を

実家というものは思い出が詰まった家ですので、兄妹全員が実家を継げない状態でも手放したくないと感じる人は多くいます。

しかしただ管理するだけではご両親が住んでいたときよりも劣化が早くなってしまいますし、固定資産税などの維持費もかさんでしまいます。

売却では思い出の詰まった実家を手放すことになってしまいますし、賃貸でも借りた人が住む家となるので実家とのかかわりは薄れてしまいます。

しかし民泊であれば自分たちと家のかかわりはなくならず、収入も確保できるので実家の維持の負担は少なくなります。

実家を維持する為の負担が少なくなれば、思い出の詰まった大切な実家を残し続けることも可能になるでしょう。

 

家族信託を活用すれば、認知症などでご両親が介護施設などに入居し実家が空き家になった段階で民泊を開始することが出来ます。

定期的な収入があることで介護施設の費用負担を抑えることができますし、民泊として利用すれば実家の劣化も最低限に抑えることができるでしょう。

亡くなった後共有名義にすることなく収入を分けて相続させることも出来るので、実家以外に財産がないという場合にも安心して相続できるようにすることも出来るでしょう。

 

家族信託は状況に応じて柔軟な契約内容にすることが出来る分、適切な設計が難しく専門家に依頼をすることが主流となっています。

しかし弁護士や司法書士などの法律の専門家であっても、民事信託と商事信託を混合して覚えてしまっているような専門家が少なくないのです。

そのような専門家に依頼してしまうと、商事信託では必要でも民事信託では必要がないような条文が多くなってしまい思っていた内容の信託にならなかったり、受託者を必要以上に束縛してしまう恐れもあります。

そのような適切ではない信託にならないようにするには、家族信託について詳しい知識を持った専門家に依頼をした方がいいでしょう。

また不動産をどうするかについてなどは弁護士や司法書士は専門家ではないので、信託の質問は出来ても不動産をどうするかについての相談は出来ないことがあります。

 

相続サロン多摩相談センターでは家族信託普及教会の家族信託コーディネーターであり、宅地建物取引士の資格を持つ不動産の専門家が在籍しています。

不動産のプロであり家族信託を含めた相続に関する専門家でもあるので、不動産の絡んだ相続に強くなっています。

実家をどうするかを含めた相続対策であれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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