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親不孝者に財産を残さないための家族信託

 2017/03/22 家族信託 財産を渡したくない相続人がいる方へ
この記事は約 11 分で読めます。
長男
20年前追い出された次男が、父の死を舌なめずりして待っている…
長男
遊んでばかりでろくなことをしてこなかった弟に、私も父も財産をあげたくないと思っているだけど…

全ての家族が円満というわけではなく、どうしても不和を抱えてしまう家族は存在します。

家出をして好き勝手している、自分に暴力を振るってきている、パチンコなどで借金まみれとなりよく金を無心してくるといったような子供には、自分の財産を渡したくないというのが心情でしょう。

そのようなときに何もしなければもちろん争いになり、相続がいわゆる争族になってしまいます。

 

かといって遺言で「長男に全ての財産を相続させる」と書いたとしても、自分の財産全てが長男のものになることはまずないでしょう。

配偶者、子供、親には「相続が法律に保証された最低限の財産」である遺留分があります。

その為全ての財産を長男に相続させるような遺言は次男の遺留分を侵害してしまい、次男が遺留分を主張する「遺留分減殺請求」を行ってしまいます。

遺留分減殺請求により全ての財産は相続人全ての共有財産となってしまうので、そのまま争い続けてしまうと株やアパートなどの資産運用、建物の大規模修繕などはほぼ不可能になってしまいます。

この遺留分は法律的な保護が非常に強く、「次男に全ての財産を渡さない」ということはほぼ不可能なのです。

 

遺留分がこれだけ強いことで「自分の財産は全て愛人に遺贈する」といった、理不尽な遺言で残された家族が生活できなくなることを防ぐことが出来るので良い面もあるのですが、財産を渡したくない相手にも渡さなければならないというのは気持ちのいいものではありません。

相続財産として相続されてしまったものは全てその人固有の財産になってしまうので、その後長男の元に返ってくることはありません。

このようなときに、家族信託を活用することで次男に泣く泣く渡してしまった財産を、次男亡き後長男の家系に戻す方法があります。

そこで、今回は財産を渡したくないというときの遺言、信託を使った対策方法を紹介します。

 

 

考えられる相続対策は?

相続対策として有名なのは遺言ですが、その他にも生命保険も用途によっては有用ですし、最近テレビで出てくるようになった家族信託という選択肢があります。

 

遺言

長男
弟が親不孝者で私も父も、父の財産を渡したくないと考えているから遺言で弟には財産がわたらないようにしたい!

遺言を書けば自分の財産を好きなように相続させられると思いがちですが、実は遺留分という障害があります。

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に対して、法律で保証された最低限の相続分です。

この遺留分は非常に強く保護されており、相続人の遺言であっても侵害することはできません。

そして遺留分を侵害した遺言を書いてしまった場合、遺留分減殺請求をされてしまうと一度全ての財産が法定相続人の共有財産となります。

 

弟が父を殺害していた場合、弟が父を暴行するなど虐待をしていて父が裁判所に申し立てた場合は、弟に相続させないということはできます。

しかしその場合でも弟に子供がいる場合は代襲相続(既に相続人が死去していた場合、その子供が代わりに相続人となる)により弟の子供が相続してしまいます。

 

株式などで「100株あって相続人が子供2人だから、1人50株か」という勘違いが多いのですが、実は「子供2人の共有名義の株式が100株」ということになります。

こうなってしまうと株式の売買、株主としての議決権の行使にしても2人仲良く行う必要があります。

仲良く出来ないから共有名義になってしまったのに2人一緒に行動しなくてはならなくなるというのは、ほぼほぼ自分の思い通りに動かせなくなることを指すでしょう。

その為そのままズルズルと遺産分割協議で話がつかず、調停に進んでしまうこともあります。

 

こうならない為の手段として、遺言で「遺留分減殺方法の指定」を行うという方法があります。

遺留分は遺言によって無効にすることはできませんが、遺留分の主張がされたときに「この財産から減殺してね」という順番を決めることが出来ます。

つまり遺留分を侵害する遺言を書いて、遺留分減殺請求がされなかったらよし、されても「これは長男に遺したい」という財産を保護することが出来るのです。

とはいえ現在はインターネットの発達によって情報収集がしやすくなっているので、ほとんどの場合「自分には遺留分が保証されていること」「遺留分減殺請求で遺言があっても相続できること」を知って遺留分減殺請求をするでしょう。

 

 

生命保険

生命保険はみなし相続財産として相続税はかかってしまいますが、相続財産に含まれないので、生命保険で長男にお金を残すようにすれば次男はそのお金に関して遺留分は発生しません。

その為遺留分減殺請求を覚悟の上で「長男に全ての財産を相続させる」という遺言を遺し、遺留分減殺請求をされたときに、遺留分を長男が受け取った生命保険金で支払うという方法もあります。

生命保険は他にも、遺産分割の対象とならない受取人固有の財産であり遺産分割で争っている間でも問題なく使用することができます。

遺産分割協議が長引いてしまうということは、相続財産が凍結される期間が長くなるということです。

その期間の間に必要となる葬儀費用や納税などの費用として、生命保険金を準備することは遺される側からするととてもありがたいことでしょう。

 

