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自分の死後を任せられる家族がいないときの民事信託

 2017/04/01 家族信託 頼れる家族がいない方へ
この記事は約 10 分で読めます。
独身でずっと生活していたから、自分が死んだ後どうなるのか不安だなぁ
子供が事故で車椅子生活だから、自分が死んだら墓の管理を頼めない…

 

結婚をして、子供がいるのであれば遺される家族に自分のことを託すことができますが、独身でいる場合はそうはいきませんよね。

また子供がいても不慮の事故などで障害がある場合は負担となることは頼みにくいですし、いても海外や地方など遠くにいては葬式などのことは頼めても墓の手入れは頼みにくいということもあるでしょう。

墓の手入れをしてくれる人がいなければ、自分が入った後の墓は荒れ果ててしまうことになってしまう可能性が高くなります。

また、独身の場合自分の死後の葬儀や埋葬、自宅の整理などの心配もしなければならないでしょう。

子供がいない、子供に頼める状況じゃないというとき、「自分が認知症になった後、自分が亡くなった後」のことを任せる為には、「誰かがやってくれるだろう」という安易な考えをすることはできませんよね。

 

基本的に認知症になり判断能力がなくなった後、その人の財産は凍結されてしまいます。

凍結された状態では本人の財産は他の人が使うことは不可能になるので、後見制度を利用して後見人をつけなくてはならなくなります。

そしてこの後見人がついてしまった場合、本人の財産は「現状維持」を最重要視し「本人の為にしか」使えなくなります。

もしも財産に株式や賃貸アパートがあったとすると、その財産の管理運用は出来なくなります。

 

アパートであれば新規入居者との賃貸契約は結べなくなりますし、大規模修繕は出来なくなります。

株式も「大幅な値下げ」が起こらない限り売買は出来なくなるので、もしも少しずつ株価が下がってしまってもそのまま黙ってみているしか出来なくなります。

前々から「自分が認知症になったら家を売ってそのお金にしてね」といっていたとしても、そのようにすることは難しいのです。

 

そのため「親戚の誰かがやってくれるだろう」「前からあいつに俺のことは頼んでいるから、そんな対策とかの契約をしなくてもいいだろう」と楽観視していると、実際にやってくれる人は裁判所に依頼をして後見人の設定をし、裁判所に報告をしたり許可を受けたり様々な制限を受けたりと非常に負担になってしまいます。

そのためこのような負担をかけないようにと、これまでの民法では委任契約、任意後見制度、死後事務委任契約、遺言といったような様々な対策をする必要がありました。

 

任意後見制度は、元気なうちに後見人となる人物を自分で決めておいて、契約を結ぶ制度です。

事前に自分が「こうして欲しい」という項目を盛り込んだ契約をすることが出来るので、裁判所の監視、裁判所への報告義務などの制限はあり引き受けた人の負担は強いままですが、自宅の売買などある程度は自身の想いに沿った財産管理にすることが出来ます。

死後事務委任契約は自分の死後の葬式やガスや賃貸契約、役所などへの諸手続き、遺品整理やペットなどがいればその子のその後など、「自分が死んだ後こうして欲しい」ということを契約します。

相手は個人でも法人でも依頼は出来ますが、法人を相手にした場合は墓の管理などは依頼出来ないことがほとんどです。

しかし近年話題になっている民事信託を活用すれば、民事信託だけでも委任契約、任意後見制度、死後事務委任契約、遺言機能の代わりとすることができます。

そこで今回は、この民事信託で自分の今後、死後についての不安を解消できる方法を紹介します。

 

 

民事信託とは

信託銀行のような企業が国の認可を受けて行う投資信託など不特定多数を相手に営利目的で行う商事信託といいます。

そしてこれ以外の非営利目的で、親戚や信頼できる友人などの特定少数で契約する信託を民事信託といいます。

民事信託という言葉を聞いたことがなくて「家族信託」は聞いたことがあるという人も多いと思いますが、民事信託は家族に信託することが多く、法律用語ではありませんがそのような家族と民事信託を結ぶことを覚えやすいように家族信託と呼んでいます。

相続サロン多摩相談センターには、家族信託普及協会から研修を受けて民事信託についての造詣の深い家族信託コーディネーターが在籍しています。

 

民事信託に登場する基本的な役割は委託者、受託者、受益者、そして信託される財産である信託財産です。

委託者:信頼できる人物を受託者として、自分の財産を信託財産として信じて託す人

受託者:委託者から信託財産の管理運用を、契約に沿って行う人

受益者:信託財産から利益を受け、税などの支払いを行う人

信託財産:名義が委託者から受託者になるが、委託者と当初受益者が同じであれば贈与税はかからない

 

