認知症かな?と感じた親とのコミュニケーションに困っていませんか?

「あれ?もしかして…」と思うレベルの軽度の認知症の場合、普段はいつも通りに生活できているのに突然
- 同じことを何回も聞いてくる
- 普段は穏やかなのに、突然怒り出す
- 最近妻にセクハラをしてきたし、この前万引きで捕まってしまった
- 自分で財布を移動しておいて「あいつに盗まれた!」と怒り出す
というような認知症の症状が出てきます。
そのような認知症の症状が出てきたときにどう接するかは重要で、接し方次第では認知症の症状が悪化しやすくなることもあるのです。
いっそのこと常に認知症の症状が出ていれば最初から認知症の方として見れるのですが、普段普通に対応できてしまうと突然出てくる認知症の症状に心の準備が出来ないですよね。
しかしこの軽度の段階でどう対応できたかによって、認知症の進行に影響することもあるのです。
そこで、認知症の対応として良くないこと、大事なことを紹介していきます。
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認知症の方に「それくらいできるでしょ」と考えてしまうと…
認知症になると体温調節や水分補給、排泄などの管理が出来なくなります。
- 真夏であってもお気に入りのセーターを着て脱ぐように言ったら怒った
- お茶などの水分補給ぐらい自分で出来るだろうと気にしていなかったら、脱水症状で倒れた
- 親の様子を見にきたら、排便が失敗した状態でそのまま生活していた
といったように、自分で調節や管理が出来なくなった結果、体調を崩してしまうことが少なくありません。
熱中症や脱水症状で倒れて入院というようになると、筋力が低下したり認知症が進むなどで介護の負担が大きくなります。
体温調節や水分補給に関しては、初期の認知症でも注意しておいた方がいいでしょう。
認知症の方の言葉を真っ向から否定してしまうと
認知症の方は否定されるとより強く主張するので、対応しきれなくなる危険性があります。
例えば夕食後に夕食を食べてないと言い出した場合に「さっき食べたでしょ」と言った場合
- あう人全てに「あいつは俺を餓死させるつもりだ!」と訴えるようになった
- 「じゃあ食べに行く!」と不穏になり、徘徊し始めてしまった
- 「俺はまだ食べてない!」と怒り、暴力を振るうようになった
と1人では対処できなくなってしまい、話を合わせて落ちつかせるよりもあなたが大変な状況になってしまいます。
認知症の方は起きた出来事は忘れてしまっても印象は残ることがあるので、その後「信用できない人」とされて介護を拒否してしまうこともあるのです。
「一緒に材料を買いに行きましょうか」などと言って、食べていないという主張を忘れるまで気分転換をするなどで対応しましょう。
物盗られ妄想などの犯人に仕立て上げられたり、同じことを5回繰り返されると腹が立つでしょうが、そこで怒鳴るとその後が面倒な状態になります。
その場合も「掃除のときにどこかに移動したかもしれないから、一緒に探して」「忘れたら困るから居室のドアにフセンを貼ろうか」など怒らず対処しましょう。
親がやれることまで全てやってしまうと…
高齢になるとちょっとしたことでも大事な運動の機会なので、寝たきりになるリスクが高くなってしまいます。
「食器の片付けを手伝ってもらったら、食器が押入れの中にあった・・・」
というようなことがあったり、ちゃんと出来ても動作が遅く「これなら自分でやった方がいい!」と考えるかもしれません。
しかし食器の片付けなどの手伝いは、高齢の方にとって頭と身体を動かす重要なチャンスなのです。
何もせずにリビングでテレビを観てもらう方が楽ではあるのですが、それでは手先を使ったり「どこにしまうか」など脳を活性化するチャンスが潰れてしまいます。
身体や脳を使うチャンスが潰れてしまうということは、筋力が低下し寝たきりリスクが高くなったり、これまで出来ていたことが出来なくなってしまうリスクが高くなることを示します。
我々からみると「そんなことで変わらないでしょ」と思うかもしれませんが、中々動く機会がなくなる高齢者にとっては重要なことなのです。
「この食器を、あそこまで持って行ってくれる?」など、できる部分だけでも手伝ってもらうようにしましょう。
安易に住み慣れた住環境から引き離してしまうと…
認知症の方は引越しをするなどで環境が変わると混乱してしまい、徘徊などの原因となってしまいます。
介護施設に入居する場合や、子供の自宅での在宅介護をしなければならない状況であれば仕方がないでしょう。
しかし安易に「こっちの方が楽だし」と住環境を変えてしまうっと、認知症の方はそのことを理解できなかったり、突然前の家を思い出し「帰らなきゃ…」と徘徊してしまうなどのリスクが高くなります。
認知症の対応の仕方で症状は悪化しやすくなる
認知症になったことを認めず介護をせず、脱水症状などになってしまうと認知症の症状が進行してしまう危険性があります。
しかし過度に介護をしすぎると、今度は寝たきりのリスクが高まります。
残存機能(今できる能力)は一度低下してしまうと回復させることは非常に難しいので、「こうだろう」と決め付けてしまうのは避けたほうがいいでしょう。
介護をひとりに任せてしまうと…
1人が負担を負って他の子供は我関せずというのは、兄弟仲の不和になるリスクが高いので注意が必要です。
親の介護は扶養義務の範囲内なので、寄与分などを主張しても通ることは稀です。
しかし介護の負担はとても大きく、相続が発生した後に介護が必要になってからほぼ会いに来なかった兄弟と平等な遺産分割は、不満になることが多いのです。
また介護のために仕事を辞めてしまったり、介護の負担に耐えられず介護うつになるなど人生が狂ってしまうリスクもあります。
介護施設などプロに任せるタイミングを逃すと…
在宅介護をしていく中で
- 認知症の症状が深刻になったり寝たきりになるなど、個人で対処できなくなった
- 仕事などの関係で介護できる人がいなくなった
- 介護者が高齢になる、介護うつになるなど、身体的・精神的な理由で介護が出来なくなった
といったことが出てくるかもしれません。
そのようなときには、介護施設への入居を検討した方がいいでしょう。
そのまま無理をおして在宅介護を続けていると、介護者の人生が狂って取り返しがつかないことになるかもしれません。
他の子供が介護を手伝ってくれるのであれば、そのまま在宅介護を続けられるかもしれません。
しかし「親の介護は長男がすべきだ」「うちは子供の世話が大変だから無理」などの理由をつけて、あなた以外誰も介護をしないのであれば、在宅介護を続けるのは難しいのではないでしょうか?
検討をしてみて、最終的にデイサービスと訪問介護で在宅介護を続けることであなたへの負担を減らしつつ在宅介護を続けることが出来るかもしれません。
検討すらせずに1人で思い詰めた結果、どうしようもなくなることは避けたほうがいいでしょう。
介護施設にいいイメージを持たない人も多いですが、無理に自分で全て介護しようとした結果面倒をみきれず放置しがちになるのは、認知症の進行を早めてしまう原因になります。
介護サービスは適切に受ければ認知症の進行を穏やかにしたり、場合によっては改善できる可能性もあります。
まずは相談してみて、あなたや親が笑顔でいられる生活を模索してみてはいかがでしょうか。