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老老介護を限界まで続けたいときの家族信託

 2017/05/06 実家にご両親しかお住まいでない方へ 家族信託
この記事は約 13 分で読めます。
長男
特養が順番待ちだから父が母を介護しているけど、父もそろそろ大変そう・・・
長男
父が母を介護しているけど、父まで介護が必要になったらどうしよう…

近年核家族化が進み子供が自立しそれぞれの家で生活している為に、実家に住んでいるのが高齢の両親だけという家庭が増えてきました。

この高齢な両親しか住んでいない状態で配偶者が要介護になってしまうと、介護をするのはパートナーとなるケースが多くあります。

このような高齢者が高齢者を介護することを、老老介護といいます。

介護職にとって腰痛が職業病として挙げられているように、介護には身体的な負担が重くのしかかりますし、精神的な重い負担もあります。

 

昔は「家族を施設に入れるなど何事か!!」と介護施設への入居を嫌う風潮が非常に強かったですが、最近はその風潮も下火になっているので施設への入居を決める方々が増えてきています。

しかし公的に運営されている為費用を抑えられる特別養護老人ホーム(特養)は要介護3以上でなければ入居できず、重度の方でも医療措置が必要な方は入居できないことが多くあります。

更に特養はどこも入居が順番待ちになっていることがほとんどなので、「要介護になったので特養に入居したいです」といっても、その通りにならないことが多いのです。

民間機関が運営している有料老人ホームの場合、よほどえり好みしなければ特養のような順番待ちということにはなりませんが、民間企業などが運営している分費用が高額になってしまいます。

学校で例えるならば特養は国公立、有料老人ホームは私立でしょうか。

 

有料老人ホームに入居する費用がないなどの理由で特養の順番待ちをしている間として妻の介護をしているけれど、

  • このまま入居できなかったら…
  • 入居できるようになる前に自分が介護できる状態じゃなくなったら…
  • そもそも自分が要介護状態になったらどうしよう…

というような不安を感じることがあるでしょう。

 

自分が限界になるまでは老老介護で頑張ろうという考えの人も多いのですが、その中であなたが「限界を超えてしまってから自宅を売却して、または担保にしてお金を捻出しよう」と考えているのなら、その考えは改める必要があります。

限界を超えて認知症などの判断能力がなくなってしまうような事態になった場合、あなたの財産は凍結されてしまいます。

凍結を解除するために成年後見制度を活用した場合、財産は「現状維持」を最優先に考えなければならなくなり「不動産や株式を売却」というような資産運用は原則出来なくなるのです。

その為限界を超えて判断能力がなくなってしまった後家を売却、担保に借金をすることは出来なくなり、その負担は家族が全て負う負の連鎖が起きてしまいます。

その為限界を超えるまで老老介護を頑張ろうと思うのであれば、事前に対策をすることが重要となるのです。

そこで今回は、家族信託を活用した対策方法を紹介します。

 

この方法が全てではないので他の方法についても考えるのも重要ですが、その際に「どちらのが良いだろう」と比較できるよう読んでみていただけると幸いです。

この記事は

  • 現在実家には両親しか住んでいない
  • 現在老老介護の状態
  • 自分が要介護になったときに「預金は十分で絶対に生活が困ることはない!」と断言できない

という方に向けた対策を紹介しています。

 

 

老老介護が増えてきている

介護が必要な状態を要介護といい、現状介護の必要はないけれど、手伝い(支援)は必要な状態を要支援としています。

現在高齢化社会が進んでいる影響か、要介護者数は年々増加しています。

「平成28年版高齢社会白書」によると、65歳~74歳の要介護者は被保険者の内3%、要支援は1.4%で、75歳以上になると要介護は23.3%、要支援は8.8%となっており、75歳を超えると4人に1人は介護が必要になるということになりますね。

近年は核家族化が進み「子供が全員独立して実家には夫婦しか居なくなってしまった…」ということが多くなっています。

その為高齢になって妻が要介護状態になったということになると、介護をすることになるのは同じ年代である夫ということになってしまいます。

こうして高齢者が高齢者を介護する老老介護に発展し、問題となっているのです。

 

内閣府が出している「平成28年版高齢社会白書」によると、要介護状態となる原因として最も多いのが脳卒中(脳血管疾患)17.2%、その次が認知症16.4%、高齢による衰弱13.9%、骨折・転倒12.2%、関節疾患11%と続いています。

