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信託を活用した子供の為の預金があなたの財産にされないようにする方法は?

 2017/05/26 家族信託
この記事は約 10 分で読めます。
子供のために口座は作りたいけれど、その口座を伝えておろせる状態にしてしまうと絶対無駄遣いをするだろうし、口座のことは黙っておこう…

あなたが子供のために口座を作るときには、子供には何も言わず・ハンコは自分で持って子供が下ろせないようにしておいて、「この口座に贈与を続けておけば安心だろう」と思っていませんか?

民法上、贈与とは財産を贈与する贈与者の「その財産をあげますよ」、贈与を受ける受贈者の「受け取ります」という双方からの意思表示が必要になります。

「子供が無駄遣いをしないように内緒で口座を作って贈与をしよう」という場合、「受贈者の受け取りますという意思表示」がなく、贈与とはなりません。

 

そして贈与ではないのであれば、その子供名義の口座は「名前が子供になっただけのあなた自身の口座」ということになります。

これは愛車の所有権を妻とするのと、愛車の愛称を妻の名前にするのと同じくらい異なるのです。

子供の名前をつけた「あなたの口座」になってしまっている場合、その口座の中にある預金はあなたのものとなります。

そのためあなたが亡くなった場合、その口座の預金は直接子供のものとならずあなたの財産として相続財産に含まれてしまうのです。

 

このような「名前だけ他人になっている本人の口座」を名義預金と呼び、この状態になっているときに名義預金を本人の財産として申告しなかった場合、税務調査で申告漏れとして指摘されてしまう危険性が高いのです。

名義預金といわれないように、名義預金といわれない為のポイントをまとめた記事がありますので、よろしければどうぞ。

その妻や子供名義の通帳、あなたの財産とされてしまうかもしれませんよ?

 

しかしこの名義預金と言われないための対策は、民法での贈与を成立させなければならないので子供に贈与のことを知らせて子供が引き出せる状態でなければならなくなります。

しかし「子供に贈与のことを教えて子供が引き出せてしまったら無駄遣いしてしまうじゃないか!」と感じ、中々納得できない人も多いでしょう。

そこで、今回は家族信託を活用して子供に口座のことを知らせずに口座を作成する方法を紹介します。

この方法も100%というわけではありませんが、子供に口座のことを話して引き出せる状態の贈与にする以外の選択肢として、ご検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

民法の贈与と税法のみなし贈与

民法でいう贈与は、遺贈者と受贈者双方からの「ただであげますよ」「いただきますよ」という意思表明がなされることで贈与となります。

しかし、「この土地は8億円するんだけど、あなたに対してだったら1億円で売ってあげよう」という場合、値引き分をほとんど贈与しているようなものです。

これに対して贈与税が課税されないのであれば、子供に渡したいもの全てを1円で売却すれば贈与税を支払わなくてもよくなってしまいます。

 

このような故意・過失を問わず贈与税逃れになってしまうような場合に、贈与されたとみなして課税します。

この場合民法上の贈与は成立していないのですが、税法上贈与とみなして課税対象とすることで「実質的な贈与」に対しても課税できるようにしているのです。

これをみなし贈与といいます。

例えば先ほどの8億円の土地を1億円で売却したような場合その差額7億円の贈与があったものとみなし、課税されます。

 

 

 

家族信託とは

家族信託は家族のような特定少数に対して非営利目的で行う民事信託のことです。

家族信託の基本的な構造は

委託者:自分の財産を信託財産として、信頼できる人物を受託者として信託する人

受託者:委託者から信託財産を信託されて、契約に沿った管理運用をする人

受益者:信託財産からの利益を受ける人、複数人・何代でも設定可能

信託財産:委託者から受託者に信託される財産で、名義は受託者に、利益は受益者のものとなる。委託者=受益者の場合は贈与税がかからない

 

委託者は託したい財産を信託財産として受託者に託します。

信託財産の名義は受託者になり、信託財産から受けられる利益は受益者のものとなります。

ここで「え?財産の名義移っちゃうの?」と感じるかもしれません。

しかしもしも受託者に名義が移らなかった場合、受託者は信託財産を文字通り預かることしか出来なくなります。

他人名義の財産であれば、例えば株式や不動産の売買や賃貸借などの契約は出来なくなります。

例えばあなたのお父様が認知症になり介護施設に入居した後、その父所有の自宅を売却しようとしても、所有権があなたにない以上売却することは出来ません。

 

信託をして名義が受託者のものとならないというのは、飼い犬に「鍋を見ててね」と火をかけた鍋を見ておくように指示するだけのようなものです。

賢い犬であれば吹き零れされそうになったときに飼い主を呼びにいくことが出来るでしょうが、飼い主が出かけてしまっては何もすることは出来ず吹き零れていく鍋を見ていることしか出来ないでしょう。

信託財産の名義が受託者になるというのはデメリットではなく、財産を守る為には必要なことなのです。

 

 

家族信託で受益権が移動するとみなし贈与になる

信託契約で委託者と受益者が同一の場合元々財産を所有していた人物と信託契約後利益を受ける人物が変わっていないので贈与税は発生しません。

しかし委託者があなた、受託者が妻、受益者が子供のような、委託者と受益者が別人の場合、「受益権の贈与があったものとみなして」みなし贈与税が発生します。

このとき信託契約書に署名を書くなど契約について関わるのは委託者と受託者であり、受益者については契約書で記載される程度です。

つまり受益者が署名などの「贈与を受けます」という意思表示をしなくても、みなし贈与とすることができるのです。

 

