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認知症対策にも有効!?いま話題の家族信託メリット・デメリットをざっくり解説!

 2017/03/15 家族信託 家族信託とは
この記事は約 16 分で読めます。

 

家族信託ってテレビで観たことがあるけど、どんな制度なんだろう?
普通の信託と何が違うの?

最近になって家族信託という言葉を聞くようになりましたね。

家族信託はざっくり言ってしまえば、その名の通り財産を「家族に信じて託す」ということになります。

信託というとCMでみる投資信託など、信託銀行に任せるようなイメージが強いと思いますが、家族信託は信託銀行などに任せるのではなく、身近で信用が出来る家族に自分の財産を託します。

 

この家族信託は、委任契約、任意後見制度、遺言といった機能を備えているので、これまで別々に契約しなければいけなかった相続、認知症対策で行われている制度が、ひとつにまとめられていることになります。

さらに家族信託でしか出来ないメリットがあるということで、現在注目されているのです。

そこで本記事では、現在注目が高まっている家族信託はいったいどういうものなのか、そのメリット・デメリットについてをご紹介します。

 

遺言を書けだなんて早く死ねって言っているようなもんじゃないか!
俺は認知症になんてなんないんだからそんなもん(相続対策)いらん!

相続というと、「俺はまだ元気だからそんなもんいらん!」というように頑なに拒まれてしまうこともよくあります。

しかしご両親が認知症になってしまうと「財産保護」に特化した法律により、「実家を売って老人ホームの費用にする」というような、例え財産の持ち主の為に行うことでも行うことが非常に難しくなってしまいます。

また知識がないままアパートや会社、株式などを相続してしまった場合、その運用に困ってしまうでしょう。

「元気だから相続対策なんて要らない」ではなく、「元気な内だからこそ相続対策を考えなければいけない」ので、本記事をご覧になったことを機に、相続のことを考えてみるのはいかがでしょうか。

 

家族信託とは

信託ってそもそも何?
信託銀行に任せるのとは違うの?
家族信託って普段管理任されているのと何が違うんだろう

そもそも信託というシステム自体CMで聞いたことがある程度の人も多いですし、そのCMでやっている商事信託とごちゃ混ぜになってしまうと余計に難しく感じてしまいます。

また簡単に考えすぎてしまうと、「普段管理任されてるし、別に信託にする必要ないんじゃ?」と感じてしまうこともあるでしょう。

そこで信託とはなにか、家族信託と商事信託、ただ任せるのではいけないのかということを紹介します。

 

そもそも信託とは

家族信託といわれても、そもそも信託というものがよく分からない…

信託とは、その時の通り「信じて託す」という意味です。

自分の財産の運用・管理を、(自分が)信じている友人に託して家族が困らないようにして戦地に赴いたという中世ヨーロッパの十字軍のお話が発祥とされています。

信託で登場する役割は委託者、受託者、受益者の3つです。

  • 委託者…信託財産を託す人
  • 受託者…受託者から信託財産を託される人
  • 受益者…信託財産の利益(家賃収入、配当金など)を受ける人
  • 信託財産…委託者が受託者に託した財産

例えばアパートの大家さんが自分のアパートを息子に信託した場合、委託者、受益者は大家さん、受託者が息子となります。

信託財産は信託がなされた段階で名義が受託者のものになるので、契約の範囲内であれば委託者である大家さんの許可を得なくても修繕をしたり、売却したりといったことができるようになります。

 

家族信託と商事信託の違い

信託というものは分かったけど、信託銀行の信託と家族信託ってなにが違うの?

信託には信託銀行などが営利目的の事業として行う「商事信託」と、それ以外の「民事信託」に分けられ、家族信託は民事信託に分類されます。

基本的に信託銀行などの商事信託は、証券などの運用可能な金融財産などしか信託できないことが多いですが、民事信託の場合は特にそういう指定はありません。

その為自宅などの利益が出ない不動産や、飼い猫などのペットも信託財産とすることが出来ます。

 

例えば「私が認知症になったら老人ホームに入居させて欲しいけど、その費用は自宅を売却して作って欲しい」ということで自宅を信託財産にする場合、商事信託では出来ない可能性が高くなります。

また、商事信託の場合は信託銀行などの受託者に報酬を支払う必要がありますが、民事信託の場合は報酬を支払う必要はなく、費用を実費のみとすることも出来ます。

 

わざわざ信託にしなくてもいいのでは?