「俺が認知症になんてなるわけない!」と自分は要介護にならないと慢心している方も多いのですが、脳卒中で倒れる可能性、転倒して骨折してしまう可能性、介護により腰や膝などの関節を患ってしまう危険性もあるのです。

介護を仕事にしている介護職の方でも腰痛などは職業病として扱われているほどなので、加齢による体力の衰えを感じながらの老老介護の危険性は受け止める必要があるでしょう。

 

なお、老老介護をしている家庭全てが「俺が妻の面倒を最後まで看るんだ!」というわけではなく、特養の順番待ちでその間だけ在宅介護をしなければならなくなっているという家庭も多いです。

特別養護老人ホームは要介護度3以上という制限が出来たので以前ほど順番待ちになりにくくなったとはいえ、依然として順番待ちは存在します。

有料老人ホームは特養よりも費用が高くなってしまうので、介護施設でプロに任せたいけど費用が高いので特養でなければ入居できない…という場合には特養の順番待ちをしつつ、その間は在宅介護をするしかないというのが現状です。

 

 

介護費用を考えたことがありますか

内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、介護が必要になったときの費用についての意識調査結果で最も多いのは「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことが出来ると思う」で42.3%、続いて「必要なだけの貯蓄はしていると思う」が20.3%、「子供からの経済的な援助を受けることになると思う」が9.9%、「貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う」が7.7%、「資産の売却等でまかなうことになると思う」が7.4%となっています。(分からない10.5%、その他1.9%)

本当に貯蓄や年金等でまかなえるのであれば子供への経済的な負担は少ないでしょうし、いざというときに援助してもらえる子供がいるというのであれば要介護認定後の生活に問題はあまりないのでしょう。

しかし「不動産を担保に借金」「実家を売却して資金捻出」という考えの場合、どうにもならなくなる可能性があるので注意が必要です。

 

 

不動産売却などは意思能力がなければ行えない

認知症や脳卒中になり後遺症などで意思能力がないと判断された場合当てにしている「不動産売却」「ローンの契約」がほぼ出来なくなってしまうからです。

不動産の売買契約やローンなどの契約行為は、本人に意思能力がなければ結ぶことが出来ません。

その為「要介護になってからで大丈夫でしょう」と考えていると、必要になったときに必要なお金を作り出すことが出来なくなってしまうのです。

認知症のような直接意思能力がなくなってしまった場合以外でも、脳卒中で倒れて要介護になった後、意思能力がある内に急いで売却しようとしたけどその途中で意思能力がなくなってしまったなど、脳卒中の後遺症、骨折で寝たきりになったことで認知症になりやすくなるといった売却を進めている中で意思能力がなくなり売却を続けることが出来なくなったということ起きやすいのです。

 

そうすると負担が増えるのは扶養義務のある子供ということになってしまい、介護離職をせざるお得なくなり人生が狂ってしまう可能性が出てきてしまいます。

実際に介護を理由に離職、転職した人の年齢で一番多かったのは60~69歳(男性43.4%、女性31.5%)であり、仕事を辞めた人の半数以上(男性56%、女性55.7%)が「仕事を続けたかった」としています。(平成28年版高齢社会白書参照)

両親の介護にしっかりと対策をしていれば望まぬ離職・転職をしなければならなくなるリスクは大幅に抑えられるので、やはり「要介護になったときに貯蓄が足らないかもしれない」と感じているのに本人が対策をとろうとしない場合には、対策をするよう子供が促した方がいいでしょう。

 

 

どれくらい介護に費用がかかるか把握していますか?

