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空き家になった実家を売却しようか迷ったときに知るべき知識

 2017/09/02 不動産相続 相続対策
この記事は約 12 分で読めます。

近所や親戚の誰かが亡くなって葬儀に参列したり、会うたびに老けている両親を見ると、「親もいつかは…」と相続を予見することも増えてくるでしょう。

突然ですが、あなたとあなたの兄弟姉妹の中で

  • 実家暮らしである
  • 実家で生活しても問題ない距離で賃貸生活をしている

という方はいらっしゃいますか?

そのような場合、あなた方家族が育った実家は空き家となってしまう可能性が非常に高くなります。

 

 

実家が空き家となってしまう3つケース

  • 相続
  • 怪我や認知症などで介護施設に入居
  • 子供と同居

実家が空家となるということは亡くなって相続が発生したり、長男の自宅や老人ホームなどの介護施設に入居することで実家に住むことが出来なくなってしまうなどの理由が考えられます。

 

平成27年に施行された空家等対策特別措置法により

  • そのまま放置すると倒壊の危険
  • 害獣や不法侵入者などで保安上・衛生上有害
  • 管理されていないことで著しく景観を損ねている

その他長年空き家を放置していることで、周辺の生活環境の保全を図ることが出来ないと判断されてしまうことがあります。

 

そのような空家は特定空家に指定され、最悪の場合所有者負担で行政が空家を解体してしまうこともあるのです。

誰も住まなくなった空き家は劣化しやすくなるので、空き家のまま維持しようとすると、定期的に換気をするなどの措置が必要になります。

家族が定期的に空き家で換気などをするのは負担になってしまいますし、業者に依頼しても金銭的な負担となってしまいます。

賃貸や民泊の選択肢もありますが、駅から遠かったり周辺施設が不便であるなど、賃貸にあまり適さず維持管理の費用だけが積み重なってしまうようなケースもあるでしょう。

 

そのような場合でも更地にして駐車場などの資産運用方法もありますが、今回は売却をテーマにします。

賃貸などは管理運用の手間が続きますが、売却であればその後維持管理をする必要はなくなります。

 

 

 

不動産を売却する前に必要なこと

実家を相続するというのは当然何度もあるものではないので、初めての経験となるでしょう。

土地の境界を確認する為に測量をする必要があったり、リフォームでキレイにする必要があるなど、やるべきことは様々です。

一言に実家の売却と言っても、親の意思能力や、相続した際の所有権などで必要なことは異なってきます。

 

 

相続で空き家となった場合

  • 遺産分割をして誰が実家を相続するかを決める
  • 土地建物の名義を相続人に変える相続登記をする

売買契約は、商品の所有者である売主とその商品を欲する買主の間で成立します。

これは不動産売買も同様で、不動産の所有者と買主の間で売買契約が結ばれます。

親が亡くなった段階では実家の登記は親の名義となっており、親が亡くなっている以上そのままでは売却することが出来ません。

 

もしも親が遺言を書いていて遺産分割について指定されていれば大体はその通りとなるのですが、日本では遺言に良くない印象を持っている人が多く普及していません。

遺言がない場合は法定相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割を決める必要があります。

遺産分割協議で実家を誰が相続するか決めた後は、相続登記により名義を相続人にします。

名義が相続人となったことで、その相続人が実家が売れる状態になるのです。

もし名義が複数人の場合、その名義人全員の同意が必要となり手間がかかるので、出来れば共有名義は避けたほうがいいでしょう。

 

 

親の意思能力はあるけど動けない場合

  • 委任契約で代理権の授与を受ける

「実家の階段で転んで骨折してから車椅子生活になってしまった」などで介護施設に入居する場合、その時点では親の意思能力はしっかりしていることが多いでしょう。

今後歩けるようになる可能性が低く、医療費や介護施設の費用の負担が大きい場合、「実家を売却して介護費用に充てよう」と考えることが多いでしょう。

しかし不動産売却のために何度も移動するのは、身体的・精神的な負担が大きくなります。

 

そのようなときには、委任状を準備し、親の代理人としてあなたが代理権を持って売買契約をすることが多いです。

とはいえ所有者本人でない場合、「本当に所有者は了承しているのかな?」などの不安が出てきてしまいます。

買主や不動産業者、司法書士などから「所有者の意思確認をさせて」と言われてしまうことが出てくるでしょう。

「父から代理権をもらったから、売買契約は自分だけで行える」

「息子に代理権を与えたから、私は一切売買に関わらなくて済む」

と思ってしまうと、イメージと違い面倒に感じてしまうでしょう。

 