自宅の管理を息子に任せるだけなら、わざわざ信託にしなくてもいいんじゃないの?

別に信託をしなくても、自宅の処分ぐらいはできるんじゃないかと思うかもしれません。

しかし普段親と一緒に住んでいて、普段の管理を自分でやっていたとしても、不動産の処分も出来るとは限りません。

 

認知症になってしまえば判断能力、意思能力がないと判断されてしまうので、本人が契約をすることはできなくなってしまいます。

普段契約ができていたのは、「親の代理」として契約をしていたからで、

親の意思能力がなくなり契約が出来ない=息子が親の財産を運用できなくなる

となります。

つまり「親が認知症になる前にそういっていたから」というだけでは、認知症になった親の財産である家を売却し、介護施設入居の費用にすることはできなくなるのです。

 

成年後見制度を利用すれば、「本人の財産を維持」しながら、本人の為に財産を使うことは出来ますが、「自宅を処分して入居費用に」ということは非常に難しくなります。

また、財産を維持しなければいけないので、「相続税対策に生前贈与を…」「子供の教育資金を親の財産から…」と言うことは出来なくなります。

これらの行為は本人は「良いよ」と言ってくれそうですが、本人以外のための利用となるので、「財産を保護する」ことに特化した成年後見制度では不可能となります。

家族信託で息子が受託者、親が委託者兼受益者、信託財産を家にしていた場合、信託が行われた段階で名義が息子になっているので、親が認知症になっても息子が家を売却し、親の介護施設の入居費用とすることも出来ますし、契約で「残ったお金を孫の教育費に使っていい」ということになっていればそのように使うことも出来ます。

 

成年後見制度も本人の預金を本人が使う消耗品を購入したり、月々の施設費に使うことは出来るので、入居の初期費用と孫の教育費は家を売却して用意、それ以降の費用は信託財産以外から使うことが出来るのです。

更に信託契約に委託者の死亡後信託財産を誰に遺すか(継承するか)を記すことが出来るので、遺言の機能も兼ね備えています。

このように、家族信託をしたときとしないときでやっていることは変わらなくても、信託しているか否かでその後の負担が変わってきます。

 

家族信託のメリット

相続対策、認知症対策というと遺言、任意後見制度などもあります。

これら自体も活用すればとても良い制度なのですが、テレビで着目されてきているだけあり家族信託の方が優れている点がたくさんあります。

そこで、家族信託を行うメリットを紹介します。

 

認知症対策

ザックリ解説:信託財産の所有権は受託者にあるので、委託者が認知症になって財産が凍結させられても関係なく運用できる

日本の法律は、認知症なので意思能力がなくなってしまった人の財産を保護することについてはとても優秀です。

しかし融通がきかず制約がとても多いので、不動産は売却・リフォーム等契約が必要な行為はできなくなり、預金を下ろすことも出来なくなります。

しかし家族信託で財産を信託しておけばその財産の名義は受託者になるので、家を維持する為のリフォームをすることも出来ますし、売却したり、賃貸とすることも出来るようになるのです。

 

財産管理の引継ぎ

ザックリ解説:元気な内から運用の仕方を教えてもらえるので、相続が起きた後の予習ができる

特に相続対策も認知症対策もしていなかった場合、認知症の間何も運用することが出来なかった財産が、突然相続されます。

もしも親の財産にアパートなどの収益物件があったり、証券があった場合には、認知症後に一切手がつけられていないアパートや株の運用をしなければならなくなります。

 

自身でもそれらを運用したことがあるのであればまだ問題はありませんが、予備知識が何もない状態で突然運用を任されても、困ってしまいますよね?