信託財産を賃貸アパート、委託者・受益者を父、受託者を子供としたとします。

信託財産である賃貸アパートの名義は子供になり、父が認知症になっても新規入居や大規模修繕のような契約行為は問題なく行えるようになります。

しかし財産から受ける利益は変わらず父が受けるので、贈与税はかからなくなります。

そして契約した段階で管理運用は子供が行うことになるので、父が元気な内から財産の管理運用を引き継ぐことができます。

受益者、受託者は複数設定することもできるので、子供が二人いれば「第二受益者は長男1/2・次男1/2とする」という設定にすることで、父の死後も受託者名義のまま、長男次男は受益権を得ることができます。

受益権は承継されているので、財産の大半が不動産だとしても所有権の共有化を避けつつ法定相続分通りの遺産分割をすることもできるのです。

 

 

死後事務委任契約の代わりとなる信託

子供は車椅子生活だから墓のことは頼めないし、このままだと自分が入った後、墓が荒れてしまう…

子供が遠くに住んでいたり、車椅子生活などで負担をあまりかけたくないというときに、「では子供以外で誰が墓を管理してくれるだろう…」ということ不安になることはありませんか?

近くに色々と頼むことの多い信頼できる親戚がいたとしても、自分の死後を任せる為にかかる費用を事前に贈与する贈与税の負担も出てきますし、流石に大金を預けて「これで自分が死んだとき葬式とかの費用にして、墓の管理もよろしく」というのは気が引けるでしょう。

贈与したお金は相手の財産となるので実際にその通りに使ってくれるのかという不安も感じるでしょう。

「いつまで自分の財産で負担し続けなければいけないのか」というような不満につながりトラブルに発展してしまうこともあるかもしれません。

 

そのようなときに民事信託を設計することで、自分の死後の不安を解消することが出来るようになります。

 

登場人物

自分(A):子供は車椅子生活をしており、出来る限り負担はかけたくないと思っている

子供(B):現在車椅子生活中で、地方で生活中

Bの子供(β):未成年

信頼できる親戚(C):普段色々と頼むことがあり信頼している

財産:実家、現金

 

Aの想い

子供は離れて暮らしているし、体も不自由なので負担はかけたくない。

葬式など、自分の死後の諸手続きは遠方の子供に負担をかけるのは嫌なので、前々からCにお願いしたいという話はしていた。

認知症になったときにも子供に迷惑はかけたくないので、介護施設に入居したい

子供に墓参りをお願いするわけにもいかないので、墓の管理はなるべく負担をかけない方法でCにお願いしたい

βが成長して成人したときには、βに管理を引き継いでもらいたい

 

 

信託設計

委託者兼当初受益者:A

受託者:C

第二受益者:B

第三受益者:β

信託財産:実家、現金の一部

 

契約内容

  • Aの判断能力がなくなった後は実家を売却し、その費用で介護施設の入居費用などに充てる。
  • Aの死後の諸手続きはCが行い、諸経費は信託財産から出す。
  • Aの墓の管理はCが行う。
  • βが成人したときに信託契約を解除し、残余財産は受益者が取得する

 

このような信託契約を結ぶことで自分が認知症になった後から死亡後のことを、Cが行いやすくなります。

手続きの方法が複雑などで自分やCが不安に感じるようであれば信託監督人として司法書士などの専門家が監視・支援できるようにすることも可能です。

その後の墓の管理はCの判断で墓参り代行サービスなどを利用することも出来ますし、その場合信託契約解除後もβに引き継ぎやすくなります。

 

 

まとめ

いかがでしょうか?

子供にお願いするのが難しい状況の場合、近くの信頼できる誰かにお願いすることがあると思います。

「普段その人にお願いしているし何かあったときもやってくれるだろう」と思って、実際にその人もそのつもりでいたとしても、対策をとるのととらないのでは、引き受けてくれる人の負担は大きく異なります。

どちらにせよその人にお願いするとしても、出来る限り負担は減らしてあげたいですよね。

 

 

そのような想いがあるときに、民事信託を選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

この民事信託はまだ普及し始めている段階で、まだ司法書士などの法律の専門家でも経験がない、あまり詳しく理解していない方が多くいらっしゃいます。

民事信託は設計をどれだけ適切に出来るかが成功の鍵となりますので、民事信託に詳しくない方が設計した民事信託でトラブルになるケースもあります。

そのため家族信託コーディネーターのような、民事信託についての理解が深い専門家に相談した方がいいでしょう。

 

 

家族信託コーディネーターは、家族信託普及協会から民事信託について研修を終えて民事信託に詳しい知識を持っている専門家です。

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍していますので、家族信託について興味があれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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