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今の相続対策はダメになるかも!?民法の相続分野が40年ぶりの大改正!これからの相続に必要なポイントは?

不動産相続 介護 相続対策 遺産分割
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これまでの相続は高齢化社会に適応していなかった

財産

  • 実家(土地建物込みで3,000万円)
  • 預金3,500万円

相続人

  1. 長男

 

これまでの相続では上記のような場合、法定相続分通りに分割すると半分ずつになります。

預金3,500万円が専業主婦として妻がやりくりした結果だとしても、法律ではこの預金に妻の所有分はなく、全額被相続人(夫)の財産となります。

夫婦で実家暮らしをしていたとしても、その実家の所有権が夫になっている場合、夫亡き後そのまま妻の所有物になるわけではなく、相続で取得する必要があります。

 

しかしその場合、配偶者である妻がこれまで通り実家で生活するために実家を相続しようとすると

妻の相続分

  • 実家(評価額3,000万円)
  • 預金250万円

 

長男の相続分

  • 預金3,250万円

 

となります。

2人の相続分の価値としては等価となりますが、実家を相続した妻としてはどう感じるでしょうか?

実家を相続したことでこれまで通りの生活は送れるようになりますが、預金は250万円しか相続できていません。

もしも預金が夫婦の老後の生活費として貯めていたものであっても、長男が「法定相続分の財産は絶対に欲しい!」と主張した場合長男は3,000万円相続できてしまいます。

 

この相続が100歳近い年齢で起きたのであれば、このままでも良かったかもしれません。

しかし60~70歳で起きた相続であればどうでしょうか?

平均寿命は年々上昇していますので、今まで以上に老後の対策が必要になります。

平均寿命は「その年に生まれた子供は平均して何歳まで生きられるか」を指すので、今60歳の人は現在の平均寿命まで生きるということではありませんが、現時点で60歳の人が平均してあと何年生きられるかという平均余命というものがあります。

 

この2016年の平均余命によると、2016年に70歳の女性の平均余命は19.98歳となっています。

つまり70歳で上記のような相続が発生した場合、妻は250万円と年金等の今後の収入のみで約20年生きていかなければならないのです。

これでは、今後進んでいく超高齢化社会に適合しているとは言い難いでしょう。

またこの例では何とか実家に住めていますが、預金が少なく財産のほとんどが実家となっている場合、実家を売却しなければならなくなり実家に住めなくなることもあります。

 

 

これからの相続のポイント

  • 「配偶者の保護」
  • 「自筆証書遺言を遺しやすくなった」
  • 「相続人の誰かが葬儀代などを負担するリスクが少なくなった」
  • 「長男の嫁などの介護などによる貢献が認められるようになった」
  • 「相続登記が今まで以上に重要になった」

 

「配偶者の保護」

民法の相続分野改正により、配偶者居住権、配偶者短期居住権というものが新設されることになります。

配偶者短期居住権

…相続開始時に配偶者(妻or夫)が被相続人(夫or妻)の所有する建物に住んでいた場合、遺産分割が終わるまで(または相続開始から6ヶ月のどちらか遅い方)は配偶者が住み続けることを主張できる権利

配偶者短期居住権は売買や譲渡することは出来ず、全相続人の承諾を得なければ他者を住まわせることも出来ない。

配偶者居住権

…建物に関する権利を所有権と居住権に分けて、配偶者が居住権を取得すれば取得期間の間は、建物の所有権を他者(別の相続人等)が所有していても住み続けることが出来る。

居住権は売買や譲渡をすることは出来ない。

配偶者居住権の期間は基本的には終身となるが、遺産分割協議や遺言などで期間を定めるときはその期間となる。

 

配偶者居住権を取得すれば、これまでであれば

  • 実家(土地建物含む)と少しの預金
  • 実家を売却し均等に分ける

などしなければならなかった状況が変わります。

実家の所有権にこだわる必要はなくなっているので、「実家の所有権と預金をそれぞれ半分ずつ」など預金を多く取得しやすくなるのです。

 

これまでも共有財産としてでも不動産の所有権を取得していれば住むことは出来ていましたが、修繕やリフォーム等については所有者全員の承諾がなければ出来ませんでした。

そのため連絡が取れなかったり嫌がらせで承諾してもらえなかった場合、どうしようもなくなってしまうことも少なからずあったのです。

しかし配偶者居住権、配偶者短期居住権を取得していれば、その期間の間に修繕をする場合所有権を持つ人物の許可は必要ありません。

そのため安心して住み続けることが出来るのです。

 

また20年以上夫婦であることが条件ですが、夫から住んでいる土地または建物を生前に贈与、遺贈を行っていた場合、その財産は相続財産に含めなくても良くなります。

「贈与をしていたら、自分の財産だし普通相続財産に含まれないんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、相続では被相続人が相続人へ生前贈与した財産の内、条件を満たすものを持ち戻して被相続人の財産とする特別受益というものがあります。

現在の相続でも生前贈与の後に遺言などで「相続財産として持ち戻さない」という意思表示をすれば持ち戻されませんが、今回の改正でハードルが大幅に下がったことになります。

 

「相続登記が今まで以上に重要になった」

前述した配偶者居住権で気をつけなければならない点として、配偶者居住権の設定を登記しなければ建物の権利が第三者に渡ったなどの場合に権利を主張することは出来ません。

逆に登記さえしていれば、住んでいて誰かが妨害してきても法的に「止めてくれ」と種痘することが出来ますし、誰かが勝手に住みだしても「返して」と訴えることが出来ます。

 

