1. TOP
  2. 家族信託
  3. 実家にご両親しかお住まいでない方へ
  4. 実家にご両親しか住んでいない場合空き家予備軍ですが、あなたは対策してますか?

実家にご両親しか住んでいない場合空き家予備軍ですが、あなたは対策してますか?

 2017/04/11 実家にご両親しかお住まいでない方へ 家族信託
この記事は約 14 分で読めます。
  • 子供は全員自立していて、それぞれ持ち家での生活が安定している
  • 子供の中には賃貸生活をしている人もいるが、転勤先で定住してしまっているので実家に住むことはない

 

40年50年生活していると、それぞれの生活があるので実家で生活するのは両親のみ・・・

という場合が多くなると思います。

このようなときに、実家で暮らしているご両親が認知症で介護施設に入居したり、実家が相続になった場合に実家をどうするか話したことがありますか?

 

そんなこと話したこともないな
長男
そんな縁起でもない話が出来るか!

もしも実家をどうするかを考えたことがないというのであれば、あなたの実家は「空き家予備軍」ということになります。

 

もしもご両親が認知症になり介護施設に入居することで空き家になってしまった場合、何も対策をしていないとその空き家をどうすることも出来なくなります。

家族の誰かが定期的に換気をしたり掃除をしたりということをしなければ実家は荒れてしまいますし、もしも実家を売却して介護費用に充てようとしていた場合それは出来ません。

 

もしもご両親が亡くなり遺産分割をするときに実家を誰のものとするか決めずに共有財産としてしまった場合、その実家の処遇で争い事に発展してしまう危険性が非常に高くなります。

売却して分割しようとしても誰かが「嫌だ!」といえばそれは叶いませんし、だからといってそのまま長引けば空き家は劣化してしまいます。

また相続人の誰かが亡くなると所有権は更に細分化され、酷いケースでは「荒廃した空き家の所有権を調べてみたら数十人の共有名義だった」ということもあったようです。

 

「両親の住む実家のその後をどうするか」ということを話していない場合は他人事ではありませんし、もしも話していたとしてもしっかりとした対策をとらなければこのような問題に発展してしまいます。

また既にご両親が住んでいる実家が既に共有名義となっている場合は、迅速な対応をしなければ「実家が従兄弟を含めた親戚一同ほぼ全員の所有になってる・・・」ということになりかねません。

そこで今回は、何故両親しか住んでいない実家についてなにも話していないと空き家予備軍なのか、対策をしないとどうなるのか、どのような対策があるのかについてご紹介します。

 

 

「実家に両親だけ」は空き家予備軍

ご両親しか住んでおらず、今後誰も住む予定のない実家はご両親亡き後空き家となる、空き家予備軍です。

この空き家予備軍の内に対策をとらないでいると、後々になって困ったことになることが多くあるのです。

困ったことなるタイミングとしては

  1. 親が認知症になったとき
  2. 親が亡くなり実家を相続したとき

 

1.親が認知症になったとき

もう住むのは私だけだし、私が認知症になったら実家を売却して施設に入れてくれ

介護施設への入居は、費用をあまりかけずに抽選に全てをかけるか、高額な費用がかかってでも有料老人ホームなどを選択するかのどちらかになるでしょう。

そしてその費用を「自分の家を売って作ればいいだろう」と考える人も増えてきました。

 

しかしその実家の名義が親のままであると、認知症になって介護施設に入れたいという「判断能力のない」状態になってしまった段階で売却はできなくなります。

認知症などで判断能力がなくなってしまうと、財産は凍結されてしまいます。

成年後見制度を利用して成年後見人をつければ多数の制限と裁判所の監視・報告義務はありますが、財産を本人の為に使うことは出来るようになります。

しかしこれは預金などに関してで、居住用不動産の売却などは裁判所の許可がなければ出来ず、この許可をとるのが非常に難しいのです。

 

長男
元気なときに親が言っていたことなのに、何故出来なくなってしまうんだよ!

自宅を売却するというのは親の意思を反映させているだけなのに、何故出来なくされるんだろうと考えてしまうかもしれません。

しかしこの制度があるからこそ、判断能力がなくなったことをいいことに子供が親の財産を使い込むという悲劇を抑制することが出来るのです。

大規模修繕や建て替えなども出来なくなってしまうので、「実家を売却して入居費用に」という場合には事前に対策をとる必要があります。

 

 

2.親が亡くなり実家を相続したとき

ご両親が亡き後その実家の所有権は、誰かが実家を相続するという形にして不動産登記をしていない場合相続人全員の共有名義となります。

共有名義になると売却では名義人全員、賃貸をする場合でも名義人の過半数の承認が必要になります。

その為誰かが実家を売却しようとしても、誰かが「生まれ育った家を手放すなんてとんでもない!」と異を唱えてしまえば売却することは出来なくなります。

そして売却をすることが出来ず、十分な換気や掃除などのメンテナンスが出来ないと荒れてしまいます。

 

