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法律では結婚できない二人の財産も結び付けられる民事信託

 2017/03/29 同性カップルの為の家族信託 家族信託
この記事は約 9 分で読めます。
彼と一緒に暮らしているけど、入籍しているわけじゃないから今後どうなるかが不安…

 

最近は同姓での恋愛に対する理解が出てきましたが、日本ではまだ婚姻関係を結ぶことはできません。

オランダやイギリス、ベルギーなどは同姓婚が認められていますし、アメリカでもアイオワ州やバーモンド州など州によっては同姓婚が認められてる国もありますが、日本が今後どうなっていくのかは不透明です。

2015年に東京都渋谷区で同姓カップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行してもらえる「同姓パートナー条例」が成立されましたが、この証明書には法的拘束力はありません。

法的拘束力はありませんが、条例により「区民および事業者はパートナーシップ証明に最大限配慮しなければならない」としているので、これまでは「同姓カップルは婚姻関係じゃないから」と拒否されていたことに申し込みができるようになりました。

家族向け賃貸住宅など、同姓カップルでは断られることもあった物件に申し込んだり、企業で支給される家族手当の支給を申請するなど、最終的には企業側の判断で決められてしまいますが、これまでのような門前払いの扱いはされにくくなったのです。

 

とはいえそれでも普通の夫婦であれば受けられる恩恵が、同姓カップルでは受けることができません。

パートナーの家で同棲して、そのパートナーが交通事故などで亡くなってしまったとき、法律は遺されたあなたを家族とはみません。

そのためパートナーの財産はそのご両親や兄弟姉妹に渡り、引き続きパートナーの家で暮らせるようになるかは分からないのです。

これではあなたもパートナーも、安心はできませんよね。

このような相続発生時などに、同姓カップルでも法律の恩恵を受ける為の手法として、かつては養子縁組を勧められてきました。

 

私たちは夫婦なのに、何故あの人の子供にならなきゃいけないんだ!
自分たちは夫婦として生活しているのに、何故自分が子供とならなければいけないのか…

確かに養子縁組はパートナーの相続発生時に法定相続人にしてくれますので、相続に関われるようになります。

しかし自分たちは夫婦なのに子供とみなされてしまうのは、どうにも納得できるものではないでしょう。

このようなこともあり、養子縁組以外でパートナーとあなたを結びつける方法として、民事信託が注目されています。

 

家族信託などの名称で最近テレビなどでの認知度が高くなってきた民事信託を活用すれば、認知症対策、相続対策、遺言機能などをまとめて契約することができます。

この民事信託を利用することで自分の死後パートナーに財産をしっかりと遺せるので、法律では結婚できないカップルの婚姻を支援することができます。

パートナーと一緒に住みたいけど、自分がいなくなった後のことが心配

というようなときに、民事信託は対策のひとつとして有効です。

そこで今回は民事信託がどのようなものか、民事信託を利用してどのようにしてパートナーに財産を残すことができるかを紹介します。

 

 

民事信託とは

信託というと投資信託のような、信託銀行などが不特定多数を対象に営利目的で行う信託を商事信託といい、証券会社や信託銀行のCMなどで信託といえばこちらを思い浮かべる人が多いでしょう。

民事信託は商事信託と違い、家族など信頼できる身近な特定少数に対して自分の財産を信じて託す、営利目的ではない信託です。

最近注目が高まっている家族信託はこの民事信託で、信頼できる家族に自分の財産を託すことから家族信託と読んでいます。

 

民事信託の基本構造

委託者:自分の財産を信託財産として受託者に託す人

受託者:委託者から信託財産を託される人

受益者:信託財産からの利益を受け、税などの費用を払う人

信託財産:委託者から受託者に託される財産で、名義は受託者のものになる

 

委託者は自分の財産を信用できる人物(受託者)に信託財産として管理運用を託します。

このとき信託財産の名義は受託者になり、委託者が認知症になっても引き続き管理ができ、相続発生時にも相続財産に含まれないので所有権が共有になることはありません。(相続税はかかります)

信託財産から得られる利益は受益者のもの(税金などの費用も受益者負担ですが)になるので、当初受益者を委託者にすれば贈与とはみなされず贈与税はかかりません。

 