しかもその財産は認知症である期間は運用が出来なくなっているので、

突然ボロボロで大規模修繕が必要なアパートを任された…
これまで株を触ったことがないんだけど、これは今どういう状況なんだろう…
ということになりかねないのです。

家族信託で親が元気な内にアパート、証券の運用方法をしっかりと出来るように教えてもらえていれば戸惑うことはないですし、認知症発症後でもきちんと運用できるようになります。

 

財産の流失を防げる

ザックリ解説:家族信託であれば、何代にも渡る財産のコントロールが出来る

  • 親には長男と自分(次男)の2人の子供がいる
  • 長男夫婦は親と親の家(実家)で生活している
  • 親は自分が死んだ後は長男夫婦に暮らして欲しいと考えている
  • 長男夫婦には子供がいない
  • 自分には子供がいる
  • 実家は代々受け継がれているもので、ずっと自分たちの家系で管理したい

このような条件が重なっているとき、長男夫婦が実家で暮らせるように相続を行ったとします。

その場合長男夫婦が亡くなってしまうと、その財産の大半(法定相続分では嫁が3/4次男は1/4)は長男の嫁の実家が相続することになってしまいます。

 

じゃあ遺言で長男、長男の嫁、次男の順に相続するってすれば?

と思うかもしれませんが、相続した財産は完全にその人物のものとなってしまうので、遺言ではその次の相続先を指定することはできないのです。

しかし家族相続の場合、

自分(第1受益者)の死後は長男(第2受益者)に、長男の死後は長男の嫁(第3受益者)に、長男の嫁の死後は信託解除となり次男の子供に相続される

※信託財産=実家

というような設計で組むことで、親の死後は長男、長男の死後はその妻が受益権を持ち、最終的に次男の子供に相続されるように出来ます。

つまり、何代に渡っての相続をコントロールできるようになるのです。

 

親が破産しても信託財産は守られる

ザックリ解説:親が破産しても家族信託に影響はない

これまで問題なく生活していたとしても、その後なにが起きるかは分かりませんよね?

例えばこれまで順調だった事業が突然失敗してしまい、多額の借金を抱えてしまうかもしれません。

その後破産申請をすると、親の財産は全てなくなってしまいます。

しかし信託財産には「倒産隔離機能」があり、破産申請がされたとしても影響がないのです。

その為親の倒産後も実家が信託財産になっていれば問題なく住み続けることができますし、親の死後受益者の継承は行われます。

 

じゃあたくさん借金をして、その財産を信託財産にすれば破産申請をしてもお金が残るの?

とはいえ全てにおいて守られるかというと、そうではありません。

借金で作った財産を信託財産にしてから破産したりといった場合には無効になってしまいますし、信託財産に抵当権(借金の担保)がついていた場合は信託財産であっても関係なく債権者のものとなります。

 

家族信託のデメリット

ここまでで家族信託のメリットを紹介してきました。

しかし家族信託にも注意しなければいけないデメリットも存在します。

メリットだけに目を向けていると、思わぬ落とし穴に落ちてしまうので注意しましょう。

 

託した相手によっては…

ザックリ解説:素人に委託して損失を受けたり、不正に悪用されるかも

信託財産は、後見制度を利用するよりもはるかに柔軟性を持っています。

しかしこの柔軟性がデメリットとなってしまうこともあります。

受託者となるのは家族で、専門家ではありません。

その為よかれと思って行った資産運用によっては、損失が発生してしまう危険性があります。

 

また、後見制度ではがっちりしている監視の目は、後見人が財産を不正に使い込んでしまうことを防いでいます。

家族信託にはそのような監視機能が薄いので、本当に信用できる人に託すようにしなければ、大変なことになる危険性もあります。

家族信託で信託する場合、本当に信用できる人を選び、不安がある場合には信託監督人(受託者を監督する人)を設定しましょう。

 

全ての財産を信託すると委託者が使える財産がなくなる

ザックリ解説:信託財産の所有権は受託者なので、自分の思うように使えなくなる

信託財産のメリットで所有権が受託者になり、委託者が認知症になっても資産運用できるという点があります。

つまり信託財産の所有権は受託者に移り、受託者が管理することになります。

こうなってしまうと委託者はその信託財産を自由に使えなくなってしまうのです。

家族信託に魅力を感じて「全ての財産」を信託財産にしてしまうと、後々「俺の金なのになんで使えないんだ!」というトラブルに発展してしまうことになるので、注意しましょう。

