相続した実家を売却せずに活かす方法とは?

今あなたのご両親が亡くなったとして、その実家には誰が住みますか?
住む方がいらっしゃればそれは素晴らしいことであり、その家はその人が暮らすことで思い出と共に生き続けるでしょう。
しかし空き家として放置されてしまえばすぐに朽ちてしまいますし、空き家の管理を任せた場合費用がかかります。
あなたが定期的に換気をしたり掃除をして空き家となった実家を管理していて、「管理をしっかりしているから空き家じゃない」と考えていたとしても、近所に住む方からみれば人の住んでいない「空き家」です。
空き家はただ朽ちてしまうだけでなく、野生動物や犯罪者が住み着いてしまう危険性もあり防犯の面でもよく思われないことが多いのです。
現在空き家の活用として貸家として賃貸するというものがありますが、今後は民泊が増えてくることが考えられます。
民泊はその名の通り一般の民家を活用した宿泊サービスのことで、現在法整備が進められています。
現在民泊を行う為に必要な旅館業法の許可を得るためには、厳しい条件を満たす必要があります。
しかし厚生省や観光庁が主催する民泊サービスのあり方に関する検討会が開かれたり、大田区や大阪府では先行してルール整備が進められたりと、民泊の許可が得やすくなるようなルール作りが進められているのです。
現在政府は外国人訪日客数の目標を2020年に4,000万人と設定し、日本を観光大国とするために改革を進めています。
訪日観光客が目標に近付くにつれ、現在の宿泊施設では観光客の受け入れが難しくなります。
そこで注目されたのが、民家を宿泊施設として活用することです。
現在増え続ける空き家に対する対策となり今後足りなくなる宿泊施設のパンクへの対策ともなる民泊サービスは、これからの日本に必要となると考えられたのです。
今後の法整備によっては、相続した実家を売却、賃貸として貸す、そのまま空き家として定期的な管理だけするという現在の主な選択肢よりも民泊が主流になるかもしれません。
そこで今回は空き家のままでは何故いけないのか、民泊とは何かということを紹介します。
現在空き家が増え続けている
最近人の気配のない空き家を見かけることがありませんか?
日本の空き家は増加傾向にあり、昭和33年には全国で36万戸程度だった空き家は、平成25年度には820万戸に増えています。
これは総住宅数の13.52%であり、過去最高を記録しています。
東京都の空家数は全国42位ですが、総住宅数が約735万戸でその内80万戸以上、約11%が空き家となっています。
国土交通省の「平成26年空家実態調査」によると、この誰も住んでいない戸建て空き家の内、所有者がその住宅を所有することになった経緯の過半数(52.3%)は相続によるものです。
両親が亡くなった後に相続財産として実家を相続したのは良いけど、子供は既にそれぞれ離れた場所に生活拠点を移していて実家で生活することが出来る人がいない場合などで相続した実家が空き家になってしまうのです。
そして実家には家族の思い出が詰まっているので、「実家を売却するなんで何事か!」「家族で住んでいた家を他の誰かに貸すなんて!」と売却や賃貸に否定的な意見が多いと、なかなか処分も活用も出来なくなります。
誰も住まなくなった家は荒れるのが早い
住まなくなったからといって、固定資産税などを支払う能力があればそのままでもいいじゃないかと思うかもしれません。
しかし誰も住まなくなった家というのは、誰かが生活しているときよりも腐敗や破損してしまうのが早くなります。
誰も水道を使わなくなれば当然水道管の水は蒸発してしまいます。
水道管の水は下水道の悪臭や虫の侵入を抑制する効果があるので、水道をずっと流さずにいた家は下水道の悪臭が漂い羽虫などの虫が湧いてきてしまうのです。
また窓が閉まったまま家の中の空気の循環がなくなっていますので、空気がよどみカビの温床となってしまいます。
また、空家のような人の気配がない建物はアライグマや野良犬、野良猫といった動物による糞尿などの被害や、泥棒などの犯罪者の拠点となってしまう危険性があります。
犯罪者や害獣の拠点となり糞尿の被害以外にも、空き家に不法滞在した人のタバコの吸殻や、放火などにより火事となって周辺に被害をもたらすこともあるのです。
荒れたり異臭のする住宅は街の景観を悪くしてしまいますし、防犯の観点からも好ましくありません。
このような背景があり、近年「空き家対策特別措置法」が施行されました。
空き家対策特別措置法とは
定期的に水道を流したり換気をしたりといった、適切な管理がなされていない空き家を改善させる為の法律である「空き家対策特別措置法」が平成27年5月26日に完全施行されました。