そして荒れてしまってから相続人全員を説得していざ売却しようということになっても、荒れてしまった家を買おうという人は少ないですから当然売却には時間がかかりますし、高値で売れることはまずありません。

売り手としては「思い入れのある家だから高く売りたい!」と思い高値を設定したいと思うのですが、買い手からすると「築年数がたっていて、荒れてしまっているから建て直すかリフォームしないといけないのだから、出来るだけ安値で買いたい」という思いがあります。

このお互いの想いのギャップが、相続した実家の売却を難しくしているのです。

 

 

このように、空き家となってしまった実家を売却するにしても、リフォームをして誰かが住むにしても、誰かに賃貸するにしても

  • 所有権を持つ親が認知症になる
  • 相続で共有財産になる

といった状態なってしまうと難しくなってしまいます。

この2つの問題の対策として最近注目を浴びている制度として、民事信託があります。

 

民事信託は信託銀行などが行う不特定多数に対して営利目的で行う商事信託とは異なり、特定少数に非営利目的で行う信託を指します。

その中で家族で民事信託を行うことを、家族信託として認知度が高まっています。

 

 

家族信託を利用した空き家予備軍の対策

家族信託の基本構造は所有財産を信託財産として信用できる人物に託したい委託者、委託者から信託財産を託され契約内容に沿って管理運用する受託者、信託財産から利益を受ける受益者で構成されます。

信託財産は委託者から受託者に名義が移り、財産から得られる利益は受益者のものになります。

このとき委託者と受益者が同じ人物であれば利益を得る人物が変わっていないということで贈与税はかかりませんが、受益者が委託者と別の人物になると贈与税がかかってしまいます。

名義が委託者から受託者に変わっているので、委託者が認知症になっても変わらず管理運用が可能になり、財産は共有化されません。

家族信託のこの特性を活用することで、空き家予備軍になっている実家を守ることが出来るのです。

 

所有権が親になっている実家の対策

実家の所有権を調べてみてまだ共有化しておらず、名義は父一人である場合の対策です。

登場人物

父:認知症になったら実家を売却して、質の高い有料老人ホームで余生を過ごしたい

長男:実家からそこまで離れていない場所に住んでいる

次男:実家から離れた地方で働いているが家族仲は悪くない

 

父の想い

子供は2人ともそれぞれの持ち家を持ち家庭を持っているので、自分が実家に暮らせなくなったら空き家になってしまう。

しかし認知症などで一人では家に暮らせなくなる状況になるまでは実家で過ごし、可能であれば実家で最後まで過ごしたいと考えている。

その為自分が元気の間は実家を売却したくないし、所有権を移転してしまうと子供に多額の税金がかかってしまうのでそれは避けたい。

 

この場合の問題点

  • 所有権は父にあるので父が認知症になってしまうと実家が売却できず、介護施設の費用が出せなくなる
  • 父から長男一人に贈与すると税金がかかってしまう
  • このまま何もしないと父は入所費用などの捻出が出来ず、空き家は長男が管理しなければ荒れてしまう。
  • 次男は遠くに住んでいるので、相続が発生した後所有権が共有化してしまうと実家を売却するなどのために署名をするなどの手間がかかってしまい迅速な対応が出来なくなる

 

信託の設計

委託者兼受益者:父

受託者兼第二受益者:長男

第二受益者:次男

信託財産:実家及び売却した場合その売却益・現金(預金の一部)

 

契約内容

  • 長男は父が元気な内はそのまま実家で暮らすようにし、父の判断能力がなくなった場合実家を売却しその利益で父を有料老人ホームに入居させる。
  • 父の死亡後は第二受益者である長男・次男に受益兼を承継し、信託契約を解除し残余財産を受益者に遺贈する。

 

このような信託契約を結ぶことで、実家の名義は長男になります。

しかしそのまま受益権は父のままなので、贈与する場合と違い贈与税はかかりません。

名義が長男なので父が認知症になった後に問題なく実家を売却することができるので、父が有料老人ホームに入居する為の費用も作り出すことができます。

父が亡くなった後は残った財産は子供二人で遺産分割するようになりますが、実家は既に売却されて現金の状態になり半分ずつ承継されているので、実家が原因で揉めることはないでしょう。

 

 

所有権が共有化していた場合

既に所有権が共有化されていた場合の対策です。

父の親の相続のときに遺産分割協議がしっかり行われなかったなどの要因で、実家が既に父の兄弟姉妹との共有財産となっていることがあります。

酷いときには親戚のほとんどの共有財産となっていることもありますが、今回は父の兄妹である父の弟(以後父弟)と、父の妹(以後父妹)との3人の共有財産となっている場合を例とします。

 

登場人物

父:実家を継ぎ住んでいる

父弟:兄弟仲は良好で、実家が共有名義になっていることに気が付いていない

父妹:最近物忘れが気になりだしている。父兄とは仲良くないが、父とは仲が良く長男のことも可愛がっている

長男:父の子供であり、持ち家で家庭を持っているので実家に住むことはない

 