 

家族信託で信託口座を作成することで子供に関与されずにみなし贈与が出来る

家族信託で信託口座を作り受益者を子供とした場合、子供に知られることなくみなし贈与という形で贈与することが出来ます。

更に受益者は信託財産からの利益を受けることは出来ますが、信託財産を自由に扱うことは出来ません。

そのため事前に子供に知らせなくてもみなし贈与として成り立ちますし、知らせていても管理運用等に関しては信託契約に沿って受託者が行うことになり、受益者はこの段階では関与できないでしょう。

 

まとめて一括贈与をすると贈与税額が高くなってしまいますが、信託契約に記載していれば信託財産を追加することも出来ます。

この仕組みを応用することで、民法上の贈与の要件を満たさず、子供に知られないようにしたり、無駄遣いを予防しつつ子供の為の財産を作ることが出来ると考えられます。

 

信託例

信託構成

委託者:父

受託者:母

受益者:子供

信託財産:現金(追加信託財産として毎年現金を追加)

 

契約内容

受託者は、現在の委託者の意思を反映し受託者が必要だと判断したときに必要に応じて信託財産の管理運用処分を行い、財産を将来に残していく。

委託者は信託目的を達成する為に信託財産として金銭を追加信託することが出来る。

 

 

このような信託契約を結ぶことで、みなし贈与として受益者に贈与をすることが出来ますし、追加でお金を信託財産とすることで預金を積み立てていくことが出来ます。

信託というと信託銀行の行う商事信託のようなお金持ちが行うイメージが強いかと思いますが、早い段階から対策し信託財産を追加していくことで、最初から大金を用意しなくても利用することが出来ます。

このようなみなし贈与を利用した信託口座を作ることで、あなたが亡くなった後に「これは贈与ではないので被相続人の財産として相続財産に含めてください」といわれる可能性を抑制することが出来るのです。

このような早い段階から行うことで大金を持っていなくても行える対策は他にもあります。

 

 

まとめ

例えば生命保険を活用した相続対策です。

あなたの財産は自宅などの不動産の割合が多くありませんか?

そのような場合、相続人同士で平等に分割することが難しく争いの火種になりやすいのです。

あまりにも不平等になってしまう状況では遺留分の話が出てきてしまいますし、葬儀などの亡くなった後に被相続人の財産を利用して行われるものもあります。

一度経験した方であればわかると思いますが、葬儀の費用全てを香典でまかなうことは難しいのでよほどのことがない限り葬儀費用として被相続人の財産を使うことになり、現状のあなたの財産以上に不動産を相続する人と不動産を相続する人で相続分の差が大きくなってしまうでしょう。

そのようなときに不動産をそのままで相続し、相続した人が差分の相続分に相当する現金を他の相続人に代償交付金として渡す代償分割という分割方法があります。

 

この方法は不動産を相続する人に代償交付金を支払う能力がなければなりません。

早い段階から対策を取れるのであれば、生命保険という手段も出てくるでしょう。

何故早い段階なのかというと、生命保険金で代償交付金をというのはあなたの70歳など高齢になってしまうと難しいのです。

生命保険はその性質上高齢になればなるほど保険料が高額になり、高齢になると10年払いなどの長期で払い込むタイプは保険料の総額が支払われる保険金よりも高額になってしまいます。

一括で支払えば保険料と保険金はほとんど変わらない金額まで抑えることはできますが、一括で支払う保険料と支払われる保険金に差がないのであればそもそも生命保険に加入する意義が薄れてしまうでしょう。

 

早い段階から保険料の支払いを始めていれば、10年払いなどの長期間の払い込みをしても「保険料総額が保険金よりも高額」となってしまう状態にはなりにくくなります。

一括や短い期間で保険料を支払う資金がない状態であっても、早い段階で加入が出来るのであれば、相続対策として効果が出てくるでしょう。

このような、「まだ相続対策なんて私には縁がない!」という年代から相続について考えることも、相続で争いが起きる可能性を限りなく0に近づけるためには重要になってくるのです。

 

 

税理士や司法書士、弁護士などの専門家は主に扱う業務によって、得意分野、不得意な分野が異なります。

債務の過払い金に特化した司法書士は、それ以外の業務を主とした司法書士よりも過払い金に関する造詣は深いでしょうが、それ以外の業務についてはそちらを主な業務としている司法書士の方がよく知っているでしょう。

民事信託(家族信託)は最近になって普及し始めた分野ですので、特に専門家による知識のバラツキが大きくなっており、信託についてしっかりと精通している専門家もいれば、信託についてはさわりしか知らない専門家がいるのが現状です。

 

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーター、日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持つ、近年認知度が増え始めた家族信託を含めた相続対策の提案が出来る専門家が在籍しています。

宅地建物取引士の資格を持つ不動産の専門家でもあり不動産を含む相続に強く、信託に精通した税理士とも連携をとっているので、あなたに適切な方法を提案していくことが出来ます。

相続についての相談がございましたら、是非相続サロン多摩相談センターにご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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