これは荒れ果てて害獣の住処となっているなど、適切な管理のなされていない適切に管理されておらず近隣住民に衛生面、防犯面、景観面などにおいて深刻な悪影響が出てしまっている空き家を対処する為のものです。
適切な管理のされていない特定空き家と認定された場合、所有者に解体や修繕などの必要な措置についての助言や指導をして改善を促します。
もしも改善されない場合勧告、命令という段階を踏み、最終的に市町村は所有者の負担で強制執行を行うことが可能となります。
また本来住宅が建築されることで土地の固定資産税は大幅に減額されるのですが、特定空き家となると減税効果はなくなってしまいます。
売却・賃貸以外の新しい選択肢「民泊」
これまでは相続した実家が空き家となる場合、賃貸として誰かに貸すか売却するか、はたまた空き家として管理し続けるかの選択ぐらいしかありませんでした。
しかし政府が韓国大国日本を目指すにあたって、現在空き家となってしまっている民家を宿泊施設として活用する民泊サービスが注目されるようになりました。
これまでは民泊として営業していく場合、旅館業法の厳しい条件を満たして許可を得てからでなければ民泊サービスを提供することは出来ませんでした。
しかし既にその条件が緩和されるなどの民泊サービスを広めるための法整備が進められており、今後も民泊の法整備は進められていきます。
売却すると自分たちと実家のかかわりは完全になくなってしまいますし、賃貸の場合も貸している間に自分たちが家の中に入る機会はほとんどないでしょう。
しかし民泊の場合、営業をしても実家と関わることができます。
実家の処分・活用を妨げる思い出
実家を相続した際に最初から放置しようと考える人は多くありません。
しかし現実問題として空き家対策特別措置法が施行される背景として、朽ち果ててしまった空き家があります。
このような場合のひとつの原因として処分や活用をするタイミングを逃し、管理の労力や費用の負担が長く続いてしまったためということがあります。
生まれ育った家というのは、当然ですがその家での思い出が詰まっています。
その思い出の詰まった家を売却したり、誰かに貸すということに抵抗を感じる人は少なくありません。
「誰も住まないのであれば実家は売却してしまおう」という意見が出たとしても、「大切な思い出の詰まった実家を売るなんてとんでもない!」という意見が出てくるとなかなか売却に踏み切れないでしょう。
遺産分割の過程では所有権が共有状態なので全員の合意がなければ売却は出来ません。
仮に売却をしようとなったときでも、築年数の経過した中古住宅は当然ですが高値にはなりにくいです。
しかし家族にとっては思い出の詰まった実家は宝物のように感じてしまうので、「思い出の詰まった家だから、こんなに安いはずがない!」と買い手が見つかった後も話が進まなくなってしまうケースもあるのです。
実家をどうするか決めかねている間に換気や水を流す、掃除をしていたとしても、人が暮らしている間と比較するとどうしても劣化は早くなってしまいます。
あなたがもしも中古住宅を購入・賃貸するとして、劣化が進んでしまっている家とキレイな家のどちらに魅力を感じますか?
基本的に劣化してしまった住宅の評価は更に下がってしまい、修繕しなければ売却できなくなってしまいます。
そして売れずに残った実家の管理にかかる費用や、固定資産税などの負担が重くのしかかってきてしまうので、最終的に管理運用処分が出来なくなった特定空き家となってしまうのです。
思い出が詰まった実家を貸すことは抵抗があるかもしれませんが、管理が追いつかず朽ち果ててしまう実家を見るのも辛いでしょう。
民泊であれば宿泊客が泊まるので自分たちだけのものとはいきませんが、実家を管理する負担を抑えつつ収入を確保し、長く実家を持たせることが出来るようになります。
もしもあなたの親が亡くなって、その実家が空き家になってしまうのであれば、民泊の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
相続サロン多摩相談センターには宅地建物取引士の資格を持つ不動産の専門家が在籍していますので、空き家となってしまう実家の適切な活用方法を提案することが出来ます。
日本相続コンサルティング協会の公認相続コンサルタントの資格を持ち、家族信託普及協会の家族信託コーディネーターの認定を受けていますので「既に相続があって実家を相続した」という場合だけでなく、今後起きる相続に対する悩みがあり相談をしてみたいという場合にも最近注目されている家族信託を含めた相続対策を提案することが出来ます。
相続した不動産についての悩み、相続対策についてのお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。