介護費用について「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことが出来ると思う」、「必要なだけの貯蓄はしていると思う」という、準備は必要ないと考えている人は全体の6割以上を占めています。

しかし準備は必要ないと考えている方の中で、「実際にどれくらいかかるか把握している」という人はどれくらいいるのでしょうか。

特養であっても毎月10万円前後の利用料がかかってしまいますし、順番待ちを嫌って有料老人ホームにした場合は毎月30万円近く利用料がかかってしまうこともあります。

更に有料老人ホームには入居時に100万円を超える前払い金(夫婦での入居の場合300万を超えることも)を支払う必要がある施設も少なくありません。

前払い金0円、毎月20万円の有料老人ホームに入居をすると、1年で240万円かかるという計算になります。

 

この月額利用費以外にも、介護用オムツなどの介護用品や衣類などの生活必需品、入居者が病気通院したときの医療費など様々な費用がかかってしまうので、1年間の介護費用は大企業に入社した新入社員の年収以上になってしまうのです。

もちろん介護保険により全額自己負担というわけではありませんが、居住費や食費などは介護保険の1割負担の対象外となるのでやはり高額になるのは変わらないでしょう。

更にこの費用は要介護者が生存中は毎年かかる費用となってしまいます。

例えば70歳で脳卒中や認知症などの要因で要介護状態になった後に施設利用費の自己負担額10万円(特養でもこれくらいは最低限かかってしまいます)の施設で10年間生活した場合、1,200万円かかってしまう計算になります。

もちろん特養の順番待ちを避けて有料老人ホームに入居しようとした場合これ以上にかかってしまいますし、医学の進歩していく中長生きすればするほど費用はかさんできてしまうのです。

 

 

家族信託で出来る介護費用の捻出

長男
認知症になった後に家が売れないならどうしたらいいんだ!
長男
こんなにかかるとは想定してなかった…

不動産売却が認知症になったことで出来なくなってしまうと、不動産の維持管理次第では空き家となった実家が荒れてしまい、相続後に売ることも難しくなることもあります。

そうなってしまうと親の介護費用の捻出も、相続時の遺産分割にも支障が出てくる事態となってしまうのです。

そのような状況を回避する方法のひとつとして、家族信託があります。

家族信託家族間で行う民事信託の愛称で、信託銀行などが行う商事信託と違い様々な財産を信託財産とできますし、特定少数に対して営利目的ではない信託契約を結ぶので報酬を0円とすることも出来るのです。

 

家族信託の基本構造としては財産を託したい人(委託者)がその財産(信託財産)を、信頼できる人(受託者)を信じて託し、信託財産の利益は利益を受ける人(受益者)のものとなる信託契約です。

今回のケースで重要なのが、「信託財産の名義は受託者になり、受益権(財産からでる利益)は受益者のものとなる」ことです。

親が認知症となったときに費用を捻出する為に売却するためには、子供に贈与することで所有権を子供にする必要が出てきますがその場合は高額な贈与税がかかってしまいます。

家族信託で受託者に名義が移る場合、その財産から受ける利益は受益者のものとなるので、親を「委託者兼受益者」とすると名義が変わっても利益を受ける人は変わっていないことになります。

その為受益者ろ委託者を同一人物とすることで、贈与税をかけずに名義を変えることが可能となるのです。

 

名義が受託者になるということは、委託者である父が認知症になっても信託財産は凍結されなくなるのです。

更にただ贈与するだけでは受贈者は自分の好きなように財産を扱えてしまうのですが、家族信託では信託契約によって信託財産の使い方を縛ることが出来るのです。

その為「委託者が元気な内は住み続け、要介護状態となったときに財産の処分をして介護費用に充てる」というような信託契約にしておけば、委託者が元気な内に勝手に売却されるようなことにはなりません。

つまり家族信託を活用することで、父が元気な内はそのまま母の介護を自宅で続け、限界を超えてしまい父の意思能力がなくなり要介護状態となった後に自宅を売却し、両親の介護費用として使用することが出来るようになるのです。

 

 

まとめ

出来る限り自分で妻の在宅介護を続けたいと思う、特養の順番待ちの間は自分が妻の面倒を看たいという想いを叶えつつも、限界を超えてしまって父までも要介護となったときの自分の負担を少なくしたいというときの選択肢として、家族信託を考えてみてはいかがでしょうか?

 

しかし家族信託はまだ普及し始めたばかりで、司法書士などの法律の専門家であってもあまり理解しておらず、適切な信託設計が出来ない可能性も出てきてしまいます。

家族信託は柔軟性が非常に高く、その分適切な設計を出来なければ思ったような契約とならず途中で信託契約が解除されうなどのトラブルの原因になってしまいます。

 

家族信託コーディネーターは、家族信託普及協会から民事信託について研修を終えて民事信託に詳しい知識を持っている専門家です。

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍していますので、家族信託について興味があれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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