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障害を持った子供を守る家族信託

 2017/03/30 家族信託 障害を持つ子供を守る為の家族信託
この記事は約 11 分で読めます。
他の子供は自立しているから安心なんだけど、あの子は私がいないと…
障害のせいで他の兄妹とも仲があまりよくないし、このまま何もしないのは不安…

 

あなたの兄弟姉妹に、障害があり親に支えられて生活している人はいませんか?

そのような兄弟がいる場合、親としてはその子供のことがどうしても心配になってしまうものでしょう。

これは自立し、それぞれの家庭を持っている子供たちに対する愛情がないのでは決してありません。

自立している子供たちは「もう自分たちがいなくてもこの子は大丈夫」という安心感があるのに対して、障害を持つ子供は「自分が世話をしなくては…」という心配をどうしてもしてしまうものです。

 

自分がいなくなって、この子の世話を他の子に負担してもらうのも申し訳ない…

また親としては自分が世話をしなければならないと使命感を持っている以上、別の子供にその負担を負わせてしまうことを心配しているということもあるでしょう。

そのため、可能であれば親亡き後の一緒に障害を持つ兄妹をどうするかということを、子供であるあなた自身も一緒に考えていくことが、円満な相続に向けた第一歩となるのです。

 

このように障害を持つ子供のいる家庭で心配されている「障害を持つ子供の将来」ですが、近年注目を集めるようになった家族信託を活用することで対策をすることができます。

家族信託は家族信託普及協会が商標登録している言葉で、家族で行う民事信託を指します。

民事信託は投資信託のような信託銀行などが不特定多数に営利目的で契約締結する商事信託と違い、家族などの信頼できる特定少数と、非営利目的で結ぶ信託契約です。

家族信託の契約ひとつで、委任契約認知症対策相続対策遺言機能といったこれまで複数の契約を結ばなければならなかった将来の対策をすることができます。

そこで、家族信託とは何か、どうやって家族信託で障害を持つ子供の将来に対する対策になるのかを紹介します。

 

 

家族信託とは

委託者:信頼する人を受託者として、自分の財産を信託財産として託す人

受託者:委託者から信託財産を託される人

受益者:信託財産から利益を受け、財産についての税金などを支払う人

信託財産:委託者が受託者に信託する財産で、名義は委託者から受託者に変わる

 

民事信託の基本構造は委託者受託者受益者信託財産からなります。

委託者は自分の財産の一部を信託財産として信頼できる受託者に託し、受託者は契約内容に沿った信託財産の管理運用をして、その利益は受益者のものとなります。

 

 

民事信託を契約するメリットとしては

  • 元気な内から管理を任せることで、管理運用方法の引継ぎができる
  • 名義が受託者に移ることで、委託者が認知症になっても管理運用に障害がない
  • 委託者、受託者の相続財産に含まれないので、たとえ相続で揉めても信託財産は共有化しない
  • 受益者が財産の利益を受けるので、当初受益者を委託者に設定すれば贈与税はかからない
  • 受益者を複数人、数代にわたって設定できるので、遺産の分配、数代先の相続のコントロールも可能になる

     例1:信託財産(賃貸マンション)の受益権を妻1/2、長男1/4、長女1/4と設定すると名義は共有にならないが賃料収入は振り分け通りに分配できる
     例2:当初受益者自分、第二受益者長女、第三受益者長男の子供とすることで、自分の死後は長女、長女の死後は長男の子供に信託財産を遺す事ができる

というようなことが挙げられます。

 

信託の例

登場人物:父、長男、次男

信託財産:賃貸マンション

信託内容

委託者兼当初受益者:父

受託者兼二次受益者(1/2):長男

二次受益者(1/2):次男

信託契約:受託者に信託財産の管理運用・処分を任せる

 

この信託契約をすることで、元気な内は長男に賃貸マンションの管理運用を指導し、賃料収入は父が受け取ります。

父が認知症になっても引き続き長男が管理できます。

父の相続発生時にも長男が管理を続け、長男と次男で賃料収入を半分ずつ受けとります。

 

 

長男
信託って言っても、俺に代理を頼んでいるのと変わらないんじゃ?

管理が長男になっても賃料収入は父のままなので、ここだけ見ると契約関係なく長男に管理任せても変わらないんじゃないかと思うかもしれませんね。

しかし、もしも信託契約を締結させずに管理だけ長男に任せているだけですと、大変なことになります。

 

管理を任せているといっても所有者が父のままであれば、長男は父の代理行為として契約行為を行っているだけとなります。

認知症のような意思能力、判断能力がなくなってしまった状態になると契約行為は出来なくなり財産は凍結され、後見人を設定しなければ財産を使うことができなくなります。

そして後見人がついてしまうと本人の財産は「現時点の財産の維持」を目的に、「本人の為」にしか使えなくなります。

そのため子や孫の教育費などの贈与はできなくなりますし、賃貸物件の管理運用のような資産運用はできなくなります。

賃貸マンションで言うとリフォームのような大規模修繕は出来なくなり、新しい賃貸契約も出来なくなるので経営が出来なくなってしまうのです。

 