 

 

認知症などで親の意思能力がなくなってしまった

  • 成年後見制度を利用し成年後見人・保佐人・補助人を選任する

認知症などで意思能力がなくなってしまうと、売買契約などの法律行為は行えなくなってしまいます。

そのため親本人が売買契約を行うことは不可能になってしまいます。

代理契約は、所有者本人の意思を代理人が反映させるものです。

そのため、親本人の意思能力がなくなってしまうと、代理人に契約してもらうことも出来なくなってしまうのです。

 

とはいえ実家を売却して介護施設の費用に充てなければどうしようもないという場合、それでは困ってしまいます。

そのような時は、成年後見制度を利用します。

成年後見制度では本人の意思能力に合わせて後見人・保佐人・補助人が選任され、意思能力がなくなってしまっている場合は成年後見人が選出されます。

成年後見人は意思能力がなくなった本人の代わりに被成年後見人(本人)の財産を管理し守ってくれます。

ただ成年後見人を選任した場合でも、実家を売却する為には家庭裁判所の許可が必要となり手間がかかってしまいます。

 

 

成年後見制度を利用する上での注意点

  • 成年後見人はあなたが選任されるとは限らない
  • 成年後見制度は本人が亡くなるまで続いてしまう
  • 実家の売却が却下されることもある

成年後見制度の利用を家庭裁判所に申請する際成年後見人の希望を書くことが出来ますが、最終的に家庭裁判所が判断し選任するので希望通りになるとは限らず、弁護士や司法書士が成年後見人となることが少なくありません。

 

また成年後見制度は「本人のため」となる財産の利用しかできなくなり、家族のためにも使えなくなってしまいます。

「これまで孫の教育資金を贈与してもらっていた」

「今までこういうお金をもらっていた」

ということがあっても、成年後見制度を利用した段階でそれは出来なくなってしまうのです。

※元気なときに任意後見制度の契約をしていれば可能なものがあります。

 

また成年後見制度は必要なときにその都度依頼するものではなく、一度専任されたら被成年後見人が亡くなるまでずっと続けなければならなくなります。

その為「周りに言われるがまま実家を売却するために成年後見制度を利用したら、その後ずっと親の財産を管理されて報酬を支払い続けなくちゃいけなくなった…」

とあまり深く考えずに成年後見制度を利用してしまった結果「こんなはずじゃなかった」という風に思ってしまうことがありますので、よく考えてから利用するようにしましょう。

特に「親の預金はあるから介護費用は支払えるけど、実家を売却して相続対策をしたい」という理由の場合は、成年後見制度の利用は考え直した方がいいかもしれません。

 

言ってしまえば相続対策は相続人のための行為で「本人のための行為」ではありませんし、成年後見制度での財産の管理は財産の増減をさせないようにする「静的な財産管理」です。

実家をアパートに建て替えて資産運用は非常に難しいですし、売却も相当な理由が必要となります。

「預金は残しておきたくて実家を売却したい」というような理由ではそもそも成年後見人は出来ないという可能性が高いですし、たとえ家庭裁判所に許可の申請をしても「預金があるならそれを使えば売却しなくてすむよね?」と不許可になってしまう可能性は高いです。

 

 

不動産を売却したときにかかる税金

  • 取得してすぐに売却するのと5年超経過してから売却するのではこんなに違う!
  • 売却で利益を得た分の譲渡所得税・住民税・復興特別所得税が課税される
  • 税額は所有している期間で大幅に変わってくる
  • 不動産を取得したときの額がわからない場合売却価格の95%が課税対象額になる

不動産を売却した場合、所得税の一種である譲渡所得税と住民税、そして平成23年から平成49年までの間は復興特別所得税が課税されます。

 

この税率は不動産を所有している期間に応じて

所有期間が5年以下…短期譲渡所得

譲渡所得税:30%

住民税:9%

復興特別所得税:0.63%(譲渡所得税額×2.1%)

 

所有期間が5年超…長期譲渡所得

譲渡所得税:15%

住民税:5%

復興特別所得税:0.315%(譲渡所得税額×2.1%)

となります。

引っ越したばかりでもない限り親の所有期間が5年以内ということはないでしょうから親が実家を売却する分には長期譲渡所得が適用されますが、子供に贈与してから売却ということになると短期譲渡所得としてほぼ2倍の納税をしなければならなくなります。

 

 

古すぎて書類が残っていないなど取得金額が分からないと売却額の95%が課税対象!?