 

遺留分に注意すべきかまだ分からない

ザックリ解説:判例がないので、遺留分を考えた信託をした方が良い

信託財産の所有権は受託者にあり、信託財産は相続財産に含まれません。

その為「次男にアパートを相続して欲しい」と考えたときに、家族信託で第二受益者に次男を設定することで思うとおりの遺産分割が出来るようになります。

しかし「全ての財産を次男のものにすれば、遺留分に関係なく全ての財産を次男のものにできるの?」と聞かれると、まだ分からないとしか答えることが出来ません。

 

遺留分は「相続人が相続することを保証されている最低限の相続分」です。

これは、まだ信託財産で遺留分が侵害された場合の判例が出ていないのです。

その為、「信託財産でも遺留分はある」「信託財産は相続人の財産となっていないから遺留分はない」と意見が真っ二つに別れているのです。

遺留分は法律で決められているもので、遺言で「私の財産は全て愛人の○○に遺贈する」ということを書いても、その分の財産を相続することが出来るようになっています。

しかし絶縁状態で「こいつには財産をびた一文渡したくない!」という人間がいた場合、遺言で「こいつには財産はやらん!」と記載しても、遺留分を要求されたら断れなくなるのです。

 

家族信託で財産を信託財産にした場合、その信託財産は委託者のものではなくなります。

とはいえ相続税の観点では生命保険などの相続財産に含まれない財産と同様にみなし相続財産という形で課税されるので、相続税対策にはなりません。

相続財産には含まれないということと、みなし相続財産扱いであることから遺留分も発生しないという見方が出来ますが、今後の裁判結果によってはどうなるか分かりません。

前例ができるまでは遺留分の考慮をしつつ、家族信託を行うように注意しておいた方がいいでしょう。

 

家族信託にかかる費用は?

ザックリ解説:家族信託は契約書作成などの実費、コンサルティング料、信託監督人の報酬(設定する場合のみ)がかかる

信託監督人などに受託者のサポートを依頼すると、毎月の監督人への報酬は発生しますが、家族信託は信託銀行などの信託と違い、基本的に毎月発生する費用はありません。

家族信託を行うときの費用として

  • 信託コンサルティング料
  • 信託契約書などの書類作成費用
  • 契約書の送料や手続きにかかる実費
  • 信託監督人などを依頼した場合の報酬

があります。

家族信託はきっちりとしたテンプレートは存在せず、どう設計するかは自由自在です。

その為家族信託コーディネーターが相談窓口となり、お話をうかがいオーダーメイドで信託内容を設計し、適切な家族信託の作成をサポートさせていただいております。

ご自身で家族信託を設計し、行政書士に信託契約書の作成を依頼、公証役場や登記(信託財産に不動産がある場合)などの手続きをすれば、個人で行うことは不可能ではありません。

その場合はコンサルティング料などの費用はかからないので、安く済ませることも可能ではあります。

とはいえ家族信託は個々の状況に合わせてオーダーメイドで作成する必要があります。

設計の段階であなたの状況に合わないものを作成してしまうと、後々のトラブルに発展してしまうことがありますので、専門家に相談した方がいいでしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

家族信託について、なんとなくでも理解をしていただければ幸いです。

認知症、相続対策の新しい選択肢として家族信託に注目が集まっています。

家族信託を行うことで、親が元気な内から運用方法や「自分亡き後どうして欲しいか」を知ることが出来ますし、認知症などで信託財産に対して何も出来なくなるということにもなりません。

更に相続が起きたとき、その次の相続が起きたときのことも指定することが出来ます。

家族信託に限らず認知症、相続対策は元気なうちにしか出来ません。

「まだお父さんは元気だし大丈夫だろう」と安心しがちですが、「認知症が進行してきたしそろそろ対策を考えなくちゃ」ということを考え始めても、残念ながら対策どころか、これまで行ってきた資産運用すらすることが出来なくなります。

 

相続サロン多摩相談センターでは、家族信託普及協会の家族信託コーディネーターが在籍しています。

家族信託についてのしっかりとした知識を持ったコーディネーターが、どのような家族信託にするといいのかを提案させていただきますので、是非ご相談ください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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