管理を長男に任せているだけというのは「父の代理行為」ということになるので、父が認知症になった段階で賃貸マンションの管理運用は出来なくなります。

その管理運用できないままの状態が続き父が亡くなると、今度は相続が発生して賃貸マンションは相続人の共有財産になります。

共有財産になると所有者全員の合意がなければ管理運用に支障が出てしまいますし、遺産分割協議で遺産の振り分けをするのにも合意が必要です。

相続人間の中が悪かったり、相続人の中に精神障害があるなどで判断能力がないなどの要因がある場合、父の死後も賃貸マンションの管理運用に支障が出てきてしまうことになるのです。

このような問題が家族信託を行うことで、父の認知症によって管理運用が妨げられず、相続発生時にも共有名義にならないので、管理運用は長男一人で行うことができるようになるのです。

 

 

家族信託なら父の認知症や相続後障害のある兄妹の不安を解消できる

 

何も対策をとらない場合、父が認知症になった段階で賃貸物件や株などの財産は管理運用が出来なくなります。

そして兄妹に精神の障害を持つ人がいる場合、父の死後も管理運用に支障が出てくるでしょう。

後見人は遺産分割協議では原則「法定相続分」相続することを主張しますので、共有化したままでは管理運用はままならず、法定相続分で相続財産を分ける為に自宅や賃貸マンションなどを売却してその費用に充てるというようなことをしなければならなくなってしまうでしょう。

このような父の認知症、兄妹の障害などの不安を解消できる家族信託の例を紹介します。

 

障がい者を支援する信託

登場人物

父:長男は自立し頼りになるので安心しているが、自分が介助している次男の今後が心配

長男:父の相続発生後の妹との生活が不安

長女:精神に障害を持ち父に介助して生活している

長男の子

父の財産:賃貸マンション・預金・自宅

 

父の想い

長男は既に独立しているので安心しているが、今まで自分が介助してきた長女がどうなるのか不安に感じている。

長男ならば介助をしてくれるとも思っていても、長男には長男の生活があるので長女のことで負担をかけるのも申し訳なく感じるので、自分に何かあった後次男は施設で伸び伸びと暮らして欲しいと思っている。

 

家族信託の設計

委託者兼当初受益者:父

受託者兼三次受益者:長男

二次受益者:長女

予備受託者兼四次受益者:長男の子

信託財産:賃貸マンション・現金(預金の一部)

 

信託契約

受託者は信託財産の管理運用・処分を行い、委託者が認知症などで判断能力がなくなった後に信託財産(現金・収益物件の賃料収入)から長女の介護施設への入所費用、生活費などを出す。

長女亡き後、受益権が継承されたときに信託契約を解除し、残余財産は受益者のものとなる

 

 

というような信託契約を結びます。

このことにより、父が元気なうちは長女の介助を行い、父が認知症になった後は信託財産から長女が介護施設で生活するうえで必要な資金を出せるようになります。

そして長女が亡くなった後は長男に受益権が継承されます。

もしも長女よりも長男が先に亡くなってしまった場合は長男の子が受託者となるので、引き続き長女は安心して生活できるようになるのです。

 

 

家族信託の設計は知識のある専門家に依頼した方がいい

家族信託を設計することは必ずしも専門家に依頼する必要のあるものではありませんが、知識の浅い人物が信託の設計をしてしまうと、後々のトラブルの原因となってしまうこともあるのです。

民事信託は非常に柔軟な設計ができ、様々な状況に対応できる性質を持っていますが、その分設計が難しくなってしまっているのです。

民事信託の設計には「受託者と受益者が完全に一致した状態で1年間経過すると、契約が解除される」などの注意事項も多く、設計が甘い信託契約を作ってしまうと予定よりも早く契約が解除されてしまうこともあります。

例えば今回のケースで長男の子供を予備受託者としなかった場合、もしも長女よりも長男が早く亡くなってしまうと受託者がいなくなり信託契約が解除されてしまいます。

このようなこともあるので、万全をきそうと思ったときには知識の深い専門家に信託の設計を依頼した方がいいのです。

 

専門家と言うと、弁護士や司法書士かな?

法律での専門家というと弁護士や司法書士を最初に思い浮かべるでしょう。

しかし民事信託が注目を浴びるようになったのは最近のことで、弁護士・司法書士などの専門家でも民事信託のことは詳しくない専門家がまだ多いのです。

また財産に不動産がある場合などでは、法律の専門家でなおかつ不動産に慣れている人物というのは更に少なくなってしまうので、「法律の専門家だから」と安心をして依頼をするとあまり適切ではない信託内容になってしまうことも少なくありません。

適切な信託契約を設計する際は、家族信託コーディネーターのような民事信託についての理解が深い専門家に相談した方がいいでしょう。

 

 

家族信託コーディネーターは、家族信託普及協会から民事信託について研修を終えて民事信託に詳しい知識を持っている専門家です。

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍していますので、家族信託について興味があれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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