家族信託

信託銀行が行う不特定多数から営利目的で行う商事信託ではなく、家族などの信頼できる人に信託をする、営利目的ではない特定少数からの信託を民事信託といいます。

近年話題になっている家族信託はこの民事信託のことを指しています。

家族信託では預金の一部や不動産などの財産を、信頼できる家族に信じて託し、託された人は契約に沿ってその財産を管理運用します。

それぞれの役割は委託者、受託者、受益者となり、託される財産は信託財産と呼ばれます。

委託者 所持している財産を受託者に託す人

受託者 委託者から財産を任される人

受益者 信託財産から利益を受ける人

信託財産 委託者が受託者に託す財産

 

信託財産は信託された段階で名義が受託者に、財産から得られる利益(アパートであれば収益など)や税金などの出費は受益者に移ります。

信託財産をアパートとして、父と子で家族信託を行う例として、父が委託者兼当初受益者、子が受託者とします。

信託契約によりアパートの名義は子に移りますが、家賃収入や修繕費、税金負担などは父のままです。

もしも父が認知症になってしまった場合、父所有の財産は事実上凍結になってしまい、アパートの修繕や売買、契約の変更などはできなくなってしまいます。

 

しかし家族信託を行っていた場合、信託財産であるアパートの名義は子となっているので、契約に沿って自由に管理・運用することが出来ます。

また、利益は変わらず父が受けているので、贈与にはならず贈与税はかかりません。

そして名義は子になっていることで、生命保険動揺みなし相続税はかかりますが相続財産には含まれません。

受益者は1人しか設定できないということもなく「当初受益者死後の第二受益者を○○」「第二受益者を○○と△△」といったように設定することができます。

 

自分の死後信託を解約し相続財産としたり、死後の受益者を指定することで信託契約を続行させ、遺言の機能を持たせることも出来るのです。

特にこの遺言機能については、第二受益者まで出なく、第三受益者、第四受益者などの設定も出来るので、これまで出来なかった「数代先の相続をコントロール」することが出来るようになったのです。

この家族信託を使うことで、相続させたくない子供の家系に財産が根付くことを防ぐことが出来ます。

信託財産の遺留分については、まだ裁判の判例がないので「生命保険と同様信託財産には遺留分はない」「信託財産には遺留分は存在する」「当初受益者から第二受益者への継承のときは遺留分があるが、第二受益者から第三受益者の継承のときは遺留分はない」など、様々な意見があります。

その為、遺留分に注意して家族信託を行った方がいいでしょう。

 

 

遺留分給付型信託

遺留分は侵害されるような遺言を書いてしまうと遺留分減殺請求をされてしまいますが、逆に言えば遺留分の分だけしっかりと与えてあげれば、遺留分の主張はそもそも出来なくなるのです。

そこで考えられる家族信託の形が、遺留分給付型家族信託です。

この家族信託は必要最低限の財産以外を全て信託財産として家族信託を行い、第二受益者を相続人に設定し財産を渡したくない人に遺留分の分だけ、残りをその他の相続人にします。

このことによって、既に遺留分の受益権を取得しているので遺留分減殺請求が出来なくなるのです。

そして第三受益者としてその他の相続人の子供などを設定しておくことで、財産を相続させたくない人物に渡ってしまった受益権は晴れて取り戻すことが出来るのです。

 

遺留分給付型信託の例

登場人物

父:次男と絶縁状態で、出来るだけ次男には財産を渡したくないと思っている。

母:既に死去

長男:両親の世話を夫婦で親身に行った。父と同様次男には財産を渡したくない

次男:父とは絶縁状態だが、お金は欲しいので父の相続時には出来る限り多くの財産を狙っている

長男子供

次男子供

 

父・長男の想い

  • 次男には財産を渡したくない
  • 次男が相続争いをする気なのを知っているので、出来るだけ穏便に相続を終わらせたい
  • 父の財産に株式があり、名義が共有になってしまったらどうしようと思っている

 

この場合の家族信託では

委託者兼当初受益者:父

受託者:長男

第二受益者:長男3/4・次男1/4

第三受益者:長男子供

となります。

 

今回の場合父が被相続人となった場合の法定相続人は子供2人なので法定相続分は1/2ずつ、遺留分は1/4ずつとなります。

その為次男には遺留分である1/4の受益権を与えておけば、遺留分を侵害しておらず、遺留分減殺請求は出来なくなります。

更に信託財産の名義は長男になっているので、財産は信託契約に沿って長男1人の意思で管理・運用することが出来るのです。

そのまま次男が亡くなった場合、長男・次男が亡くなった後の受益権は消失し、第三受益者である長男子供に継承され、次男の元に父の財産は何も残らなくなるのです。

信託財産の利益は遺留分の分次男の下にいってしまいますが、それ以外は次男のものにならず、長男がその全てを管理・運用することが出来るので、実質的には次男に財産は渡していないのと同じようなものになるのです。

 

まとめ

いかがでしたか?

財産を渡したくない人物が法定相続人にいる場合、どうしても相続争いのリスクは存在します。

このような場合元々弱い立場の人間を守るはずの遺留分が、遺言を残す上で大きな障害になってしまうのです。

このようなときに、「財産から出てくる利益は遺留分くらい渡してやるが、財産自体は渡さない!」という意気込みで、家族信託を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

相続サロン多摩相談センターでは、家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍しています。

家族信託についてのしっかりとした知識を持ったコーディネーターが、どのような家族信託にするといいのかを提案させていただきますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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