父の想い

父自身は父弟、父妹とも仲がいいが、父弟と父妹の仲が悪いので実家を共有財産のままにしておくことに危機感を感じている。

自分が元気な内は生まれ育った家で暮らしていたいが、認知症になった後は介護施設での生活でよく、継ぐもののいない実家は処分して後々揉め事に発展するリスクは抑えたいと考えている。

 

この場合の問題点

  • 既に財産が共有化してしまっているので売却の為には名義人全員の合意が必要である。
  • 父妹の判断能力が衰え始めているので、このまま父より先に認知症になってしまうと売却ができなくなる。
  • 父弟は遠くに住んでいる上、父妹と仲が良くないので売却などで合意が必要になったときに手間がかかる上、揉める原因となる
  • このまま父、父弟、父妹が全員亡くなった場合、実家の所有権はそれぞれの相続人に相続されるので父弟、父妹に3人ずつ子供がいると実家は7人の共有財産となってしまう。

 

信託の設計

・信託1

信託財産:実家(父の持分)及び売却した場合その売却益

委託者兼当初受益者:父

受託者兼第二受益者:長男

 

契約内容

  • 父が元気な内は父の指図を受け信託財産の管理運用を行い、父が認知症などで判断能力が低下した場合信託財産を処分する。
  • 父の死亡後第二受益者に受益権を承継し、信託契約を解除し残余財産は受益者に遺贈する。

 

・信託2

信託財産:実家(父弟の持分)及び売却した場合その売却益

委託者兼当初受益者:父弟

受託者:長男

 

信託契約

受託者である長男の判断で信託財産を管理・運用・処分し、実家を処分した場合信託契約を解除し、残余財産は受益者が取得する

 

・信託3

信託財産:実家(父妹の持分)及び売却した場合その売却益

委託者兼当初受益者:父妹

受託者:長男

 

信託契約

受託者である長男の判断で信託財産を管理・運用・処分し、実家を処分した場合信託契約を解除し、残余財産は受益者が取得する

 

これらの信託により、父、父弟、父妹の持分毎にそれぞれ長男と信託契約を結び実家の名義を長男に集約させます。

このことにより実家の管理運用・売却を長男の裁量で行うことができるようになります。

父弟、父妹との信託契約は実家の売却時に解除し売却した利益はそれぞれが取得できるようにします。

実家の名義が長男1人になっているので管理運用処分に手間がかからなくなりますし、父との信託契約で売却した利益を介護費用に利用できるようにしたり、他2人との信託契約でそれぞれが「この人に渡して欲しい」という人物がいるようであればその人物を第二受益者とすることでもできるので、柔軟に対応できるようになります。

 

まとめ

いかがでしたか?

このように、家族信託を活用することで実家が空き家として荒れ果ててしまうことを防ぐことができるようになります。

財産の共有化や認知症などでの財産凍結になってしまうと、処分もできなければ管理運用もうまく出来なくなるので、いざ処分できるようになったときには価値が大きく下がってしまっているということもあります。

実家を残したいと思っているわけではなくても、建物があることで固定資産税の減税があるので中々建物の取り壊しなどの対応は出来なくなってしまいます。

 

近年「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたので、この税金対策で建物を残して管理を怠った結果建物が荒れ果ててしまった場合に特定空き家としてこの減税がなくしたり、「どうにかしなさい」と勧告されてしまうようになりました。

このような状態になってから何かをしようとしても、全てお金も時間も手間もかかってしまうようになりますので、事前に対策することが重要になるのです。

 

認知症や相続などで売却が難しい状況にならないような対策をする上で、家族信託(民事信託)はとても有用な選択肢の一つです。

しかし民事信託はまだ普及し始めたばかりの新しいもので、司法書士などの法律の専門家であっても民事信託をあまり理解していないことが多いのです。

民事信託はとても柔軟性が高く、その分適切な設計を出来なければ途中で信託契約が解除されてしまったりと、トラブルの原因になってしまいます。

設計をどれだけ適切に出来るかが成功の鍵となりますので、民事信託を深く理解している専門家に依頼をすることが重要となります。

 

家族信託コーディネーターは、家族信託普及協会から民事信託について研修を終えて民事信託に詳しい知識を持っている専門家です。

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍していますので、家族信託について興味があれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

この記事のタイトルとURLをコピーする

\ SNSでシェアしよう! /

家族信託と不動産相続naviの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

家族信託と不動産相続naviの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

古谷

この人が書いた記事  記事一覧

  • 今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

  • NHKあさイチでも話題!親が認知症になる前に家族信託を相談したいけど、誰に相談すればよい?

  • 実家が売却できなくなる?アルツハイマー病の症状とは?

  • 老老介護の問題点と認認介護の危険性

関連記事

  • 相続する空き家で民泊を考えるなら、家族信託で備えませんか?

  • 自分亡き後大事なペットをどうするか決めていますか?

  • 不動産の贈与をするときは「不動産だけ」を贈与してはいけない!

  • 障害を持った子供を守る家族信託

  • 信託銀行では相談できない家族信託(民事信託)

  • 父の再婚を応援したいときにも活用できる家族信託