受益者は1人しか設定できないということはなく、二次受益者を設定すれば遺言の代わりにもなり、受益者を複数人設定することもできます。

第二、第三受益者を設定すれば、遺言であれば次の相続人までしか干渉できなかった相続が、次の代、その次の代まで干渉できるようになります。

受益者を複数設定すれば、例えば共有名義になってしまったアパートの名義を1人にして運用しやすくして、賃料収入は数人で分配ということもできるようになります。

注意点として受託者と受益者が完全に同一になった状態のまま1年経過する、又は契約から30年経過後次の受益者に承継されると、それ以降は受益者の承継が起きないなどがあります。

この民事信託を利用することで、血縁関係ではなく法律上配偶者ではない大事な人にも財産が遺せるようになるのです。

 

 

同姓カップルを支える民事信託活用例

登場人物

同姓カップルであるA・B

注:お互いの両親は既に他界

 

2人の願い:自分亡き後の自分の財産はパートナーの為に遺したい。

 

民事信託α(委託者がA)

委託者兼当初受益者:A

受託者兼二次受益者:B

信託財産:自宅、現金(給与もそのつど追加)などA所有の全財産

 

民事信託β(委託者がB)

委託者兼当初受益者:B

受託者兼二次受益者:A

信託財産:現金(給与もそのつど追加)などB所有の全財産

 

 

信託契約内容で信託財産をA、Bの生活の為に管理・運用・処分できるように設定し、給与のような信託契約締結後の収入なども追加信託財産とできるようにします。

この民事信託をお互いに契約すればお互いの財産は2人のために使える共有財産となり、もしどちらかが認知症などになってしまっても、2人の財産で支えることができるようになります。

これが遺言で「自分の財産は全てパートナーに遺贈する」としていただけの場合、認知症となった段階で財産は事実上凍結されてしまいます。

後見人を設定して財産を使えるようにしようとしても「本人のため」にしか使うことが許されないので、認知症になった段階で本人の財産をパートナーのために使うことはできなくなってしまうのです。

どちらかが亡くなってしまった場合、二次受益者としてパートナーが設定されているので自分の財産はしっかりとパートナーに移るようになっています。

 

 

自分亡き後パートナーに財産を残せる民事信託

このような民事信託を活用することで、同姓カップルであっても認知症になったときにも2人の財産をわかちあえますし、相続時にパートナーに財産を残すことができるようになるのです。

この民事信託を契約する上で重要なのは、民事信託に造詣の深い人物に依頼をすることです。

民事信託には「この事項は記載しなければならない」という必要事項はあっても、「こういう形式にしなければいけない」というような信託契約上の縛りはなく、信託契約を設計する人物の民事信託に関する知識や思考の柔軟性が信託契約の良し悪しを決めます。

にもかかわらず民事信託はまだ利用されるようになってからあまり時間がたっていないので、司法書士などの法律の専門家であっても、民事信託についてはあまり詳しくないという人が多いのです。

 

今回のような同姓カップルの為の信託であっても、それぞれに法定相続人がいるのかどうか、自分とパートナーがいなくなった後の財産がどうなって欲しいのかということによっても信託契約の設計は変わってきます。

既にお互いの両親が亡くなっている状況で法定相続人がいなければ家族信託の設計だけで住みますし、例のような兄弟姉妹がいる場合は家族信託の他に遺言を残せばいい場合もあります。

両親が存命でパートナー亡き後は自分の家系に財産を戻したいと考えていれば、一般社団法人の設立があったほうがいい場合もあります。

家族として養子を育てている場合にはそのことをふまえた信託内容にすることで、社団法人を立ち上げなくても同様の効果を出すことができるかもしれません。

 

せっかく信託契約をしても、例えば次の受益者が受託者だけになっていてそのまま1年経過して勝手に信託契約が解除されてしまうなど、状況に適さない信託契約ではトラブルの原因になってしまう可能性もあります。

そのため適切な信託契約を設計する為には、家族信託コーディネーターのような民事信託についての理解が深い専門家に相談した方がいいでしょう。

 

家族信託コーディネーターは、家族信託普及協会から民事信託について研修を終えて民事信託に詳しい知識を持っている専門家です。

相続サロン多摩相談センターには家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍していますので、家族信託について興味があれば、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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