とはいえ不動産を売却したときに課税される税金は、売却額が不動産を取得したときの金額を超えた部分に課税されます。

その為5,000万円で購入した実家を2,000万円で売却した場合であれば取得額を下回っているので課税にはなりません。

しかし取得金額がわかる契約書や領収書などの書類がなく、売り主などに聞いても見つからない場合は、売却額の5%までしか取得額として認められません。

つまり、取得額がわからない場合は売却額の95%が課税対象額となるのです。

 

 

自宅を売る場合はマイホームを売ったときの特例を!

  • 親が実家を売却する場合は最大3,000万円の控除が使える

親が実家の売却をしてくれることになったけど売買契約書などが見つからず取得額がわからない…

というような場合でも、マイホームを売ったときの特例(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)を活用することで納税額を大幅に下げることが出来ます。

マイホームを売ったときの特例は所有期間が長くても短くても利用できる特例で要件を満たしていれば最高3,000万円の控除を受けることが出来ます。

 

特例を受けるための要件としては

  • 所有者本人が実際に住んでいる家屋であり、空き家となった3年後の12月31日までに売却した
  • 家屋を取り壊した場合、取り壊してから1年以内での売買締結で空き家になってから3年後の12月31日までに売却すること
  • 取り壊した場合売却までに賃貸駐車場などとして活用していないこと
  • 災害等で焼失した場合は住まなくなってから3年以内に売却すること
  • 売却する年の2年以内の間に同じ特例を活用していないこと(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」での特例の適用は除く)
  • マイホームの買い替えなどの特例を利用していないこと
  • 売買した実家と土地で他の特例を利用していない
  • 子供など特別な関係の買主への売却ではないこと

ということになっています。

またこのマイホームを売ったときの特例は「この特例を受ける事だけを目的とした入居」である場合は適用できません。

贈与してもらった実家をすぐに売ろうとする場合ここの部分に当てはまってしまうので、特例が利用できない可能性があります。

 

 

古い空き家を相続したときに仕える「空き家に係る譲渡所得の特別控除」

  • 昭和56年5月31日以前に建築された古い家であれば相続した空家でも特例がつかえる
  • 控除額は最大3,000万円

「特例利用目的で入居した場合に使えないんじゃ、相続苦開始前に売ってもらわないとヤバイかも!?」

親が生きているうちであればマイホームを売ったときの特例が使えますが、相続した実家の場合相続登記した後の名義人は住んでいないのでこの特例は利用できません。

しかし条件をクリアすれば、相続した空家であっても3,000万円の控除が使えます。

 

その条件は

  • 空き家を相続・遺贈で取得している
  • 取得してから賃貸などで活用していないこと
  • 譲渡の段階で一定の耐震基準を満たすようにしていること
  • 空き家を取り壊した場合取り壊す前に賃貸などで利用していないことに加え、取り壊してから賃貸駐車場などで活用していないこと
  • 取得してから3年後の12月31日までに売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 売却した実家・土地に関して他の特例を活用していないこと
  • 同じ被相続人から相続した居住用不動産などで同じ特例を利用していないこと
  • 子供や妻など特別な関係にある人物に売却していないこと

となっています。

築年数が経過していることが条件になっているので耐震基準を満たすようにするために耐震工事を行わなければならない可能性がありますが、3000万円の控除は魅力的でしょう。

 

 

今このタイミングでこの先起こる相続対策を考えてみませんか?

昭和56年5月31日以降に建築された実家の場合相続が開始してからでは特例を活用できなくなってしまいますので、あなたの相続のときには使えないでしょう。

そうなった場合元気なときにマイホームを売ったときの特例を考えても、「まだ老人ホームに入居する予定もないのに…」と流石に売却を考えることはためらわれると思います。

そのようなときは、実家の売却以外の相続対策を考えておきませんか?

実家の売却でもそうですが、相続対策となる行動は本人のためとはいえない為成年後見制度では出来ません。

その為相続対策は元気なときにしか行うことはできないので、今から準備しても早すぎることはありません。

 

相続の専門家に相談して、自分に合った相続対策は何か、そもそも相続対策が必要なのかどうかを相談してみることで、今あなたが「親の相続」での悩みを子供に感じさせなくて済むようになるかもしれないのです。

相続サロン多摩センターでは、初回相談無料で日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントであり宅地建物取引士の資格を持つ相続と不動産の専門家に相談することが出来ますので、お気軽にご相談にいらしてみてください。

相続サロン多摩相談センターへの相談はこちらからどうぞ

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