 

「自筆証書遺言を遺しやすくなった」

「自分の財産はこう分割して欲しい」

「贈与した実家を相続財産に持ち戻さないで欲しい」

などの意思表示をするために、遺言を遺す方が年々増えています。

当サロンでもそうですが、専門家に遺言について相談すると「公正証書遺言」で作成することを勧められるでしょう。

 

その理由として、自筆証書遺言は

  • 検認の必要がある
  • 紛失の危険性がある
  • 誤字脱字等のトラブルのリスクがある

ということなどが挙げられます。

 

検認と言うのは家庭裁判所に提出された段階での遺言の状態を確認し、その後の偽造・変造を防ぐための手続で、原本が公証役場に保存される公正証書遺言では必要ありませんが、自筆証書遺言では必須の手続となります。

また公正証書遺言は原本が公証役場にあるので紛失した場合は再発行をしてもらえますが、原本を手元に持つ自筆証書遺言は紛失したり、相続発生後見つけてもらえないこともあります。

また現在は自筆証書遺言を書く場合、全て自筆である必要があります。

そのため公証人が要望を聞き作成する公正証書遺言よりも誤字脱字、フォーマットの間違いや必要事項が足りないといったトラブルのリスクが高くなるのです。

 

しかし今回の民法改正により、自筆証書遺言は

  • 財産目録はパソコンで作成してもいい
  • 法務局が自筆証書遺言を保管してくれる
  • 法務局に預けた場合は検認不要

ということになります。

 

財産目録以外は自筆の必要があるので誤字脱字などのトラブルのリスクは以前ありますが、現在よりも自筆証書遺言のハードルは低くなります。

また作成した自筆証書遺言を法務局が保管してくれるようになるので、紛失や第三者が改ざん、破棄してしまう心配はなくなります。

改ざん・偽造などのリスクもなくなるということで、法務局に保管してもらった自筆証書遺言は検認をしなくても良くなります。

このように今回の改正が行われれば、自筆証書遺言でも紛失などの心配をせず、検認をしなくていい分1~2ヶ月時間を短縮したスムーズな相続が行えるようになるのです。

 

 

「相続人の誰かが葬儀代などを負担するリスクが少なくなった」

これまでの相続では判例にそって、相続が発生すると遺産分割協議などでの遺産分割が決定するまで預貯金を引き出すことは出来なくなってしまいました。

これは口座の凍結などと呼ばれていますが、口座が凍結されてしまうとトラブルの原因になってしまいます。

例えば葬儀ですが、よほどのことがない限り遺産分割協議より先に葬儀を行うことになるでしょう。

 

葬儀にはまとまったお金が必要になるので、その費用を被相続人の財産から出そうと考えていませんか?

しかし葬儀のお金を口座から引き出そうとしても、そのときには既に口座が凍結されてしまっており引き出すことは出来ません。

そのため相続人の誰か、または何人かで負担するしかなくなってしまいます。

葬儀費用は大きな負担になってしまいますし、遺産分割協議で「そんな大掛かりな葬儀にする必要はなかった!」などの主張で立て替えのつもりで出した葬儀費用がそのまま帰ってこないというケースすらあります。

 

また配偶者が専業主婦だった場合など、遺産分割協議が長引けば生活費の確保が困難になり、生活そのものも難しくなってしまうこともあるでしょう。

今回の民法改正では、「仮払い制度」が新たに創設されました。

この制度を利用することで、相続財産の一部または全部を仮に取得することが出来るようになります。

そのため葬儀費用や、生活費などの必要経費を立て替えることなく引き出せるようになるのです。

 

 

 

「長男の嫁などの介護などによる貢献が認められるようになった」

親の介護を長男の嫁がするというのは昔から良くある話で、今でも「それが当然だろう」と考えている人も少なくないでしょう。

親の介護は扶養義務の範囲内なので長男が介護を行った場合でも寄与分になるとは限りませんが、長男が親の介護を行い

献身的な介護により、本来であれば介護サービス等でなくなっていた財産を維持することに貢献したなどと認められれば寄与分として相続財産が増える可能性があります。

 

寄与分は「被相続人の財産の増加、維持に貢献した」場合に、その分に応じて相続分が増える制度です。

しかし現在の民法では寄与分は相続人に限定されており、この長男の嫁など相続人以外の人物が被相続人に行った貢献について、何の報酬も与えていませんでした。

弁護士によっては「相続人である長男の代理として長男の嫁が…」など、長男の寄与分として何とかして認めさせようと努力している方もいます。

 

しかし今回の民法改正が施行された場合、相続人を除く親族【6親等以内の親族(いとこの孫まで)、3親等以内の姻族(姪甥までの配偶者)】の介護でも「特別寄与者」として報酬が支払われるようになります。

これまで辛い介護をしても報われなかった長男の嫁という立場でも、きちんと報われるようになるのは嬉しいですね。

 

 

今回の民法の相続部分の改正が実際に国会で成立し施行された場合、以上の点が変わってきます。

ここまでの大幅な改正になると、これまで勉強してきた知識で相続対策をしても思ったような結果が出てくれない可能性が高くなります。

そのようなリスクを出来る限り低くするためには、専門家に一度相談してみるというのが一番早い解決法でしょう。

相続サロン多摩センターでは、初回相談無料で日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントであり宅地建物取引士の資格を持つ相続と不動産の専門家に相談することが出来ますので、お気軽にご相談にいらしてみてください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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